ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町

2024.12.08

サンデー早起キネマ『不思議の国のシドニ』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
12/8は、人間を再発見できるヒューマンドラマを3本ご紹介。

3本目は、イザベル・ユペール主演、“不思議の国”日本に迷い込んだフランス人作家のちょっぴりユーモラスでキュートな再生の物語
『不思議の国のシドニ』

デビュー小説「影」が日本で再販されることになったフランス人作家のシドニは、出版社から招待され日本にやってきます。見知らぬ国、見知らぬ人への不安でいっぱいのシドニを迎えたのは、寡黙な編集者の溝口健三。
ホテルでは、開かないはずの窓が開いていたり、手付かずのお弁当がきれいに食べられていたり、不可解な出来事が続きますが、不審に思いながらもスケジュールをこなすシドニ。
記者のインタビューでは、自分が家族を亡くし天涯孤独であること、喪失の闇から救い出してくれた夫のおかげで「影」が書けたことなどを語ります。
そして、溝口の案内でお寺や日本庭園を訪れ、日本の文化と伝統、信仰や死者との関係などを学びます。
そんな彼女の前に、なんと亡くなった夫、アントワーヌの幽霊が現れるのです…。

シドニ役は、フランスを代表する国際派女優イザベル・ユペール。日本という“不思議の国”に迷い込んだ作家シドニを、アリスのごとく可愛らしく軽やかに演じています。
シドニと全編フランス語で会話し、深い喪失を共有する編集者の溝口健三役には、国際派俳優の伊原剛志。とても流暢なフランス語。実はセリフのみで伊原さんはフランス語をしゃべれないと知ってびっくりしました。
そしてシドニの最愛の夫アントワーヌの幽霊をウグスト・ディールが演じ、愛と再生の物語にユーモアを添えています。

メガホンをとったのは、「この作品が日本へのラブレター」だというフランス人女性監督エリーズ・ジラール。自身が初来日した時の印象や旅情を詰め込んだ人間讃歌を紡ぎだしました。
小津安二郎、溝口健二、成瀬巳喜男監督作品など、日本映画をよくご覧になるそうです。溝口健三という役名でもわかりますよね。過去の作品をリスペクトしたシーンも出てきます。

そんな世界観を大切にし、シドニの再生の旅は、古き良き日本が残る京都・奈良・直島・神戸を回ります。その美しい風景が、過去を手放し、新たな一歩を踏み出す彼女の背中を優しく押してくれるのです。
奈良の東大寺では大仏さまを見上げ、京都の法然院では谷崎潤一郎の墓を前に感動するシドニ。
ほかにも、1000年以上の歴史を持つ真如堂や風情ある佇まいの書店其中堂などが映し出され、まるで私たちも彼女と一緒に旅している気分になれます。

また、シドニが宿泊するホテルや旅館も見どころ。晴鴨楼、奈良ホテル、ホテルオークラ神戸など、その佇まいも一見の価値ありです。
私たち日本人が知っている日本とは違う一面、フランス人監督の視点で描かれる
美しい風景や日本人の精神など、まさしく“不思議の国の日本”を堪能することができます。

『不思議の国のシドニ』
12月13日(金)シネスイッチ銀座ほか全国順次公開

公式サイト:https://gaga.ne.jp/sidonie
監督:エリーズ・ジラール
出演:イザベル・ユペール、伊原剛志、アウグスト・ディール
原題:Sidonie au Japon|2023年|フランス・ドイツ・スイス・日本|カラー|ビスタ|5.1ch|96分
提供:東映 
配給:ギャガ
© 2023 10:15! PRODUCTIONS / LUPA FILM / BOX PRODUCTIONS / FILM IN EVOLUTION / FOURIER FILMS / MIKINO / LES FILMS DU CAMELIA

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      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

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