おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
12/10は、映画が作り上げる世界の可能性に浸れる3本をご紹介。
2本目は、第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で見事グランプリに輝いた話題作。
問題だらけの子どもたちと完璧じゃない大人たちが共に過ごした北フランスのひと夏の映画撮影『最悪な子どもたち』
ある夏、フランス北部の荒れた地区を舞台にした映画が企画され、地元の少年少女を集めた公開オーディションが開かれます。選ばれたのは、4人のティーンエイジャーたち。異性との噂が絶えないリリ、怒りをコントロールできないライアン、心を閉ざしたマイリス、そして出所したばかりのジェシー。
出来上がったシナリオは、彼ら自身をモデルにした物語でした。なぜ問題児ばかりが主役なのか? 監督の狙いとは? 住民たちがいぶかしむ中、撮影が始まりますが、予想もしなかったことが次々と起こります。果たして映画は無事完成するのでしょうか?
この作品は、キャスティングディレクターや演技コーチとして数千人以上の若者と接してきた新進監督コンビ、リーズ・アコカとロマーヌ・ゲレの実体験から生まれました。
映画作りの裏側を描いた作品は数々ありますが、この映画の特徴は、都会の映画業界人と、恵まれない境遇の子どもたちの交流に焦点を当てているところです。
そのため、世代や文化の違いから生じるハプニング満載の展開にドキドキハラハラ!
一方で、映画が個人やコミュニティにもたらす影響、また作り手の倫理、社会格差といったテーマを鋭く突きつけます。
「映画の登場人物」を演じることで、「自分自身」と向き合うことになったライアンたち。はみ出し者のレッテルを貼られた主人公たちが、違う世界での初めての体験を通して、彼らの中の何かが少しずつ変わっていきます。
実は、映画の中だけでなく、実際にも同じことが起きているのです。
主人公の4人を演じたのは、実際に、撮影地の学校や児童養護施設で行われたオーディションで選ばれた演技未経験の子どもたちなのです。
それを知って作品を観ると、フィクションなのかドキュメンタリーなのかわからなくなるほどです。
特に最後のシーンの奇跡的な演技には、涙が止まりませんでした。
「最悪な環境に置かれ、最悪になってしまった子どもたち」が最高になれる瞬間。きっと、誰でも主人公になれる映画があると信じられるのです。
『最悪な子どもたち』
12月9日(土)より シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
公式サイト:www.magichour.co.jp/theworstones
監督:リーズ・アコカ、ロマーヌ・ゲレ
出演:マロリー・ワネック、ティメオ・マオー、ヨハン・ヘルデンベルグ、ロイック・ペッシュ、メリーナ・ファンデルプランケ
2022/フランス/カラー/DCP/2.35:1/100分
原題:Les Pires/英語題:The Worst Ones/字幕:横井和子
配給:マジックアワー
©Eric DUMONT – Les Films Velvet
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