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7/9は、自分の意志ではどうにもならない状況下、人々の心の叫びを描いた3本をご紹介。
3本目は、誰にでも経験がある思春期の独特の世界に胸が痛む
『CLOSE/クロース』

幼馴染レオとレミは、昼はお花畑や田んぼを走り回り、夜は寄り添って眠る…24時間365日をともに過ごす大親友。
13歳になって中学校に入学した初日、親密すぎる2人をみたクラスメイトに「付き合ってるの?」と揶揄われたレオは、レミと次第に距離を置いてそっけない態度をとるようになります。
気まずい雰囲気の中、2人は些細なことで大喧嘩に!その後レオはずっとレミを気にしていましたが、仲直りするチャンスがないまま時間だけが過ぎていったある日、課外授業にレミの姿はありませんでした。それは、思いもよらないレミとの突然の別れでした。
季節は変わっても、喪失感を抱え罪の意識に苛まれるレオ。彼は、自分だけが知る“真実”を誰にも言えずにいたのです…。

監督は、トランスジェンダーのバレリーナを描いた前作『Girl/ガール』で第71回カンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督賞)を受賞し、鮮烈なデビューを飾ったルーカス・ドン。長編2作目のこの作品では、学校という社会の縮図に直面した10代前半の思春期に、監督自身が抱いた葛藤や不安な想いを瑞々しく繊細に描きました。

主人公・レオと幼馴染のレミを演じるのは、この作品で俳優デビューしたエデン・ダンブリンとグスタフ・ドゥ・ワエル。
子供でもなく大人でもない10代特有の揺れ動く心情を表現した二人、世界中から賛辞が贈られています。
監督は「同じ電車に乗っていたエデンに目を奪われ、オーディションを受けるように誘った」といいます。
その気持ちわかります!とっても目の表情がいいんです。視線をとらえて離さないような強い瞳。特に印象的なラストシーンの目力にはグッと吸い込まれてしまいました。

そして、エデンとの相性が抜群だったグスタフがレミに選ばれました。
グスタフもとっても純粋な美少年。2人が子供らしく純粋に戯れる世界は幸福感に満ち溢れています。それが、思春期独特の恥ずかしさというか、捻じれる感じが全てを変えてしまうんですよね。
でも、程度の差はあれ、誰でもこのような心の経験はあるのではないでしょうか?
今までにない初めて味わう感情、その感情を持て余してしまう自分にまた戸惑ってしまうような自分ではどうにもできない感覚…それがまさに思春期なのでしょうが…切ないです。
この作品で涙する方も多いと思いますが、私は切な過ぎて心がヒリヒリして涙が素直に流れませんでした。

誰もが経験する「後悔」と「孤独」。その積み重ねがきっと人を強くする。そして人は大人になる。
少年レオの記憶はいつかどこかで感じた“あの日の痛み”をよみがえらせるあなたの物語でもあります。

『CLOSE/クロース』
7月14日(金)より全国公開
公式サイト:closemovie.jp
監督:ルーカス・ドン(『Girl/ガール』)
脚本:ルーカス・ドン、アンジェロ・タイセンス
キャスト:エデン・ダンブリン、グスタフ・ドゥ・ワエル、エミリー・ドゥケンヌ
2022年|ベルギー・オランダ・フランス|104分|ヨーロピアンビスタ|5.1ch|原題:Close|字幕翻訳:横井和子|G
配給:クロックワークス/STAR CHANNEL MOVIES
© Menuet / Diaphana Films / Topkapi Films / Versus Production 2022

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