ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町

2023.05.14

サンデー早起キネマ『東京組曲2020』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
5/14は、突然の不条理に出くわした人々を描いた3本をご紹介。

3本目は、2020年4月、突然世界から遮断された私たち。
三島有紀子監督が20人の俳優と綴ったコロナ禍の日々のドキュメンタリー
『東京組曲2020』

全世界を揺るがしたパンデミック【コロナ】。
2020年4月7日、新型コロナウイルス対策特別措置法に基づき、初めて緊急事態宣言が発令され、私たちの生活は一変!誰も経験したことがない事態です。
この作品は、そんな2020年、三島有紀子監督の誕生日4月22日の実体験がベースになっています。眠れずにベランダで過ごしていると、明け方、どこからか女性の泣き声が聞こえてきました。三島監督は「聞いているうちに、その声は、辛い思いをしている誰か1人の泣き声ではなく、自分の、生きているすべての人の、さらには地球の泣き声ではないかと感じた」といいます。
そして、「このコロナ禍で何を感じているのかが忘れ去られる前に、映像に残し、記録として確認しよう」とこの企画を思いついたのです。みんなどんな思いで暮らしているのか、リモートで役者さんたちに声をかけました。

制作のポイントは3つ。
1つ目は、役者たちの暮らしぶりや感じていることを監督が話を聞くなどして引き出し、共に作ること。
2つ目は、役者たち自身、または同居人が撮影すること。
3つ目は、「明け方どこからか女性の泣き声が聞こえてくる」という状況を収録すること。
その泣き声の主は、監督がこの人しかいないと思った松本まりかさん。聞いていると何とも言えない、自分が泣いているのかと頬を触ってしまうような心の底、大地の底から湧き上がるような泣き声なのです。

20人の役者たちは、それぞれの生活を映像に残しました。楽しみにしていた撮影も公演も中止、飲食のバイトもなくなり、働きたいのに働けない…辛い思いを誰にぶつけたらいいのか。
幼い子供達もずっと家にいてストレスが溜り、踊りまくり叫ぶことで発散するママ。飼い猫に愚痴を言い続ける男性俳優。心を落ち着かせるため写経をする女優。実家に戻り泣きながら2週間の自主隔離を続ける若い女優。
それぞれの思いが手に取るようにわかるのです。だって私も同じような時間を過ごしたから。あなたもそうですよね。コロナ禍の3年間、誰もが同じ時間を過ごしたんです。だから、出演者も観客もみんなが当事者。不思議な作品ですよね。

そんなコロナ騒動も収束したかのように見える今、監督は「コロナが登場して世界がどう動いて人間がどう右往左往したのか、そこに一つの幕が下りるように思う」といいます。
この作品には、「人間って何だろう」という人間研究の結果が残されているのです。
閉鎖された世界に絶望し、孤独の中で人と繋がりたいと熱望したあの日々を脱した私達は、今、何を考え何をすべきなのか…新しい一歩を踏みだす時なのかもしれません。誰もが共感できる“あの時”を切り取ったこの作品が背中を押してくれることでしょう。

『東京組曲2020』
5月13日(土)より シアター・イメージフォーラム ほか全国順次ロードショー

公式サイト:alone-together.jp/ 
[出演] 荒野哲朗 池田良 大高洋子 長田真英 加茂美穂子 小西貴大 小松広季 佐々木史帆 清野りな 田川恵美子 長谷川葉月 畠山智行 平山りの 舟木幸 辺見和行 松本晃実 宮﨑優里 八代真央 山口改 吉岡そんれい (五十音順)
松本まりか(声の出演)

監督:三島有紀子
音楽:田中拓人
撮影:出演者たち 今井孝博(JSC) 山口改
編集:加藤ひとみ 木谷瑞
調音:浦田和治
録音:前田一穂
音響効果:大塚智子
タイトルデザイン:オザワミカ
配給:オムロ
製作:テアトル・ド・ポッシュ
2023/日本/ドキュメンタリー/カラー/95分/アメリカン・ビスタ/5.1ch/レイティングG
©️「東京組曲2020」フィルム パートナーズ

最新番組ブログ
    パーソナリティ
    • ひろたみゆ紀
      ひろたみゆ紀
      ひろたみゆ紀

      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

    • 過去のホームページ
    • 中山秀征の有楽町で逢いまSHOW
    • ウィークエンド・ケアタイム 「ひだまりハウス」 ~うつ病・認知症について語ろう~