おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
4/16は、それぞれの時代の社会を切り取った3本をご紹介。
2本目は、深夜ラジオが繋ぐ、愛おしく大切な7年間の家族の物語
『午前4時にパリの夜は明ける』
物語の始まりはミッテランが大統領に就いた1981年パリ。
突然夫が離婚を申し出、高校生の息子と大学生の娘の2人を養うことになったエリザベート。仕事も見つからず不安に押しつぶされそうで眠れない夜、深夜ラジオを聴きながら夜を明かします。
エリザベートは、ある日思い切ってパーソナリティのヴァンダに手紙を送り、深夜ラジオ「夜の乗客」の電話受けの仕事に就くことになりました。番組で出会った家出少女タルラが外で寝泊まりしていると聞いて、自宅に連れてきたエリザベート。
4人で暮らすうちに、悲劇のヒロインのように境遇を悲観していた自分を見つめ直していきます。
同時にティーンエイジャーの息子マチアスも、またタルラの登場に心が揺らいでいくのです。
夫との別れ、新たな出会い、子供たちの成長…訪れる様々な変化…不安に戸惑いながらも一歩ずつ前に進んでいくエリザベートの姿に胸が熱くなります。
エリザベート役は、シャルロット・ゲーンズブール。夫が他の女性に走ってしまった悲しみと、子供たちを養っていく責任に押しつぶされそうなエリザベートが、一歩踏み出して出逢った人々によって磨かれていく姿、優しく包み込んでくれるような笑顔が本当に素敵です!
番組のためには喧嘩も厭わないラジオパーソナリティのヴァンダ役は、エマニュエル・べアール。
このフランスを代表する2人の女優の共演に目を見張ります。
さらに、家出少女タルラを演じたノエ・アビタが可愛さと妖艶さを兼ね備えた不思議な魅力でみんなの注目を集めます。
舞台は、芸術の転換機とも言える80年代のパリ。街並み、ファッション、音楽、映画…彼らの生活を彩るアイテムと散りばめられた当時のヒット曲の数々に心躍ります。
そして、所々映画の中に織り込まれた当時のアーカイブ映像は、現実の重みを映画にもたらし、80年代のパリにタイムトラベルをしたかのように錯覚させてくれます。
特に大きな事件が起きるわけではないけれど、家族のそれぞれの成長を描いた7年間。
ラジオから流れるヴァンダの優しい声に耳を傾けるうちに、些細な、平凡な出来事こそが、ドラマチックなのだということを気づかせてくれます。
『午前4時にパリの夜は明ける』
4月21日(金)より、シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館、渋谷シネクイントほか全国順次公開
公式サイト:https://bitters.co.jp/am4paris
出演:シャルロット・ゲンズブール、キト・レイヨン=リシュテル、ノエ・アビタ、メーガン・ノータム、エマニュエル・ベアール
2022年/フランス/カラー/111分/R15/ビスタ/原題:LES PASSAGERS DE LA NUIT
配給:ビターズ・エンド
© 2021 NORD-OUEST FILMS – ARTE FRANCE CINÉMA
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