おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
4/16は、それぞれの時代の社会を切り取った3本をご紹介。
3本目は、横浜流星さん主演!ある村を舞台に、1人の男の変化と社会構造の歪みを浮き彫りにしたヒューマンサスペンス
『ヴィレッジ』
映画会社スターサンズ、河村光庸プロデューサーの最期の作品。クランクアップを見届けてからわずか一カ月後、去年の6月に亡くなりました。
その思いは、『新聞記者』『ヤクザと家族 The Family』でタッグを組んだ藤井道人監督に託されました。
舞台は美しい茅葺き屋根が並ぶ山あいの霞門(かもん)村。神秘的な“薪能”の儀式が伝承される村には、のどかな景色には異様さを感じる巨大なゴミの最終処理場が聳え立っています。
幼い頃からこの村で育ってきた優は、職場のゴミ処理場でいじめの標的にされながら、母親がギャンブルで作った借金の返済のために希望のない日々を送っています。かつて父親がこの村で事件を起こし、その罪を肩代わりするように生きてきた優には、人生の選択肢などなかったのです。
そんなある日、7年前に村を出て行った幼馴染の美咲が都会の生活に疲れ戻ってきます。
それをきっかけに、優の人生は大きく変わっていくのです…。
藤井監督は「今までに見たことがない横浜流星でないと意味がない。ラストシーンは泣きそうになった。一皮むけた流星がみられる」と話していますが、まさしくその通りで、脚本作りからロケハンまで深くこの作品に入り込んだ横浜流星さん。最後のアップは、優の生きてきた人生が全て込められているようで、私も泣きそうになりました。
脇を固めるのも素晴らしい役者さんたちです。美咲役は黒木華さん、村長に古田新太さん、その弟で能を受け継ぐ光吉に中村獅童さん、そして、セリフが一言もないのにものすごい存在感の村長一家の長ふみ役の木野花さんに圧倒されました。
これは、受け継がれるものの映画です。小さな村に伝承されてきた能の文化はその象徴。
そして、子供に受け継がれていく親の負の遺産も。家庭環境の格差が生む学力格差はやがて経済格差に。
さらに、強者が弱者から搾取する社会構造も引き継がれ、閉鎖的な村社会の同調圧力は、他者への不寛容を招き差別をもたらします。
小さな村社会では、良いものも悪いものも引き継がれてしまいます。その小さな社会にいると、「もうその負のループから抜け出せない」と思い込んでしまいがちです。そして失望してとんでもないことが起きてしまうかもしれません。
学校でも会社でもネット社会でも…私たちが住んでいる世界は広いようで狭いのかもしれませんね。
だからこそ、今、何をすればいいのか…いろんなことを考えさせられる作品です。
『ヴィレッジ』
2023年4月21日(金)全国公開
公式サイト:village-movie.jp
出演:横浜流星 黒木華 一ノ瀬ワタル 奥平大兼 作間龍斗 中村獅童 古田新太
監督・脚本:藤井道人 音楽:岩代太郎
企画・製作・エグゼクティブプロデューサー:河村光庸
制作プロダクション:スターサンズ 制作協力:Lat-Lon 製作幹事:KADOKAWA
配給:KADOKAWA/スターサンズ
製作:「ヴィレッジ」製作委員会 ©️2023「ヴィレッジ」製作委員会
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