ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町

2023.02.26

サンデー早起キネマ『ワース 命の値段』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
2/26は、俳優たちの素晴らしい演技に心打たれるアメリカの2作品をご紹介。

1本目は、全米の道徳観を揺さぶった驚くべき実話を元にしたヒューマンドラマ
『ワース 命の値段』

何か事件や事故が起きると、大きければ大きいほどその時は大体的に報道されますが、一段落してしまうと報道されませんし、その後のことは当事者だけの問題になってしまうのが、世の常ではないでしょうか?それではいけないんだとこの作品を観て考えさせられました。

物語の始まりは2001年9/11。あまりにも衝撃的な映像…そう!アメリカを襲った同時多発テロです。
数日後、首都ワシントンD.C.に事務所を構える弁護士ケン・ファインバーグは、テロ被害者とその遺族に補償金を分配する国家的プログラムへの協力を政府から依頼されます。
しかし数千人に及ぶ対象者への補償だけでなく、航空会社が破綻しかねない損害賠償の提訴を回避する
ことも目的であるこのプログラムは、引き受け手を探すのも大変な“汚れ仕事”でもあったのです。
それでも、このプロブラムの中心、特別管理人を無報酬で引き受けたファインバーグ。
調停のプロとして、一切の例外を認めず厳格な数式に拘る“計算マシン”として、揺るぎない自信をもって
臨みますが、様々な事情を抱えた対象者たちに接するうちに壁にぶち当たります。
年齢も職業もバラバラの被害者たちの値段をどうやって算出するのか?
そもそも誰もが平等なはずの命を差別化することは道義的に許されるのか?
独自の計算式に則って補償額を算出するファインバーグの方針に猛反対する人々。
プログラムの成功は、およそ7千人の対象者のうち80%が参加申請をすることなのにほど遠い数字です。2年間の申請期限が刻一刻と迫る中、苦境に立たされたファインバーグが下した決断とは…?

ファインバーグを演じたのは、名優マイケル・キートン。はじめは厳格な数式に拘るばかりだった弁護士が、様々な事情を抱えた遺族や反対派の声に耳を傾け、より多くの人々を救うための道を模索していく姿が本当に素晴らしく、観ている私たちの心もファインバーグと一緒に成長していくようでした。

人の命をお金に換算すること、人的損失を金銭化することは、よくあることではありませんが、事件や事故、災害があった時は、必ず考えなければならないことです。
その人の年収や将来性など考慮されることは、沢山あります。ただ、それだけでいいのでしょうか?
大切な人を突然失ってしまった理不尽に苦しめられている遺族の方々が必要としているものは何なのか?
被害者遺族それぞれの苦悩と向き合い、不可能とも思える使命に立ち向かった弁護士チームの2年間に渡る驚くべき軌跡は、その答えに向かう一筋の光のようなものを示してくれました。

『ワース 命の値段』
2月23日(木・祝)、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開

公式サイト:longride.jp/worth/
監督:サラ・コランジェロ
脚本:マックス・ボレンスタイン 
出演:マイケル・キートン、スタンリー・トゥッチ、エイミー・ライアン
2019年/アメリカ/英語/118分/シネスコ/カラー/5.1ch/原題:WORTH/日本語字幕:髙内朝子
提供:ギャガ、ロングライド 
配給:ロングライド
© 2020 WILW Holdings LLC. All Rights Reserved.

最新番組ブログ
    パーソナリティ
    • ひろたみゆ紀
      ひろたみゆ紀
      ひろたみゆ紀

      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

    • 過去のホームページ
    • 中山秀征の有楽町で逢いまSHOW
    • 週刊 なるほど!ニッポン
    • ウィークエンド・ケアタイム 「ひだまりハウス」 ~うつ病・認知症について語ろう~