おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
4/10は、公開されたばかり、趣がまったく異なる3本をご紹介。
まずは、ウクライナへのロシアの軍事侵攻が続き、多くの一般市民の犠牲者がでている今、ご覧頂きたいロシア映画
『親愛なる同志たちへ』
ロシアの巨匠アンドレイ・コンチャロフスキー監督が84歳にして描いたのは、祖国への愛と憎悪。
1962年、ソ連・南部の地方都市ノボチェルカッスクで起きた虐殺事件を取り上げたヒューマンドラマです。
6月1,2,3日とたった3日間の大変な出来事を描いています。しかも、ソ連崩壊後の1992年まで30年間も国家に隠蔽されてきた衝撃的な歴史なのです。
舞台となった1962年当時はフルシチョフ政権下。物価が高騰し、食糧不足が蔓延していました。
主人公は、第二次世界大戦の最前線で看護師として働き、今は共産党市政委員会のメンバーであるリューダ。国中が貧しい中でも贅沢品を手に入れるなど、共産党の特権を使いながら、女手一つで娘を育て、自分の父と3人、穏やかな生活を送っていました。
そんな中、6/1ノボチェルカッスクの国営機関車工場で大規模なストライキが勃発!物価の高騰で生活の困窮にあえぐ労働者たちが、さらなる給与のカットに抗議したのです。
これを受けフルシチョフ政権は、スト鎮静化と情報遮断のために、高官を現地に派遣。
そして翌6/2、ついにその時が来てしまいます。鎮圧を図るため戦車と共にソ連軍が現地に入り、街の中心部に集まったおよそ5000人のデモ隊や市民を狙って無差別に銃撃し始めたのです。
娘がこの中にいるかもしれない!リューダは、凄まじい群衆パニックが起きた広場を駆けずり回ります。
しかし見つかりません。娘を探すためついには党の規律を犯す行動に出るリューダ。そして、それを手伝うKGBのメンバー・ヴィクトル。
今日食べるものにも困って蜂起した市民たちが政府の銃に倒れる姿を目の当たりにし、さらにはそれを隠蔽しようとする国家の実態を前に、アイデンティティが打ち砕かれていく2人。
今まで自分たちが信じてきたものはなんだったのか?そして必死の捜索の果てにたどり着いた真実とは?
当時のソビエト映画のイメージに近づけるため、モノクロで撮影されたこの作品。あまりにも酷い、悪夢のような国家による国民への銃撃…白黒であることが、唯一の救いでした。
ずっと信じて忠誠を捧げてきた国家の真の姿を目の当たりにした時の衝撃が手に取るようにわかります。
昨日と今日、こんなに世界が変わってしまうなんて…どんな信念も娘への愛の前には無力であり、その愛を無視した信念は、成し遂げられてはならないものなのだと教えてくれます。国民あってこその国家なのだから。
どうか、どうか、この作品の思いが、ロシアに届きますよう…。こんな歴史は繰り返してはなりません。
『親愛なる同志たちへ』
4月8日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開
公式サイト:映画『親愛なる同志たちへ』公式サイト (shinai-doshi.com)
©Produced by Production Center of Andrei Konchalovsky and Andrei Konchalovsky Foundation for support of cinema, scenic and visual arts commissioned by VGTRK, 2020
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