おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
11/7は、「“知る”ということがどれだけ大切なのか」、不寛容の時代にご覧頂きたい作品を2本ご紹介。
1本目は、加賀まりこさんと塚地武雅さんが演じる親子を温かく誠実に描く人間ドラマ
『梅切らぬバカ』

「桜切るバカ、梅切らぬバカ」という言葉は、樹木の特性に合わせて対処する必要があるということですが、転じて、「人とのかかわりでも、相手の性格や特徴を理解しようと向き合うことが大切である」という教えでもあります。

加賀さん演じる珠子は、ちょっぴり辛口の人気占い師。家の前に女性の列ができるほどです。
塚地さん演じる自閉症の息子・忠(ちゅう)さんと2人、閑静な住宅街の古い家で寄り添って暮らしています。
毎朝決まった時間に起床して、朝食をとり、決まった時間に家を出る忠さん。
ささやかな幸せに満ちた日々を送ってきましたが、息子が50回目の誕生日を迎えた時、母はふと思うのです…「このまま共倒れになっちゃうのかね?」
庭にある梅の木の枝は伸び放題で、隣に引っ越してきた里村家から、苦情が来ていました。
ある日、自立への第一歩として、自閉症の方達が暮らすグループホームの案内を受けた珠子は、悩んだ末に忠さんの入居を決めます。
しかし、初めてお母さんと離れて暮らすことになった忠さんは、環境の変化に戸惑い、夜ホームを抜け出してしまいます。
そんな中、珠子は、隣家の邪魔になる梅の木を切ることを決意するのですが…。

一緒にご飯を食べ、一緒に笑って、たまに怒って涙して…沢山描かれる母と息子の何気ない日常が、愛おしくて、なにもない毎日がどんなに大切なのか気づかせてくれます。
加賀さんは54年ぶりの主演だそうですが、息子を思う母性、自立させようとする厳しさ、温かい愛情と感謝に溢れ、どんと構えているお母さん役が本当に素晴らしかったです。観ている私たちも珠子さんの大きな愛に包まれます。

そして、忠さん役の塚地武雅さんの演技も真っすぐで眩しくて目が釘付けでした。
「この作品が自閉症を知るきっかけになればいい」と仰っていますが、本当にそうだと思います。
人は知らないことに対して距離を置きたくなりますし、恐怖心も抱きます。
以前このコーナーで『自閉症の僕が跳びはねるわけ』というドキュメンタリー作品をご紹介しましたが、自閉症の方がどんな行動をとるのかを知っていれば、周りの人たちもむやみに恐れることなく、見方も接し方も変わります。
梅の木の枝が邪魔だと言っていたお隣の里村家の人々が、少しずつ変わる様子にホッとし、私達1人1人がそうならなきゃダメなんだと改めて思いました。

加賀さんは「いやでも明日はやってくる、この親子の日常は続く、どうか見守って下さい」と仰っています。そう、日常は続いていく…課題は山積みだけれど、それでもユーモラスでほっこり、温かな気持ちになれる素敵な作品です。

『梅切らぬバカ』
11月12日(金)より シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー
公式サイト:映画『梅切らぬバカ』オフィシャルサイト 11/12公開 (happinet-phantom.com)
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2021「梅切らぬバカ」フィルムプロジェクト

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