おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
10/24は、10/29に公開される三者三様の個性が光る3本をご紹介。
2本目は、アメリカのインディーズの雄として一斉を風靡した『イン・ザ・スープ』のアレクサンダー・ロックウェル監督の最新作。25年ぶりの日本公開作品
『スウィート・シング』

ロックウェル監督の実の娘と息子が主人公を演じました。
親に頼ることができず自分たちで成長しなくてはならない15歳の姉ビリーと11歳の弟ニコの物語。
大人のせいで辛い思いをする一方で、子供だけで過ごす純粋に楽しいひとときを描いた現代に生きる子供たちの『スタンド・バイ・ミー』とも言える作品です。

普段は優しいけれど、お酒を飲むと問題を起こす父アダムと暮らすビリーとニコ。
ビリーという名は、父が大好きな歌手ビリー・ホリデーから名付けられました。そのビリー・ホリデーは彼女の空想の中のゴッドマザー=魂の母親です。
実の母イヴが出ていってしまった後、父は子供たちに愛情はあるもののお酒に逃げる毎日を送るばかり。
イヴの恋人は、クラブを経営するマッチョで暴力的な男ボー。
クリスマスの日、色々問題が起きて、アダムはまたアルコールに頼り、結局、入院させられることになってしまいます。
その間、ビリーとニコは、母のイヴとボーが暮らす海辺の家に行くことになり、近所に住む少年マリクという友達ができます。
そして、ボーのある行動がきっかけで、ビリーとニコ、マリクの3人は海辺の家から逃走。
3人の冒険の旅が始まります!

この作品の一番の魅力は、ビリーとニコを演じた2人の子供たちと、少年マリク。
3人ともいわゆるプロの役者さんではありませんが、生き生きとした演技は見事!
そして、特にビリーを演じた姉ちゃんのラナの魅力が爆発!監督の愛情があるからこそ、ですね。
母親のイヴ役は、女優のカリン・パーソンズ。実は監督の奥さん、2人の本当のお母さんです。
お父さんのアダムは、監督の親友で、『イン・ザ・スープ』にも出演、映画『ミナリ』で強烈な印象を残したウィル・パットン。優しいけど心が弱くてだらしない、でも、子供にはずっと子供のままでいて欲しい…そんな複雑なお父さんがすごく良かったです。

愛はあっても頼りにならない父親や、子供より男性が大事になってしまう母親と油断ならない母親の恋人…いわゆる信頼できない大人たちの元から逃げ出し、自分の足で歩き出そうとする子供たちの姿は、自分の心の奥にしまってあった宝箱を開くカギになるかもしれません。
モノクロームとカラー、スクリーンを自在に操るアレクサンダー監督にやられました。
この上なく悲しいけれど、この上なく幸福なファンタジー…この秋、思いっきり浸りたい作品です。

『スウィート・シング』
10月29日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺他全国順次公開
公式サイト:http://moviola.jp/sweetthing
原題:Sweet Thing|2020年|アメリカ映画|91分|DCP|モノクロ+パートカラー
監督・脚本:アレクサンダー・ロックウェル
出演:ラナ・ロックウェル、ニコ・ロックウェル、ウィル・パットン、カリン・パーソンズ
日本語字幕:高内朝子 配給:ムヴィオラ
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