おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
9/12は、名優が奏でるその国らしい作品を3本ご紹介。
3本目は韓国らしい作品。
日本でも親子愛に号泣する観客が続出した2013年のヒット作『7番房の奇跡』のイ・ファンギョン監督の最新作
『偽りの隣人 ある諜報員の告白』
韓国の軍事独裁政権と民主化運動の対立をモチーフにした作品です。
この番組でも『タクシー運転手 約束は海を越えて』『1987、ある闘いの真実』などをご紹介しましたが、この作品は同じ1980年代を描きながらも、ひと味違う作品に仕上がっています。
監督は「あくまでもフィクションであり、特定の政治家をモデルにしたものではない」と語っていますが、時代背景や海外への逃避行、政治信念などから、「ああ、あの人だ」と日本にもゆかりのある大統領の名前が浮かんでくるのではないでしょうか。
軍事政権が国民の民主化運動を弾圧していた1985年。
次期大統領選挙を控え民主化運動が激化している中、政権から目の敵にされ海外に逃げていた野党総裁のイ・ウィシクが3年ぶりに帰国します。
彼の大統領選出馬を阻止すべく、国家安全政策部のキム室長は、ウィシク一家を自宅に軟禁、ウィシクを共産主義に仕立て上げ、国外に追放する作戦を実行に移します。
ウィシクの家に沢山の盗聴器を仕掛け、隣の家では、3人の盗聴チームが、24時間体制でウィシクを監視、キム室長に報告を上げています。
チーム長のデグォンは、国家のためと信じて、家族にも極秘で身を粉に働いています。
しかし、家族を愛し国民の平和と平等を願うウィシクの声や、普通の家族と同じ一家の平和な声を、盗聴器を通して聴き続けるうちに、デグォンは、ウィシク一家に情が湧き、一方で、過激さを増す上層部に疑問を持ち始めるのです。
そして、とうとうウィシク達に命の危険が迫ります!
デグォンを演じたのは、テレビドラマ「応答せよ1994」で大ブレークしたチョン・ウ。
忠誠を誓い信じていた国家の本当の姿が見えてきた時どうするのか…いい演技です。
そして、ウィシク役は『国際市場で逢いましょう』の名優オ・ダルス。
この2人が揃えば、ただの軍事政権下のスリリングな作品ではなく、温かなユーモアに包まれるヒューマンドラマになるから不思議です。
「なぜ韓国では民主化が遅れ、多数の犠牲者が出たのか?」監督の疑問と静かな怒りが投影されたヒューマンサスペンス。
何が大切で何が本当なのか…自分自身が考えないと多数派に流されていく怖さも感じました。
手に汗握るドキドキハラハラはもちろん、時には、クスっと笑い、温かな涙、悔し涙も流れます。そして最後には心に爽やかな風が吹き抜けていきます。
原題の이웃사촌(イウッサチョン)は「遠くの親戚より近くの他人」の意味。なるほどな~としみじみできる作品です。
『偽りの隣人 ある諜報員の告白』
9月17日(金)よりシネマート新宿ほか全国公開!
公式サイト:itsuwari-rinjin.com
2020年/韓国/韓国語/130分/シネスコ/5.1ch/原題:이웃사촌 /英題:BEST FRIEND /日本語字幕:安河内真純/提供:ニューセレクト/配給:アルバトロス・フィルム
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