ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町

2021.07.04

サンデー早起キネマ『わたしはダフネ』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
7/4は、三者三様、人生に深みを与えてくれる作品を3本ご紹介しました。

まずは、生きていく勇気と元気の宝箱・新たな珠玉のイタリア映画
『わたしはダフネ』

ダフネは快活で社交的なダウン症の女性。スーパーで働きながら、母マリア、父ルイジと平穏に暮らしていました。
しかしマリアが突然倒れて亡くなってしまい、生活が一変!
年老いたルイジは、「自分が死んだら娘が1人残されてしまう」と不安に苛まれ塞ぎ込むようになります。
ある日、ダフネはそんな父に「母が生まれた村に行ってみよう」と提案、トスカーナへ向かいます。
2人は山越え谷越え、美しい自然の中を一緒に歩きます。
途中、宿屋の夫婦や若い森林警備隊員たちなど、小さな出会いと別れを繰り返しながらの旅。
それは、愛する家族の死を乗り越え、お互いを理解し合うかけがえのない時間になっていくのです。

この作品の魅力は、ダフネです。
実は偉大なる哲学者なのでは?と思うほど素敵な考え方なのです。
仕事が大好きでとっても働き者、友達や職場の人たちを大切にしているから自分も愛される。
誰かが見ていなくても、横断歩道は手を挙げて渡り、バスではお年寄りに席を譲る。
辛いことがあっても前向きで、ユーモアのセンスもあるけど、ちょっと皮肉も言ったりする…
表情豊かで、はっきりした物言い。ハッとさせられる言葉がいっぱいです。

監督は、この作品が長編2作目で、初めて作品が日本公開されるフェデリコ・ボンディ。
数年前、年老いた父親とダウン症の娘がバス停で手を繋いで静かに立ち尽くす姿を見て触発され、生まれたのがこの作品。

主人公ダフネ役は、監督がSNSで見つけたダウン症のカロリーナ・ラスパンティ。
彼女は自伝を出版するなど創作活動をしていましたが、女優は初挑戦。
ダフネそのものの、チャーミングでシニカルな自然体の演技にぐいぐい引き込まれます。
それもそのはず、彼女は脚本を全く読まずに演技したというのです。
「カロリーナが映画に合わせるのではなく、映画がカロリーナに合わせる必要があった」という監督。
なぜなら脚本は裏切れても彼女を裏切ることはできなかったから。本当にそれ程、彼女の人柄で綴られている物語なのです。ちょっとドキュメンタリーをみているようです。

ダフネのセリフはどれも心に響きますが、ハッとしたのは「しんどいのは人間らしいってこと!」
「そうだよね、ダフネ!よし、次‼」って、笑って歩き出せる元気をもらえました。
ぶつかり合いながら折り合いをつけて生きていくのが家族。ささいな日常が愛おしくなる、そんな作品です。

『わたしはダフネ』

7月3日(土)より、岩波ホールほか全国順次ロードショー

公式サイト:www.zaziefilms.com/dafne/

監督・脚本:フェデリコ・ボンディ 原案:フェデリコ・ボンディ、シモーナ・バルダンジ 
エグゼクティブ・プロデューサー:アレッシオ・ラザレスキー
プロデューサー:マルタ・ドンゼリ、グレゴリオ・パオネッサ 撮影:ピエロ・バッソ 編集:ステファノ・クラヴェロ 音楽:サヴェリオ・ランツァ 衣装:マッシモ・カンティーニ・パリーニ
出演:カロリーナ・ラスパンティ、アントニオ・ピオヴァネッリ、ステファニア・カッシーニ、アンジェラ・マグニ、ガブリエレ・スピネッリ、フランチェスカ・ラビ
2019年/イタリア/イタリア語/94分/カラー/シネマスコープ 
原題:DAFNE 字幕翻訳:関口英子 
配給:ザジフィルムズ 後援:公益財団法人日本ダウン症協会
厚生労働省社会保障審議会 推薦 【中学生以上、保護者・指導者等、一般(啓蒙) 】
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      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

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