ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町

2021.06.27

サンデー早起キネマ『アジアの天使』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
6/27は、人生の意味を見つけるロードムービーを2本ご紹介しました。

2本目は、目から鱗、思い込みや既成概念をぶち壊してくれた作品
『アジアの天使』

『舟を編む』で日本アカデミー賞・監督賞を最年少で受賞、若くして国内外の注目を集めている石井裕也監督が、スタッフ・キャストの95%以上が韓国人、オール韓国ロケで挑んだ新境地。
監督が実際に体験した言葉や文化の違いによる噛み合わない会話やすれ違いを劇中にもいかし、妙なおかしみと妙な幸福感が漂う素敵な作品に仕上がりました。

あなたは天使を見たことがありますか?私は残念ながらまだないのですが、天使の姿は可愛い子供で、髪がクリンとした金髪で、とっても優しくて…というイメージがあります。あなたはいかがですか?
でも、この作品に登場する『アジアの天使』は、そんな私たちの概念を見事にぶち壊してくれます。
こんな天使っている?その姿を見た時、爆笑してしまいました。

妻を病気で亡くした小説家の青木は、「韓国で仕事がある」という兄の言葉を信じ、8歳の一人息子・学を連れてソウルにやってきましたが、いい加減な兄の嘘だったことが判明。韓国語も話せないのに、怪しい韓国コスメの輸入販売を手伝うハメに。
そんなある日、仕入れに行ったショッピングセンターで、青木は、観客のいないステージに立つソルを目撃します。元人気アイドルで歌手のソルは、兄と妹を養うために、所属事務所の社長と関係を持ちながら、細々と芸能活動を続けていました。

そんな矢先、コスメの仕事を一緒にしていた韓国人の相棒が商品を持ち逃げ!全財産を失った青木兄弟に残された最後の切り札は、胡散臭い韓国産ワカメのビジネス。藁をもつかむ思いで、ソウルから海のあるカンウォンドを目指します。
同じ頃、ソルは事務所から契約を切られ、兄と妹と3人で両親の墓参りへ向かいます。運命的に同じ電車に乗り合わせた日本人の3人家族と韓国人の3兄弟は思いがけず共に旅をすることに。
青木兄弟とソルの共通点は、“アジアの天使”をみたことがあるということ。やがてそのおかしな天使が現れた時、二つの家族に新しい奇跡が起きるのです…。

最愛の妻を亡くし大きな喪失感とともに兄を頼ってソウルにやってくるシングルファーザー・青木を演じたのは、池松壮亮さん。
弟とは対照的で、いい加減なところも逆に憎めない風来坊の兄は、オダギリジョーさん。弟に「この国はメクチュチュセヨ(ビール下さい)とサランヘヨ(愛してます)さえ話せれば生きていける!」と言うセリフがあるんですが、本当にその二言で適当に乗り切ってきた感があります。

いい加減は良い加減、適当は程よい…兄の生き方は哲学的でもあり、これでいいんだって肩の力を抜いてくれます。
それぞれ心に傷を持つ日本と韓国の二つの家族がソウルで出会い、国を超えて新しい家族の形になる魂のロードムービーは、私たちの魂をも揺さぶってくれます。

『アジアの天使』

2021年 7月2日(金)テアトル新宿ほか全国公開

公式サイト:http://asia-tenshi.jp/

出演:池松壮亮 チェ・ヒソ オダギリジョー
キム・ミンジェ キム・イェウン 佐藤凌
脚本・監督:石井裕也
配給・宣伝:クロックワークス
Ⓒ 2021 The Asian Angel Film Partners

 

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      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

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