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2017.05.29

安倍総理大臣「憲法施行から70年、議論を深め修練していく時期に来ている」~自民党総裁として発言

憲法改正問題について、憲法記念日のタイミングで発言した理由

須田)総理、よろしくお願いします。まさかお見えになっていただけるとは思っていませんでした。今日はいろいろなことをお聞き致します。

安倍総理大臣)よろしくお願いします。

東島)安倍総理には2週にわたって「総理に聞く」という題をつけまして、憲法改正、外交などいままさに国会で議論されていることを中心にお話をお聞きいたします。

須田)やはり、最初はこの問題について伺わなければならない。憲法改正問題なのですが、5月3日の憲法記念日にメッセージを出されました。その中で総理はこのようにおっしゃっています。
「私たち国会議員は、この国の未来像について、憲法改正の発議案を国民に提示するための具体的な議論を始めなければならない。その時期に来ていると思います」。
この憲法改正の議論というと国会における憲法審査会、ここで我々国民はきちんと議論していたのではないのかなあと思うのですが、なぜ、あえてこのタイミングでこのようなことを言わなければならなかったのでしょうか?

安倍総理)まずは、お断りをさせていただきますが、ここからは自民党総裁の安倍晋三としてお答えさせていただきたいと思います。
憲法施行からもう70年。今年は節目の年でもあります。議論を深め、これを修練させていく時期に来ているのだろうと、ずいぶんこの憲法については議論がありました。
憲法審査会ができてからも様々な議論が行われてきました。
私の発言は国会における議論の活性化、国民的な議論の深まりを期待したものです。世論調査によりますと、例えば、フジサンケイFNNの調査でも「活性化させるべきだと思う」と答えた方は75.6%、「思わない」と答えた方は18.9%。また、読売新聞がですね、「今後活発な議論が行われることを期待する」と答えた人が76%で、「期待しない」が17%、大体同じような結果が出ていると読めますね。議論を活性化させていく、あるいは収斂させていくためにも、責任を持って各党は自分の案を出していくべきなのだろう、と思うのです。予算委員会等々で行われている議論のように、政府が予算を出したり、あるいは政府が法案を出したり。もっぱら野党がそれを批判する……というようなものでは無くて、最後は、決めるのは一般の法案とは違い、国民の皆さんが国民投票で決めるものですから、国民投票で決めるためには、案を、当然出さなければいけない。その中において、自民党は第一党ですから。その責任を果たすために70年。施行から70年の、この節目の年に、しっかりと、どういう案を国民の皆様にお示しをするのか。つまり、国民の皆さんに判断していただくのか。その案を出すべきだろうと思います。やはり世論調査では、「各政党が憲法改正草案を作って、それを国民に示すべきか」と聞いているのですね。「示すべきと思う」が84.2%と、非常に高い数字が出ています。ですから、民進党の皆さんも、ただ批判するだけでなく、提案をする。それが国会議員としての責任だろうと思います。

「自民党総裁」と「内閣総理大臣」は、キッチリと区別して議論に臨む

須田)その辺りで、いま「民進党の批判」というのが出ましたが、一部野政党や一部のメディアが安倍さんがそういうことを提案したことに対して、「立憲主義の反する」と。「立憲主義を破壊することだ」というような批判をしていますが、この当たりはどのように思われますか?

安倍総理)そこのところは、私は全く理解ができないのですけどね。私は内閣総理大臣であると同時に自民党総裁です。自民党というのは結党以来、憲法改正を党是として掲げて来ています。選挙の際の公約でもお示しをしている。当然、総裁としては党の議論、あるいは国民の議論が活性化していくようにリーダーシップを示していかなければいけない。一方、内閣総理大臣でありますから、予算委員会等においては、内閣総理大臣として、出席を求められ、そして政府の考え方を述べることを憲法上要請されているわけですね。ですから、その場において滔々と「我が党の案が良い」と述べることは差し控えさせていただく、と言っていると、野党は「ここで述べよ」と言うから、「ここで述べるのは問題でしょう」と言っているのです。一方、党総裁としての役割としての議論は、当然します。たとえば選挙になれば、自民党総裁として、党の考え方を堂々と述べていきます。いわば、立憲主義というのは「国民が政府の権力の行使を縛るもの」としている憲法であるからですね。いわば行政府側が、「それについてあれこれ言うのはおかしい」という理論でしょうけれど、私はしっかりとその辺は内閣総理大臣として、あるいは自民党総裁として、きっちりと区別しながらお話をしているつもりです。

須田)だから今日の番組の冒頭で「これは自民党総裁として」と。立場を使い分けるということですね。

安倍総理)そうですね。ですから、自民党総裁として申し上げている。でも、自民党のリーダーとして、第一党のリーダーですから。第一党のリーダーとしては、国民に広く訴え、議論を深めていく、促進していく。そういう責任があるのだろうと思っています。

須田)先ほど安倍さんにご指摘いただいた世論調査の結果を見ても、多くの国民が「憲法改正の議論を進めていくべきだ」ということに関しては、かなり高い支持を得ている、ということですね。ですからそういった意味で言うと、安倍さんは自民党総裁として、一国会議員として、立法府の立場として、今回の提案を行ったわけで、そこは総理大臣、つまり憲法に縛られる行政府とは一線を画しているという理解で良いですかね。

安倍総理)そうですね。もちろん、政府として提案するということではありません。そしてもちろん、法秩序ができるのは、国会ですね? 国会に出すのはそれぞれの政党が責任を持って案を出すべきだろうと。その政党の、自民党の総裁として私は、自民党においてしっかりと議論を収斂させていこう、ということを申し上げているのです。

「自衛隊は違憲か?」長年の議論に終止符を打つのが我々の世代の責任

須田)もう1点、世の中的な論調として違和感を覚えたのは、「しかし多くの憲法学者や政党の中には、自衛隊を違憲とする議論が今なお存在しています」と発言されていますよね。今の憲法学者は、「自衛隊がそんなに「違憲だ」とは言っていないんじゃないか」という批判も出ているのですが、この辺はいかがなのでしょうか。

安倍総理)そんなことはないですね。実際に、多くの憲法学者、7割以上の憲法学者が違憲の疑いを持っています。たとえば朝日新聞の憲法学者へのアンケート結果なのですが、「自衛隊は憲法違反」と考える人は41%で、「憲法違反の可能性がある」と考える人は22%なのです。そういった結果、朝日新聞の結果でも、そういう結果になっています。ですから、その結果どうなっているかと言えば、教科書には「政府は合憲の立場だけれど、自衛隊の存在は憲法違反である」という記述が、憲法違反である、という考え方がある、と。あるいは、多くの憲法学者がそう述べているという趣旨の記述が、ほとんどの教科書に載っています。ですから、たとえば東日本大震災で頑張った自衛隊の皆さんの子どもたちは、学校で、この教科書で勉強するのです。「お父さんはあんなに命がけで頑張ってたのに、教科書には「憲法違反」って出てるよ?」、これはやはりおかしいのですよ。大災害があったとき、あるいは万が一海外からの侵略に遭ったとき、命を懸けて国民を守るのが、自衛隊の指名なのです。その職務の存在に対して、未だに違憲かどうか議論がある。これに終止符を打つのが、私たちの世代の責任ではないか、と思います。

須田)私、今安倍さんの話を聞いていて思い出したのですが、一昨年の、そんなに古い朝日新聞のアンケート調査ではなくて、一昨年の安保法制の議論をしている最新のアンケート結果ですよね、これは。

安倍総理)そうですね。2015年の議論です。ですから、その中で、自衛隊が合憲か否か、ということが議論になる余地を一切無くすため、憲法に自衛隊について明記することは、私は当然議論に値するだろうと。国民の皆さんにその判断をしていただきたいな、と。私は議論に値すると、こう思っています。ただ、まだ自民党の中では自民党案がありますから。それはまた、これから。たとえば自民党の中においてもしっかりと議論をして行ってもらいたいと思いますし、国民の議論も深まっていけば、と期待しております。

須田)安倍さんの言うように、教科書にそうした記述があって、その子どもたちが学校におかれている状況を考えると、その記述を取っ払って、胸を張って自衛隊の方には職務を果たしてもらいたいなと思いますね。

安倍総理)当然、自衛隊の存在が明記されれば、教科書には完全に違憲合憲の議論が終わりますから。当然、そうした記述はなくなると思います。また、もう一つ私としては提案をさせていただいたのは、教育について。これは維新の会の皆さんが、憲法改正案として示していますが、憲法というのは、国の未来や理想を語るものですね。国の未来とは、まさに子どもたちのことだろうと思います。世代を越えた貧困の連鎖を断ち切り、家庭の経済事情に関わらず、子どもたちが夢に向かって頑張ることのできる国、日本でありたいと思います。そのためには、高等教育もまた、すべての国民に真に開かれたものでなければならないと、そう思っています。そのために、どのような記述をすべきか? ということについては、やはり議論をしてもらいたいと思います。安倍政権としてはもちろん、いま申し上げた「貧困の連鎖の断ち切り」、「どんな家庭においても頑張っていきたいという子どもたちにとって、未来が開かれていなければならない」、「高等教育、専修学校、大学にも進学できる日本でありたい」と思っています。我々はその中で、給付型の奨学金も始めました。必要とするすべての子どもたちに、無利子の奨学金が届くようにしたし、国公立の学校は授業料の免除をしっかりと進めています。

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      須田慎一郎

      経済誌の記者を経て、フリーのジャーナリストに。週刊誌や新聞などで執筆活動を続けるかたわら、ラジオ、TVの報道番組で活躍中。政界、経済界での豊富な人脈を元に数々のスクープを連発。

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      東島衣里
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      東島衣里
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      1991年1月4日生まれ。
      長崎県出身。
      趣味は読書、料理。
      特技はバレエ、ぱぱっと料理。
      Facebook:東島衣里

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