嘘や誤魔化しアリの難しい世界
東島)今日のゲストは、今一番芸能界の裏側を知る男、
芸能レポーターの井上公造さんです。
井上)よろしくお願いします。そんなに裏は知っていないと思いますが。
須田)僕はかつて、芸能記事というのを1度だけやったことがあるのですよ。あるプロ野球選手が引退したあと、投資をしていました。投資に失敗しちゃって、お金を預けているヤツに「金返せ」と暴力団組員を同行して、脅かした。こういうスキャンダルがあって。それをあるところで聞き込んで、書いたのです。そしたら、最終的には、脅かされた被害者と、脅かした側が手打ちしてしまって。私は梯子を外された格好になり、「あいつは嘘つきだ!」みたいな話になって、この業界はみんなウソは付くわ誤魔化すわ、本当のこと言わないわ、難しい業界だなぁ、と。思いました。
東島)誰のことですか?
須田)えー……
井上)いやいや、それは言えないでしょう。それを言ったら「ふしぎ発見」になってしまう。
須田)アハハハハ……言ってるじゃないですか!(笑)
井上)いやいや。でもたしかに……
須田)難しい分野ですよね。
癒着と密着は背中合わせ 芸能界のネタ集めの難しいところ
井上)僕も新聞記者をやっていたので、いわゆる事件記者とかもやったことがあるのですが、事件記者というのはその事件の取材が終わったら、事件の関係者とあまり顔を合わせることがない。ただ、芸能界は1つの村なので、その人のスキャンダルを書いて、当人や事務所の人とまた会うじゃないですか。その会うことの難しさ。いわゆる「記者クラブ」と一緒ですね、「記者クラブ」の難しさ。癒着と密着が背中合わせにあるのです。それが癒着になるとアウトだけど、でも密着しておかないとネタが入ってこないのが、なかなかやりづらいところではありますね。特にテレビは。
須田)そういう意味で言うと、最近「一強」というのがすごく流行っているじゃないですか。総理で言うと、いまの安倍さんも一強。いろいろな新聞やメディアで書かれている通り。さっき週刊誌業界で言うと、先週出てもらった、新谷さんの週刊文春、一強ですよね。
そういう点で言うと、どうなのですか? 芸能ジャーナリズム業界で一強だと思わないですか?
井上)いや、一強では……ウチは初めて芸能レポーターだけの事務所を作ったんですね。それで、芸能レポーターだけの事務所を作ったから、ウチの事務所のレポーターがいっぱい出ているから、そう言う人はいますけど、ただ、テレビというのは、昔みたいに、僕らはホントに、週刊文春さんみたいにネタ仕込んで、張り込んで、それで……大竹しのぶさんの家に13日間張り込んだことがありますよ。そういったことを普通にやっていたんです。ところが、それがやれなくなったいくつかの理由があって。1つは、テレビ局にお金がなくなった。何日も張り込むということは、空振りもあるわけですから。だから、無駄なお金を使ってしまう。それと、もう1つは、やはり制作とか編成という部門がどこのテレビ局にもあって。そこではドラマ作ったり歌番組を作ったり。いろいろ作っているわけですよ。そっちにタレントさんが出て貰って、プロダクションにお世話になっているということになると、ワイドショーとか情報番組というのは、どうでもいい存在なのです。要するにメインではないから。ゴールデンで放送しているようなドラマであったりバラエティであったりの事務所とかタレントさんのほうが当然大事ですし。
報道番組と情報番組の違い
井上)もう1つあるとすれば、まだ僕らがニュース番組、報道番組であれば、これは「報道」という言葉を盾に使えるのですが、中途半端なのですよ。情報何組というのは。報道でもないし。僕、嫌なんですよ「社名を名乗ってから共同会見で話せ」と言われるの。「社名は何か関係あるんですかね……?」と思うわけですよ。それで、僕らが社名や番組を言っただけで、「もうお前なんかどうでも良いよ」みたいな感じになるのですよ。そこは、まぁ芸能会見ならともかく、そうじゃない会見に行くと、「君が聞きたいのはどうせスキャンダルの話でしょ?」みたいな感じで、指して貰えなかったりします。
須田)そのときの気持ちはどうなのですか?「悔しい!」みたいな気持ちになるのですか? コノヤロー! みたいな。
井上)なりますし、基本的に僕は政治だろうが経済だろうがスポーツだろうが芸能だろうが、いわゆる「ニュース」という物に垣根はないと思っている。だから、それはそれを見たい人、聞きたい人がいるわけだから、だから「どっちが偉い」とかは、あまり無いのではと思いながら、その自負でやっているのですけど。まあ確かに、「北朝鮮からミサイルが!」という話になってきたら、そっちを優先するのは当たり前。それは分かりますよ。
昨今の不倫狩りに違和感
井上)僕、前回乱入させていただいたときに、時間がなくて言えなかったのですが、最近不倫狩りになっているのは、すごく嫌です。
須田)逆に嫌なのですか。
井上)だって、不倫は昔からいっぱいあるわけですよ。ところが今は、SNSやあの類の物が発達してしまったために、昔より数がバレているのです。特に、週刊文春があれだけやったから、何だかリークする人も増えた。でも、不倫というのは、どんなテレビ局のどんなフロアにも、どんなラジオ局のどんなフロアにも、週刊文春の編集部にだって、絶対にいるのですよ!
東島)えっ、近いところにも。
井上)いや、いないとおかしいのですよ。それは良い悪いの話ではない。それで、どこからか「不倫」と「覚醒剤」が同じ扱いになってしまうんですよ。いや、不倫は良くないですよ。 良くないことを分かったうえで僕は言っているのですけど、でも、ちょっと僕は文春さんがやったので言うと、中村芝翫さん。「芝翫さんと、祇園の芸妓さんくらい、もう見逃してあげなよ!」と思うのですよ。それはもうそういう世界だから。フライデーがやったネタで、円楽さんのがあったでしょう?
須田)はい。
井上)円楽さんの歳で不倫しているのは立派ですよもう! と僕は思うのですけど。
須田)色街というのはそういうところだし、何か潤いと言うのかな? 遊びの部分ですからね。
井上)そうなんだよ。だから、かつて石田純一さんが「不倫は文化」と言った、というのはね、略して伝わっているけれど、たしかに文学というのは、昔からそういう禁じられた恋の中から生まれているじゃないですか。だから、ちょっと何だかみんなで「あいつ不倫している」、「あいつ不倫している」と。そして最近、若手の芸人にまで行き始めたでしょう?
東島)多いですよね。
井上)正直、東京03の誰かが不倫していてもまったく興味がない!
須田)でも、どうなの? 視聴者、読者代表として、東島とかは不倫の記事とかニュース、興味ある方じゃないの?
東島)よく女性が怒ったりしますけれど、そんなに私は「もういいかな、おなかいっぱい」と思う時期はありました。
須田)あ、そう! 俺は「もっともっと見たいな! アイツやってるんじゃないかな?」みたいな(笑)
井上)まあ、人によりますよね。
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