【スピードスケート 高木美帆選手】
30歳になった現在も国際大会で圧倒的な強さを見せ、女子スピードスケート第一線で活躍を続けている高木選手。冬季オリンピックでは、2018年の平昌大会と22年の北京大会で2大会連続金メダリストとなり、個人・団体合わせて通算7個のメダルを獲得しています。今年1月には、アメリカのミルウォーキーで開催されたスピードスケートのワールドカップ第4戦・女子1000mで優勝。これでワールドカップ個人種目・通算35勝目を挙げ、男子の清水宏保選手、女子の小平奈緒選手の34勝を抜いて日本勢最多記録を更新しました。高木選手がワールドカップの個人種目で初勝利を挙げたのは、16年12月のこと。以来足かけ10年。35勝の内訳は、1000mで11勝、1500mで23勝、3000mで1勝。清水選手と小平選手は短距離種目で勝利を重ねてきましたが、高木選手の場合は中距離の1500mを中心に、短距離・長距離でも強さを発揮してきたところに大きな価値があります。
頂点に立ったのも束の間、2月にポーランドで行われたワールドカップ第5戦でも、高木選手は女子1000mで優勝。この種目では開幕から5連勝となり、3季連続・種目別総合優勝を決めると同時に、通算勝利数を36に伸ばしました。30歳になっても無敵の強さを誇っている秘密は、23年に自ら動いてトップスケーターや指導スタッフを集めて作った「チームゴールド」にありますコーチに迎えたのは、ナショナルチーム時代の恩師ヨハン・デビット氏。高木選手はこのチームでトレーニングを積み、来年行われるミラノ・コルティナダンペッツォ・オリンピックの金メダルを目指します。
【フィギュアスケート 千葉百音選手】
女子フィギュアスケート界で期待の若手・千葉選手は19歳。オリンピック連覇を果たした羽生結弦さんと同じ宮城県仙台市出身で、4歳の時にフィギュアスケートをテレビで見て競技を始めました。練習場所は、羽生さんの練習拠点でもあったアイスリンク仙台。羽生さんを兄のように慕い、どんどんスケートの楽しさにのめり込んでいきます。その後、羽生さんの母校・東北高校へ進学した千葉選手は、ジュニアの大会で表彰台に上るようになり、国内トップ選手へと成長。羽生さんも妹分の千葉選手を優しく見守り、時には檄も飛ばしました。それを受けてこれまで以上に練習に励んだ千葉選手は、シニアに転向した2023年の全日本フィギュア選手権で2位に輝き、初めて表彰台にのぼると、翌24年の四大陸選手権ではショートプログラムとフリーの両方でトップとなり、金メダルを獲得。世界にその名を轟かせました。
昨年春、千葉選手は羽生さんと同じ早稲田大学人間科学部に進学。世界選手権にも初めて出場しますが、総合7位という結果に終わりました。昨シーズンのグランプリシリーズでは、NHK杯で2位、中国杯でも2位となり、総合5位でグランプリファイナルへ初出場。優勝はアメリカのアンバー・グレン選手にさらわれ、銀メダルと悔しい思いをしました。連覇を狙った今年2月の四大陸選手権でも、フリーの前日に体調を崩し公式練習を欠席。本番でも演技に精彩を欠いて、総合6位に終わります。しかし最悪の体調でも棄権せず滑り終えたことは、貴重な経験と自信になりました。来週からは自身2度目となる世界選手権、そして来年は憧れの大舞台、ミラノ・コルティナダンペッツォ・オリンピックが控えています。
【スキージャンプ 葛西紀明選手】
2014年に41歳でソチ・オリンピックのスキージャンプに出場し、個人で銀メダル、団体では銅メダルを獲得。当時、冬季オリンピックの日本人最年長メダル記録を更新した葛西選手。18年の平昌大会にも45歳で出場し、冬季オリンピックの出場最多記録を8回に伸ばして大きな話題を集めました。さらに4年後の北京大会は出場を逃したものの、53歳で迎える26年ミラノ・コルティナ大会を目指すと宣言。第一線で活躍を続けています。一時はワールドカップの代表枠から外れていましたが、24年1月に下部大会で好成績を残して翌月のワールドカップ札幌大会に出場。そこで30位に入って、4シーズンぶりにワールドカップの海外遠征メンバーへ返り咲きます。成績次第では中で他の選手と入れ替えになる可能性もありましたが、年齢が半分以下の選手たちに混じって、3月末の最終戦までその座を死守し、葛西選手は、ワールドカップ・ポイントの最年長獲得者としてギネス世界記録に認定されました。
52歳で迎えた今シーズン。2月1日に札幌の大倉山ジャンプ競技場で行われた国内大会では、1回目にこれ以上飛ぶと危険とされるヒルサイズを5m上回る142m、2回目もK点を超える131mの大ジャンプを見せて優勝を飾ります。さらに翌週の国内大会でもビッグジャンプを2本揃え、2週連続優勝を果たしました。この好調ぶりを支えているのは、尽きることのない進化への探究心。スロベニア人のコーチを招聘し、ヨーロッパの最新技術習得を怠りません。2月16日には、ワールドカップ札幌大会に出場。予選を突破し、自身が持つワールドカップ・個人最多出場の世界記録を579試合に更新。1年後に迫った冬季オリンピックの代表返り咲きはもちろん、60歳現役を目指してレジェンドのビッグフライトは続きます。
【スノーボード 平野流佳選手】
スノーボード・ハーフパイプで注目の日本人選手といえば、北京オリンピックの金メダリストで、3大会連続メダル獲得中の平野歩夢選手を思い浮かべますが、世界に名を轟かせる“ヒラノ選手”がもう1人います。先週23歳になったばかり、大阪出身の平野流佳選手です。ワールドカップデビューは2018年。第2戦と第4戦で2位と表彰台にのぼり、いきなり総合2位に輝きます。さらに世界ジュニア選手権で優勝を飾るなど好成績を続け、19年には全日本スキー連盟が期待の10代選手を表彰するネクストヒーロー・ヒロイン賞も受賞。若手の注目株として期待を集めます。流佳選手がさらに世界を驚かせたのは、20年です。1月にユースオリンピックで金メダル。2月には、当時ワールドカップ11連勝中と無敵を誇ったオーストラリアの絶対王者、スコッティ・ジェームス選手を破り、ワールドカップ初優勝を成し遂げました。
流佳選手の好きな言葉は「努力あるのみ」。雪国ではない大阪で生まれ育ち、スノーボードに打ち込むのが大変な環境で努力を続けて、22年に19歳で北京オリンピックに初出場。結果は12位と振るいませんでしたが、この悔しさも糧にさらに努力を重ねてきました。そのひたむきな努力の甲斐あって、2022-23年シーズンはワールドカップ4試合中3大会で優勝し、自身初の種目別年間王者に輝きます。さらに2023-24年シーズンは、優勝こそなかったものの、5大会に出場して4度表彰台に上がる安定感を見せ、2シーズン連続で種目別の年間合王者に輝いたのです。そして今シーズンも好調を維持。2月にアメリカで行われたワールドカップ第4戦では、最終滑走でただ1人90点台の93.25を叩き出し、2位の平野歩夢選手、3位の18歳ホープ、山田琉聖選手を抑えて流佳選手が頂点に立ち、日本勢が表彰台を独占しました。
【スノーボード 荻原大翔選手】
スノーボード競技の中で、大型ジャンプ台から飛び出して空中技を披露し、難易度や完成度・高さ・着地などを採点する種目「ビッグエア」。このビッグエアで世界を驚かせ続けているのが、19歳の荻原選手です。最大の魅力は空中での回転数で「世界が注目する日本のスピンマスター」と呼ばれるほど。3歳でスノーボードを始め、物心ついた時には自由に雪の上を滑れるようになっていたという荻原選手は。9歳の時に「1080」と呼ばれる3回転に成功。そのチャレンジ動画は世界に拡散され、スノーボード界で一躍話題になりました。2017年に12歳でプロ資格を獲得し、21年には全日本ジュニアだけでなく、全日本スキー選手権で優勝。さらに、18歳以下の世界選手権、ワールド・ルーキー・ファイナルズに15歳で出場し、世界から集まった若手トップライダーたちを抑えて初優勝を成し遂げます。荻原選手は翌年も、全日本選手権とワールド・ルーキー・ファイナルズを連覇。結果を出し続けました。
22年4月、荻原選手は世界初の偉業を成し遂げます。これまで誰も決められなかった6回転の大技「2160」を成功させて、6回転時代の幕開けとしてスノーボード界に衝撃を与えました。大技だけでなく、安定感のある成績を残せるのも荻原選手の魅力です。23年10月には、18歳でワールドカップ初優勝。今シーズンも、昨年12月に中国で行われたワールドカップで5回転技を着実に決め、通算2勝目を挙げました。大技と勝負強さ、その両面を見せたのが、今年1月に世界のトッププロが集まったXゲームです。この大会で連覇を狙っていた同い年のライバル・長谷川帝勝選手を抑え、初出場初優勝の快挙を達成。しかも荻原選手は6回転を超えるさらなる大技、横6回転半の「2340」を世界で初めて成功させる偉業までやってのけました。
来週のスポーツ伝説は……
3/24(月) プロ野球 浅野翔吾選手
3/25(火) プロ野球 松尾汐恩選手
3/26(水) プロ野球 岩瀬仁紀投手
3/27(木) 野 球 イチロー選手
お楽しみに!!
2025.03.27
2025年3月24日~27日の放送内容
【プロ野球 浅野翔吾選手】 大型補強のもと、2年連続のリーグ優勝を目指す読売ジャイアンツ。選手の層が厚いため、高卒の生え抜き野手がチャンスを掴むのは並大抵のことではあ...
2025.03.21
2025年3月17日~21日の放送内容
【スピードスケート 高木美帆選手】 30歳になった現在も国際大会で圧倒的な強さを見せ、女子スピードスケート第一線で活躍を続けている高木選手。冬季オリンピックでは、20...
2025.03.14
2025年3月10日~14日の放送内容
【プロ野球 田中将大投手】 昨年のオフ、東北楽天ゴールデンイーグルスを退団し、読売ジャイアンツへの入団を発表した田中投手。2006年に高校生ドラフト1位で東北楽天に入...
2025.03.06
2025年3月3日~7日の放送内容
【メジャーリーグ 菊池雄星投手】 岩手県の花巻東高校時代から注目を浴びてきたサウスポー・菊池投手。2019年にアメリカ・メジャーリーグに活躍の場を移すと、5年目の23...
2025.02.28
2025年2月24日~28日の放送内容
【プロ野球 遠井吾郎選手】 今年で球団創立90周年を迎えた阪神タイガース。遠井選手は1950年代~70年代にかけて、阪神ひと筋で20年間プレーした名物選手です。ぽっち...