スポーツ伝説

2025.03.06

2025年3月3日~7日の放送内容

【メジャーリーグ 菊池雄星投手】
 岩手県の花巻東高校時代から注目を浴びてきたサウスポー・菊池投手。2019年にアメリカ・メジャーリーグに活躍の場を移すと、5年目の23年、トロント・ブルージェイズで初のふたケタ勝利となる11勝をマークします。更なる飛躍を目指した昨シーズン。ブルージェイズが地区最下位に沈み、前半戦はなかなか勝ち星がつかずに4勝9敗と苦しみました。転機となったのは7月末、ヒューストン・アストロズへの電撃トレードです。アストロズは7年連続でプレーオフに進出し、そのうち2度ワールドシリーズを制覇した強豪チーム。24年7月末時点で地区1位でしたが、先発投手陣にけが人が相次いだこともあり、プレーオフを見据えた切り札として菊池投手を獲得したのです。菊池投手はアストロズでの2戦目で移籍初勝利を挙げると、その後の試合で自己最速の159キロを記録するなど、すぐに結果を出してみせました。
 その後も菊池投手は安定したピッチングを続け、菊池投手が投げる試合は負けないという好循環が生まれます。9月7日のダイヤモンドバックス戦では4失点ながら、8勝目をマーク。これがメジャー通算40勝目で、石井一久さんを抜いて日本人サウスポーでは単独トップになりました。またこの日、6つの三振を奪ってシーズン183奪三振に伸ばし、メジャー自身最多を更新します。アストロズでは5勝1敗、防御率2.70の成績で4年連続地区優勝に貢献し、メジャー移籍後初となるシーズン200奪三振の大台に到達しました。そしてメジャー7年目の今シーズン。菊池投手は高校の後輩・大谷翔平選手が所属していたロサンゼルス・エンゼルスに移籍。プレーオフ進出から10年も遠ざかり、昨シーズンも地区最下位に沈んだチームをどう変えるのか、新天地での活躍が楽しみです。

 

【メジャーリーグ 菅野智之投手】
 今シーズン、メジャーリーグで35歳のオールドルーキーとして注目されているのが、巨人のエースとして活躍した菅野投手です。昨年オフにFA権を行使してボルチモア・オリオールズへ移籍。35歳という年齢にもかかわらずメジャー球団から声がかかったのは、昨シーズン大活躍したおかげです。菅野投手は2024年、15勝3敗、防御率1.67、勝率8割3分3厘という成績で最多勝と最高勝率の2冠に輝き、自身3度目のセ・リーグMVPを受賞します。ただ、23年は自己ワーストの4勝しか挙げられず、年齢的にもピークは過ぎたと思われていました。そこから復活できた要因の1つは、投球フォームの見直しです。コントロールが改善し、仮にランナーを許しても絶妙なコントロールで内野ゴロに打ち取り、ダブルプレーで凌ぐケースが増えました。その結果、4年ぶりの防御率1点台につながったのです。
 復活の要因の2つ目は、フォークボールの改善です。以前は意識的に回転をかけずに投げていたフォークボールに横回転をかけたことで、フォークの落ちがより良くなりました。これまで菅野投手のウイニングショットはスライダーが中心でしたが、フォークが加わったことでバッターの対応も難しくなったのです。結果として、一昨年は自己ワーストの54個にとどまった奪三振数が、昨年は倍以上の111個に増加。メジャーで勝負する上でも有効な変化だと期待を寄せる解説者もいます。オリオールズでの背番号は19番。巨人でも入団から6年間つけた愛着のある番号であり、オリオールズでは巨人の先輩・上原浩治投手も背負った番号です。オールドルーキーの挑戦がいよいよ始まります。
  
 
    
【メジャーリーグ 佐々木朗希投手】
 千葉ロッテマリーンズ入団3年目の2022年に史上最年少の20歳で完全試合を成し遂げ、今年、ロサンゼルス・ドジャースに入団した“令和の怪物”佐々木投手。日本球界ラストイヤーとなった5年目の昨シーズンは、素晴らしい投球もあれば2度の登録抹消を経験するなど、浮き沈みの多い1年でした。それでも、ここぞという試合では結果を出すのが佐々木投手。10月1日の東北楽天戦では、9回 108球を投げ抜き、ヒット5本、三振10個を奪い1失点。逆転勝利を呼び込む好投で勝利投手となり、千葉ロッテのクライマックスシリーズ進出と、自身初のふたケタ・10勝目をマークしました。
 昨シーズン、大一番での勝負強さはもう1つありました。北海道日本ハムとのクライマックスシリーズ・ファーストステージ第1戦です。大事な初戦の先発を任された佐々木投手は、8回を投げ5安打無失点の好投で勝利を呼び込みます。その後、千葉ロッテは連敗を喫してファイナルステージに勝ち上がれなかったため、結果的にこれが日本プロ野球での最終登板になりましたが、佐々木投手は過去を含め、ポストシーズン3試合・17イニングを投げて自責点ゼロと、大一番に強いことを証明してみせたのです。ワールドシリーズ連覇を目指すドジャースにとって、佐々木投手のこの大一番での強さは大きな力になりそうです。

  
【大相撲 豊昇龍智勝関】
 昨年11月の大相撲九州場所千秋楽で、大関・琴櫻関と大関同士の相星決戦を戦った豊昇龍関。惜しくも敗れましたが、13勝2敗で優勝に準ずる好成績を挙げ、今年1月の初場所は横綱昇進が懸かる綱獲りの場所となりました。昇進するには、優勝が絶対条件。場所中に横綱・照ノ富士関が引退を表明したため、ますます期待されプレッシャーもあったのか、9日目までに平幕力士に3敗を喫してしまいます。この時点で、9戦全勝で単独トップを走る平幕の金峰山関とは星3つの差。横綱昇進は絶望的かと思われました。残り6日間、もう1番も負けられない崖っぷちの状況から、豊昇龍関の逆襲が始まります。
 豊昇龍関は10日目に連敗を止めると、11日目も勝って3敗を維持。12日目は1敗で単独トップを走る金峰山関との直接対決を制し、その差を星1つに縮めると、13日目は大関・大の里関、14日目は尊富士関と、優勝経験者を次々下して3敗のまま千秋楽を迎えました。その千秋楽で、先に取組みを迎えた金峰山関が王鵬関に敗れたため、豊昇龍関に自力優勝の目が復活。結びの一番で琴櫻関を下して3敗を守った豊昇龍関と、金峰山関・王鵬関の3人による優勝決定巴戦に持ち込みます。本割から15分ほどで巴戦初の土俵に上がった豊昇龍関は、まず金峰山関を寄り切りで土俵下に落とすと、続く王鵬関も寄り倒しで土をつけて自身2度目の幕内優勝を決めました。結果的に、千秋楽の「1日3勝」が決め手になり、1月29日、第74代横綱への昇進が決定。25歳の新横綱は、偉大な叔父・朝青龍関を超える大横綱を目指します。

 

【大相撲 金峰山晴樹関】
 横綱・照ノ富士関が場所中に引退を表明。代わって同じモンゴル出身の豊昇龍関が横綱昇進を決めた、今年1月の大相撲初場所。最後まで優勝争いのトップを走り、場所を大いに盛り上げたのは、カザフスタン出身の平幕力士・金峰山関でした。母国では柔道の選手で、来日してから相撲を始めた金峰山関。日本大学時代に学生相撲で活躍して、2021年11月の九州場所、三段目付け出しでデビューします。順調に番付を上げてカザフスタン出身者初の関取となり、23年3月の春場所で新入幕。いきなり11勝を挙げ敢闘賞を受賞……と、ここまでは順風満帆でしたが、その後は伸び悩み、昨年9月の秋場所で大きく負け越して十両へ陥落。四つ相撲で勝てると油断したことが原因でした。師匠の木瀬親方からの「お前は突き相撲」という助言を受け入れると、11月の九州場所で十両優勝。1場所で幕内に返り咲きます。
 新たな決意で臨んだ今年1月の初場所。自分本来の相撲を思い出した金峰山関は快調に白星を重ね、9日目に日大相撲部の後輩・尊富士関を破って無傷の9連勝。気づけば金峰山関は、優勝争いの単独トップを走っていました。10日目は小結・阿炎関に初黒星を喫しましたが、続く11日目は大の里関と対戦。師匠の言葉で気持ちを切り替え、前に出ることだけを考えた金峰山関は、強烈な右のど輪で大関を圧倒。12日目は大関・豊昇龍関に敗れますが、ここでまた切り替えて、大関・琴櫻関と霧島関に勝利。2敗で単独トップのまま千秋楽を迎えます。相手は3敗の王鵬関。勝てば初優勝が決まる大一番でしたが惜しくも敗れ、優勝決定巴戦でも再び豊昇龍関に敗れて優勝をさらわれてしまいました。2度目の敢闘賞を受賞し、番付が大きく上がる3月の春場所では再び気持ちを切り替え、得意の突き押し相撲で今度こそ優勝を狙います。

  
来週のスポーツ伝説は……
 3/10(月) プロ野球 田中将大投手
 3/11(火) プロ野球 三森大貴選手
 3/12(水) 高校野球 堂上直倫選手
 3/13(木) 高校野球 健大高崎高校
 3/14(金) プロ野球 吉田義男選手
                お楽しみに!!

最新番組ブログ
    パーソナリティ
    • 滝本沙奈
      滝本沙奈
      滝本沙奈

      滝本沙奈

      生年月日:1984年6月6日
      出身地:東京
      学歴:青山学院大学文学部英米文学科卒
      趣味:マリンスポーツ(ダイビング、サーフィン、釣り)
      資格:PADIオープンウォーターダイバー、おさかなマイスターアドバイザー

    • 過去の番組ホームページはこちら