スポーツ伝説

2025.01.31

2025年1月27日~31日の放送内容

【プロ野球 佐藤都志也選手】
 シーズンでの活躍を占う上で重要なプロ野球春季キャンプ。千葉ロッテマリーンズのキャッチャー・佐藤選手も、1年前のキャンプで飛躍のきっかけをつかんだ一人です。大学時代からバッティングに定評がありましたが、プロ入り後は数字が伸びず悩んでいた佐藤選手。昨年の春季キャンプでは、打撃コーチや打撃コーディネーター、アナリストらも交えてバッティングの改善点を話し合う場が設けられました。そこで出た結論は、反対方向へ叩くバッティング。この分析を踏まえ、佐藤選手は強引に振り抜くイメージではなく、ボールを叩くイメージでレフト方向へ打つスタイルを身につけます。するとプロ5年目で初となる開幕スタメンマスクを任され、4月の月間打率は3割7分8厘の高打率をマーク。打撃好調はその後も続き、前半戦の打率は2割9分8厘。オールスターゲームにも初めて選ばれ、夢の大舞台で大きな成果を残します。
 神宮球場で行われた昨年のオールスターゲーム第2戦。7番・キャッチャーでスタメン出場した佐藤選手は、第1打席でイメージ通りのレフトへのヒットで出塁します。次の打席でもレフトオーバーのツーベースヒットを放つなど、オールスタータイ記録となる1試合5安打をマーク。そのうち3本はレフト側への打球でした。反対方向へ叩く新たなスタイルでヒットを重ねた佐藤選手は、ロッテの選手では35年ぶりとなるオールスターMVPに輝いたのです。夏場以降は少し成績は落としたものの、プロ入り後初めて既定打席に到達し、打率はリーグ4位の2割7分8厘をマーク。好調なバッティングがリードにもいい影響を及ぼして、チームのAクラス入りにも貢献し、パ・リーグの捕手部門でベストナインに選ばれました。シーズン終了後には侍ジャパンのメンバーにも選出され、これ以上ない飛躍の1年となったのです。
 
 
 
【プロ野球 梶原昂希選手】
 昨シーズン、チーム打率セ・リーグ1位の強力打線を武器に、日本一を成し遂げた横浜DeNAベイスターズ。その中で、シーズン途中から1番打者に定着したのが梶原選手です。福岡ソフトバンクホークスの“ギータ”柳田悠岐選手に憧れ、大学時代は柳田選手を彷彿とさせる豪快なバッティングと、50mを5秒8の俊足、遠投110mの強肩を武器にしていた梶原選手。2021年のドラフト6位で入団すると、“ハマのギータ”と呼ばれて注目を浴びます。その名の通り、1年目のデビュー戦で巨人・戸郷翔征投手からプロ初ヒットをホームランで記録。さらにこの試合で、セ・リーグの新人選手史上初となるデビュー戦4安打をマークします。オフには、柳田選手の自主トレに参加してバッティングに磨きをかけると、プロ3年目の24年は開幕スタメンの座を勝ち取ります。チームリーダーの牧秀悟選手も絶賛したことで、梶原選手は改めてファンの注目を浴びるようになりました。
 昨年の7月、1番で先発出場する機会が増えた梶原選手は、7月19日からのヤクルト3連戦で、3安打、3安打、4安打と3試合でヒット10本の固め打ちを見せます。更に8月には、1試合5安打や16試合連続ヒットを記録して、夏場の2ヵ月連続で月間打率3割6分台をマークしたのです。最終的に昨シーズンの梶原選手は、規定打席には達しなかったものの打率2割9分2厘の好成績。持ち前の俊足ではリーグ2位の16盗塁をマークするなど、リードオフマンとして活躍しました。そして日本シリーズでは、憧れの柳田選手のいる福岡ソフトバンクと対戦。1番こそ桑原将志選手に譲りましたが、その後を受ける2番や6番・7番打者も務め、6試合すべてに出場。27打数9安打、打率3割3分3厘の活躍で26年ぶりの日本一に貢献しました。
 
 
  
【プロ野球 森敬斗選手】
 昨シーズン、26年ぶりの日本一を達成した横浜DeNAベイスターズ。福岡ソフトバンクホークスとの日本シリーズで活躍したのが森選手です。森選手は高校時代、全国屈指のショートとして名を馳せ、2019年のドラフト1位で入団。1年目のプロ初打席で初ヒットを放って勝負強いところを見せると、翌年からは着実に出場機会を増やしていき、4年目の23年は初の開幕スタメンを勝ち取ります。ところが、打撃の調子が上がらず2度の二軍落ち。右手を骨折するなど怪我にも泣かされ、一軍出場はわずか9試合に止まりました。5年目の昨シーズンは、大学を経た同学年の選手が即戦力ルーキーとして入団。オープン戦で結果を出せなかった森選手は、開幕ショートの座をルーキーに奪われてしまいます。危機感を覚えた森選手は早出でバットを振り込み、石井琢朗コーチの指導も仰ぎながら、地道に練習に励みます。それが実って、5月10日に待望の一軍昇格。その後二軍に落ちますが、9月7日に再昇格して、以後はショートのレギュラーとしてポストシーズンを迎えます。
 森選手は、阪神・巨人とのクライマックスシリーズ8試合すべてに出場。セ・リーグ優勝の巨人と戦ったファイナルステージ第6戦で先制点を許すエラーを犯しましたが、5回にタイムリースリーベースを放って挽回します。さらに同点の9回、二塁ランナーの森選手は、サードゴロの送球の間に三塁に進む好走塁を見せ、牧秀悟選手のタイムリーで生還。この1点が決勝点になり、横浜DeNA は王者・巨人を倒して3位からの日本シリーズ進出を決めました。森選手は続く日本シリーズでも6試合すべてに先発出場して、下位打線ながら打率3割。出塁率は4割4分を記録するなど、上位打線に繋ぐチャンスメイクの役割を果たして日本一に大きく貢献しました。ただ、試合出場数は昨年の71試合が最多。シーズンを通じてショートを守り、チームに貢献できるかどうか。 森選手にとって、6年目の今シーズは真価を問われる1年になりそうです。
 
 
 
【プロ野球 井上温大投手】
 昨シーズン、先発・リリーフの両方で活躍して、4年ぶりのリーグ優勝に貢献した読売ジャイアンツ・井上投手。群馬県の前橋商業高校から2019年のドラフト4位で入団。2年目の21年に左ヒジを骨折して、翌22年は育成契約でのスタートになりましたが、7月に支配下登録選手に復帰し、9月に待望のプロ初勝利を挙げます。しかし23年は春季キャンプの終盤に左ヒジの違和感で離脱し、プロ入りからの白星はわずか1勝という状況でした。勝負の5年目となった24年は、阿部慎之助新監督が就任し、井上投手は転機を迎えます。阿部監督が現役を引退して、ジャイアンツの二軍監督になったのが19年オフ。この年のドラフトで入団した井上投手は、阿部チルドレンの1期生なのです。二軍の頃から井上投手に注目していた阿部監督は、4月から一軍に上げて中継ぎで起用。6月からは先発投手に抜擢します。井上投手も監督の期待に応え、7月3日に地元・前橋で行われた中日戦で3勝目を挙げると、そこから5連勝。シーズン終盤までローテーションを守り抜き、8勝5敗、防御率2.76と大きく飛躍し、先発不足に悩んでいた阿部監督を救いました。
 優勝に大きく貢献した井上投手でしたが、阿部監督は昨シーズン、愛弟子に対して殊更厳しく接しました。8月10日の中日戦では無失点ピッチングをしていたにもかかわらず、6回でマウンドから降ろします。その理由に、4回の攻撃で失敗したバントを挙げました。8月24日の中日戦では、4対0と巨人がリードしていた7回、ベースカバーが遅れてランナーの出塁を許してしまいます。その後、ホームランを打たれたところで阿部監督が交代を宣言。昨年のオフ、井上投手の背番号「97」を若い番号にする話が出た時も、阿部監督が待ったをかけました。ただしこれらの厳しさはあくまで愛情の裏返し。井上投手も素直に受け止めています。さらなる飛躍を目指す6年目の今シーズン。リーグ優勝を果たしながら、日本シリーズ進出を逃した悔しさを晴らすためにも、井上投手は開幕からフル回転で先発の新たな柱を目指します。
 
 
 
 
【プロ野球 船迫大雅投手】
 プロ2年目の昨シーズンは、中継ぎで51試合に登板し、4勝・22ホールド、防御率2.37とブルペンを支え、4年ぶりのリーグ優勝に貢献した読売ジャイアンツ・船迫投手。大学と社会人時代に合計3度もドラフト漏れを経験している苦労人で、2022年のドラフト5位で念願のプロ入りを果たしました。右のサイドスローで、中継ぎとして1年目は3勝1敗8ホールド、防御率2.70の成績を挙げます。また36試合に登板して、投げたイニングはちょうど30イニング。実は船迫投手、昨年10月に28歳の誕生日を迎えたオールドルーキーですが、1軍での登板が30イニング以内のピッチャーという新人王の資格をギリギリ保持したまま、2年目の24年シーズンを迎えたのです。勝ちパターンで全試合、40登板以上という目標を掲げ、143試合ベンチ入り。昨年、全試合でベンチに入ったジャイアンツのピッチャーは船迫投手だけでした。その支えになったのが、左右の違いこそあれ、同じサイドスローのベテランピッチャー・高梨雄平投手です。
 23年、ルーキー船だった迫投手に、目の前の試合を戦いながらシーズン終盤までの戦いを見通し、さらには将来のキャリアのことまで視野に入れて投げることが大事と諭した高梨投手。2年目の昨シーズン、船迫投手はブルペンで高梨投手と試合経過を追いながら、どんな配球が有効かを話し合い、登板に備えていたと言います。そんな努力の甲斐あって、オフにはリーグ優勝への貢献度が評価され、みごと新人王に輝いた船迫投手。今シーズンは最優秀中継ぎ投手のタイトル獲得を目標に掲げ、28歳の新人王は腕を振り続けます。
 
 
 
来週のスポーツ伝説もお楽しみに!!
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    • 滝本沙奈
      滝本沙奈
      滝本沙奈

      滝本沙奈

      生年月日:1984年6月6日
      出身地:東京
      学歴:青山学院大学文学部英米文学科卒
      趣味:マリンスポーツ(ダイビング、サーフィン、釣り)
      資格:PADIオープンウォーターダイバー、おさかなマイスターアドバイザー

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