【プロ野球 筒香嘉智選手&桑原将志選手】
今年のプロ野球日本シリーズを制したのは、セ・リーグ3位からクライマックスシリーズを勝ち上がってきた横浜DeNAベイスターズでした。ベイスターズの本拠地・横浜スタジアムで行われた第1戦・第2戦は、パ・リーグ王者・福岡ソフトバンクホークスが連勝。下馬評通り、今年のシリーズはホークスが圧勝するのではというムードに包まれます。しかしここから流れを変えたのが、今シーズンからベイスターズに復帰した筒香選手でした。筒香選手は2017年、今年と同じくセ・リーグ3位から勝ち上がって、ホークスと日本シリーズを戦ったときの主砲。シリーズ全試合で4番を打ちましたが、2勝4敗で敗れて7年前は涙をのみました。その後、メジャーリーグに移籍するも思うような成績を残せず、5年ぶりに古巣へ復帰。筒香選手の優勝への熱い思いがチームを一つにまとめ、敵地・福岡で3連勝したベイスターズは、日本一に王手をかけて横浜に帰ってきました。
チームの牽引役になったのは、同じく17年の日本シリーズを知る桑原選手です。第3戦前の選手によるミーティングで檄を飛ばした桑原選手。全試合1番・センターで出場して、斬り込み隊長としてナインを鼓舞します。日本一がかかる第6戦でも、ベテラン2人の活躍が光りました。まず2回に、筒香選手のホームランで先制点。5回には桑原選手が満塁の場面で押し出しのフォアボールを選ぶと、筒香選手の走者一掃3点タイムリーツーベースも飛び出して、この回一挙7点を奪い試合を決めます。2連敗後、怒濤の4連勝で、セ・リーグ3位からの下克上を達成し、26年ぶりの日本一に輝いたベイスターズ。その瞬間、筒香選手は両腕を突き上げ、桑原選手と外野で抱き合いました。シリーズMVPには、打率4割4分4厘、シリーズ新記録の5試合連続打点で通算9打点を挙げた桑原選手が選ばれ、筒香選手も優秀選手に選ばれました。
【MLB 大谷翔平選手&フレディ・フリーマン選手】
ニューヨーク・ヤンキースと、ロサンゼルス・ドジャース。東西の名門球団が、43年ぶりにメジャーリーグの頂点を懸けて激突した今年のワールドシリーズ。ともにホームラン・打点の2冠王に輝いた、ヤンキースのアーロン・ジャッジ選手と、ドジャースの大谷選手の対決も話題を呼びました。10月25日、ドジャースタジアムで行われた第1戦。8回に1点を追うドジャースは、1アウト・ランナーなしの場面で、大谷選手が自身ワールドシリーズ初安打となるライトフェンス直撃のツーベースを放ちます。さらに相手の守備が乱れている間に三塁まで進塁。直後にムーキー・ベッツ選手が犠牲フライを放って同点に追いつき、試合はそのまま延長戦に突入します。10回表にヤンキースが1点を勝ち越しますが、その裏、ドジャースは2アウト満塁のチャンスで、3番のフリーマン選手がワールドシリーズ史上初となるサヨナラ満塁ホームランを放って劇的な逆転勝利を飾りました。これで勢いづいたドジャースは、第2戦・第3戦も勝って3連勝とし優勝に王手を掛けますが、第2戦で大谷選手にアクシデントが起こります。
第2戦の7回に出塁した大谷選手は二塁への盗塁を試みますが、この際に左肩を脱臼してしまいます。それでも大谷選手は出場を続けて、第4戦ではセンター前にヒット。走塁の際にはユニホームの首元をつかみながら走るなど、左肩への負担を極力減らしながら戦い抜きました。チームのために戦う大谷選手の姿に、ドジャースナインも発奮。3勝1敗で迎えた敵地・ヤンキースタジアムでの第5戦は序盤に5点を失う苦しい展開でしたが、5回、2アウト満塁からフリーマン選手の2点タイムリーを含む3連打で一挙5点を挙げて同点に追いつきます。続く6回、ヤンキースに1点を勝ち越されますが、ドジャースは8回に再び同点に追いつくと、大谷選手が打撃妨害で出塁。1アウト満塁のチャンスに、ベッツ選手が犠牲フライを放って7対6と逆転。このリードを守り切ったドジャースが、4年ぶりのワールドシリーズ優勝を果たしました。
【箱根駅伝 青山学院大学】
毎年1月2日と3日の2日間にわたって、東京〜箱根間を1チーム10人のランナーがリレー形式で走り抜く、大学対抗の箱根駅伝。昨年の優勝候補は、2023年の出雲駅伝と全日本大学駅伝を制した駒沢大学。対抗の一番手は、全日本大学駅伝2位の青山学院大学でした。ところが、本番1ヵ月前に青山学院の部内でインフルエンザの集団感染が発生。原晋監督も、来年のシード権が取れるかどうかと考えるほどのチーム状態でした。それでも原監督は『負けてたまるか大作戦』と銘打ち、選手たちに前向きな言葉をかけ続けました。その甲斐あって、1月2日の往路で選手たちは序盤から快調な走りを見せます。2区で2年生の黒田朝日選手、3区で3年生の太田蒼生選手がともに区間賞をマーク。しかも太田選手は、日本人選手で初めて1時間を切る59分47秒の好タイムで、トップの駒沢大学を逆転しました。
2年生・3年生の頑張りで、3区でトップに立った青山学院大学。4区では、4年生の佐藤一世選手が襷を受けます。佐藤選手は大会直前のインフルエンザだけでなく、虫垂炎も発症しましたが、驚異の回復力で区間賞の走りを見せ、大会新記録での往路優勝に大きく貢献しました。9区を走った倉本玄太選手は、初めての箱根路。9月に行われた記録会ではレース中にシューズが破れるアクシデントに見舞われ、出雲駅伝と全日本大学駅伝ではメンバーから外れてしまいます。それでも諦めることなく、コツコツ練習を重ねた倉本選手。箱根駅伝メンバーの選考レースで好タイムを記録し、みごとラストチャンスをつかみ取りました。最初で最後の大舞台。倉本選手は原監督の激励に応えてリードをさらに広げ、区間賞をマーク。選手全員がそれぞれの役目を果たした青山学院大学は、2位の駒沢大学に6分以上の大差をつける10時間41分25秒の大会新記録で2年ぶり7回目の総合優勝を飾り、記念すべき第100回大会を締めくくりました。
【プロ野球 藤川球児監督】
今シーズンから阪神タイガースの指揮を執る藤川新監督。2020年に現役を引退してから4年。岡田彰布監督が勇退した後を引き継いでの指揮官就任について、「必然」「運命」と表現した藤川新監督。1999年、ルーキーの藤川投手にプロ野球選手のイロハを教えてくれたのが、当時2軍監督を務めていた岡田さんでした。当初は先発として期待されながらも結果を出せず、一時は戦力外寸前まで追い込まれた藤川投手にリリーフ投手としての適性を見出したのも、1軍監督に昇格した岡田さん。背番号を92から、主力級の投手が背負う22に変更したのも岡田さんの提案でした。2005年、藤川投手は新背番号を背に、中継ぎ投手として当時の日本新記録シーズン80試合登板を果たし、46ホールドを記録してリーグ優勝に貢献。会見で岡田監督の残した思いをつなぐと語った藤川新監督は、就任にあたって迷わず「背番号22」を選びました。
藤川新監督は現役時代、さまざまな苦労も経験しています。13年からアメリカ・メジャーリーグに移籍し、シカゴ・カブスとテキサス・レンジャーズでプレーしましたが、ヒジの故障もあって3シーズンでわずか2セーブ。マイナーリーグ降格を経験する辛さも味わいました。15年にシーズン途中で帰国すると、6月から出身地の高知に本拠を置く独立リーグの高知ファイティングドッグスと契約。NPB入りを夢見る若手たちと一緒にプレーし、この年のオフに35歳で古巣・阪神への復帰を果たしました。復帰1年目の16年から4年連続で40試合以上に登板することができたのは、独立リーグで心身を鍛え直したことが大きかったといいます。勝つために必要なのは、過去の実績や名声ではなく、今持っている実力だけ。そのことを誰よりも知る藤川新監督は、就任会見で、名前や背番号ではなく、能力ある選手を数字とともに見ると明言しています。今年は阪神タイガースにとって、球団創設90周年というメモリアルイヤー。2年ぶりのリーグ優勝、日本一奪回が至上命題のシーズンに、藤川新監督の手腕が問われます。
【プロ野球 西口文也監督】
昨シーズンは、49勝91敗3分で借金42。50勝に届かず、5位のオリックスに14ゲームも離されて屈辱的な最下位に終わった埼玉西武ライオンズ。そのチームの立て直しを託されたのが、ライオンズひと筋30年、現役時代には投手として通算182勝を挙げた西口新監督です。西口投手は1994年のドラフト3位で西武に入団すると、プロ2年目の96年に16勝を挙げ、それから7年連続でふたケタ勝利を記録します。97年には15勝5敗、192奪三振を記録してリーグ優勝へと導き、最多勝・最高勝率・最多奪三振の投手3冠。沢村賞とパ・リーグMVPも手にして球界を代表するエースとなりました。2022年から3シーズンに渡って2軍監督を務め、昨年、イースタンリーグで優勝を争った手腕が買われて今回1軍監督に昇格します。ピッチャー出身の監督らしく、目指すのは「守りの野球」。そのカギを握っているのが、西口監督が現役時代につけていた背番号「13」を受け継ぐ髙橋光成投手です。
昨シーズンはエースとしての働きを期待されながら、まさかの0勝11敗。1勝も挙げられないまま、屈辱のシーズンを終えた髙橋投手に西口監督は檄を飛ばします。実は15年9月、西口投手が現役引退のセレモニーを行った時、マウンドに置き去ったグラブを拾い上げて受け継いだのが、当時のルーキー・髙橋投手でした。それから3年後、18年のオフに髙橋投手は背番号を「17」から「13」に変更。西武の大エース・西口投手の後継者になると宣言したのです。翌年、自身初の10勝を記録した髙橋投手は、21年から3年連続でふたケタ勝利をマークして、名実ともにライオンズのエースになりました。1995年以降の30年間で「西武の13番」を背負ったのは、西口投手と髙橋投手だけ。元エースが後継のエースをどう再生するのかにも注目です。
来週のスポーツ伝説は……
1/6(月) プロ野球 藤平尚真投手
1/7(火) プロ野球 小園海斗選手
1/8(水) プロ野球 坂倉将吾選手
1/9(木) 大 相 撲 琴櫻将傑関
1/10(金) 大 相 撲 豪ノ山登輝関
お楽しみに!!
2025.03.27
2025年3月24日~27日の放送内容
【プロ野球 浅野翔吾選手】 大型補強のもと、2年連続のリーグ優勝を目指す読売ジャイアンツ。選手の層が厚いため、高卒の生え抜き野手がチャンスを掴むのは並大抵のことではあ...
2025.03.21
2025年3月17日~21日の放送内容
【スピードスケート 高木美帆選手】 30歳になった現在も国際大会で圧倒的な強さを見せ、女子スピードスケート第一線で活躍を続けている高木選手。冬季オリンピックでは、20...
2025.03.14
2025年3月10日~14日の放送内容
【プロ野球 田中将大投手】 昨年のオフ、東北楽天ゴールデンイーグルスを退団し、読売ジャイアンツへの入団を発表した田中投手。2006年に高校生ドラフト1位で東北楽天に入...
2025.03.06
2025年3月3日~7日の放送内容
【メジャーリーグ 菊池雄星投手】 岩手県の花巻東高校時代から注目を浴びてきたサウスポー・菊池投手。2019年にアメリカ・メジャーリーグに活躍の場を移すと、5年目の23...
2025.02.28
2025年2月24日~28日の放送内容
【プロ野球 遠井吾郎選手】 今年で球団創立90周年を迎えた阪神タイガース。遠井選手は1950年代~70年代にかけて、阪神ひと筋で20年間プレーした名物選手です。ぽっち...