【メジャーリーグ 大谷翔平選手】
大谷選手にとって、メジャー7年目の2024年はさまざまな点でこれまでとは違う1年でした。1つは、ロサンゼルス・エンゼルスからロサンゼルス・ドジャースに移籍したこと。そしてもう1つは、昨年受けた右ヒジ手術の影響で今年は打者だけに専念したことです。春先からホームランを量産した大谷選手は、盗塁も積極的に企てます。8月には早くも、ホームラン40本、40盗塁を同じ年に記録する「40-40」達成が濃厚に。8月23日、本拠地・ドジャースタジアムで行われたレイズ戦。1番・指名打者で出場した大谷選手は、第2打席で内野安打を放ち出塁すると、二塁への盗塁を成功させて自身初の40盗塁に到達。この時点で、大谷選手のホームラン数は39本。同点で迎えた9回、ツーアウト満塁の場面で打順が回ってきた大谷選手は、自身初のサヨナラ満塁ホームランという劇的すぎる一打で、史上6人目の「40-40」を達成したのです。126試合目での達成は、これまでの記録を21試合も上回る史上最速でした。
大谷選手はシーズン佳境となる9月にもホームラン数と盗塁数をさらにを伸ばし、チームの勝利に貢献していきます。9月19日のマーリンズ戦。試合前にホームラン48本・49盗塁としていた大谷選手は、初回と2回に盗塁を決めてシーズン51盗塁に到達。さらに第4打席では2階席に飛び込む特大の49号。次の打席で自身初となる50号ツーランを放ち、大記録「50-50」を達成しました。加えて9回の第6打席では、3打席連続の51号スリーランを放ち、この試合だけで6打数6安打・10打点・2盗塁と大活躍。最終的にはホームラン54本、130打点の活躍でホームラン・打点の2冠王に輝き、打率もリーグ2位の3割1分。満票で3度目のMVPに選ばれています。指名打者に専念した選手がリーグMVPに輝いたのもまた、史上初の快挙でした。
【メジャーリーグ 山本由伸投手】
3年連続で投手4冠と沢村賞に輝き、オリックス・バファローズのリーグ3連覇に貢献。昨年暮れにロサンゼルス・ドジャースに移籍した山本投手。日本球界が誇る最高傑作とも呼ばれてきたピッチャーがメジャーでどれだけの成績を残せるのか、大いに注目されました。しかし公式戦デビューとなった3月21日、韓国で開催されたパドレス戦ではいきなり相手打線に捕まり、初回だけでまさかの5失点。わずか1イニングで交代となり、メジャーデビュー戦で先発した日本人投手では最速で降板という不名誉な船出となってしまいました。日本では修正能力の高さを武器としてきた山本投手。2度目の登板となった3月30日のカージナルス戦は、5回を2安打無失点と本来のピッチングを取り戻し、続く4月6日のカブス戦では3者連続三振を奪うなど、5回を3安打無失点に抑えて待望のメジャー初勝利を飾ります。しかしその後は、右肩を痛めておよそ3ヵ月におよぶ離脱もあり、移籍1年目は7勝2敗、防御率3.00。山本投手の凄さを知る日本のファンからすると、少し物足りない数字でレギュラーシーズンを終えました。
ポストシーズンに入ると、改めて本領を発揮。パドレスとの地区シリーズでは、第5戦に5回無失点でポストシーズン初勝利を挙げます。続くメッツとのリーグ優勝決定シリーズでは、第4戦に登板。5回途中まで投げ2失点に抑える力投を見せ、ドジャースのナショナルリーグ制覇に貢献しました。迎えたヤンキースとのワールドシリーズ。第2戦の先発を任された山本投手は、7回途中まで投げ、ホームランを1本だけの1失点で勝利。ワールドシリーズで日本人投手が白星を挙げたのは、2007年の松坂大輔投手以来17年ぶり。先発陣に故障者が相次ぐ中、ポストシーズンは4試合に登板して2勝0敗。この山本投手の活躍もあって、ドジャースは4年ぶり8度目のワールドシリーズ制覇を果たしたのです。これで山本投手は、21年東京オリンピックの金メダル、23年のWBC優勝と合わせて「トリプル世界一」を達成した史上初の選手になりました。
【メジャーリーグ ダルビッシュ有投手】
プロ入りしてから20年目のシーズンを迎えた、サンディエゴ・パドレスのダルビッシュ投手。北海道日本ハムファイターズ時代に93勝。メジャーでは昨年までに103勝を挙げて、今シーズン開幕前の時点で日米通算196勝と大台の200勝まであと4勝に迫っていました。開幕当初は勝ちに恵まれず、首の張りで一時は故障者リスト入りしたこともありましたが、4月30日のレッズ戦で復帰。5回を無失点に抑えて今シーズン初勝利を挙げます。そして5月19日、大記録を懸けてブレーブス戦に登板します。この試合、ランナーを許しても要所をしっかり締めて6回には2者連続三振。続く7回にも9つ目の三振を奪います。終わってみれば7回99球を投げ、打たれたヒットはわずか2本。無失点の好投で日米通算200勝を達成。しかも自己最長となる、25イニング連続無失点のおまけ付きでした。
日米通算200勝を達成した日本人ピッチャーは、野茂英雄投手・黒田博樹投手に続いて史上3人目。200勝をすべて先発で挙げたのは、野茂投手も黒田投手もできなかった史上初の快挙でした。シーズン終盤の9月には、ダルビッシュ投手はさらに2つの偉大な記録を達成します。9月22日のホワイトソックス戦。試合前の時点で、メジャーで奪った三振は通算1994個。この日も、2回までに3個の三振を奪って快調な立ち上がりを見せたダルビッシュ投手。3回にはアウト3つを三振で奪い、通算2000奪三振に到達。メジャー13年目にして成し遂げた、日本人投手初の金字塔でした。さらに9月27日、レギュラーシーズン最後の登板となったダイヤモンドバックス戦は、何度もランナーを出す苦しい展開ながら、変化球を効果的に使って6回途中までを3失点で切り抜け勝利投手に。この勝利でチームのプレーオフ進出に大きく貢献すると同時に、ダルビッシュ投手は日米通算203勝に達し、歴代トップの黒田投手に並んだのです。
【メジャーリーグ 今永昇太投手】
今年、横浜DeNAベイスターズからシカゴ・カブスに移籍した今永投手は、メジャー1年目から球団の期待を大きく超える活躍を見せます。デビュー戦で6回を無失点に抑え、メジャー初勝利を挙げた今永投手は、5試合に登板した4月を4勝0敗、防御率0.98とほぼ完璧な成績を残します。浮き上がるようなストレートと低めに落ちる変化球を武器に、シーズンを通じてローテーションを守り、オールスターゲームにも出場。最終的に29試合に先発して15勝3敗、防御率2.91をマークして、勝利数と防御率はともにリーグ3位。サイ・ヤング賞や新人王の候補にも名前が挙がる活躍を見せました。
インタビューでの発言に名言が多いことから、“投げる哲学者”という異名を持つ今永投手。今月、MLBが主催するイベントに参加した際には、小学生の子どもたち挑戦することの大切さを伝えました。英語が苦手だった今永投手ですが、遠征先のホテルで荷物出しをするときも、自分でフロントへ電話して英語のトレーニングをしていました。食事については、タンパク質を摂るようにと子どもたちにアドバイス。ベイスターズ時代、球場に貼り出された「食事は全部本番」という言葉を見たのがきっかけで、栄養素を計算して食事をするようになった今永投手は、意識の持ち方一つで道は開けることを子どもたちに説いたのです。来年カブスは、大谷翔平選手や山本由伸投手が所属するドジャースと、東京ドームで開幕戦を行います。そこでの先発登板も考えられる今永投手。メジャー2年目のピッチングに注目です。
【メジャーリーグ 鈴木誠也選手】
シカゴ・カブスに移籍して3年目を終えた鈴木選手は、今シーズンは132試合に出場して打率2割8分3厘、ホームラン21本、73打点をマークし、カブス打線の柱として活躍します。オープン戦でホームラン6本と絶好調のままシーズンの開幕を迎えて、4月2日のロッキーズ戦で大谷翔平選手より先に日本人第1号ホームラン。更に翌日も2試合連続の2号を打って、3連勝のスタートダッシュに貢献します。4月13日のマリナーズ戦は、勝ち越しの3号ホームランを放ち、先発の今永昇太投手を援護。2勝目をプレゼントしました。8月24日のマーリンズ戦でも、1試合2本のホームランを含む3安打・4打点の活躍で、今永投手の10勝目をアシスト。鈴木選手が今永投手を援護することがチームの勝利に繋がり、結果的に日本人コンビはカブスを投打で支えました。
チームに貢献しながら、結果には納得していない鈴木選手。せっかくいいスタートで開幕を切りながら、4月半ばに右脇腹を痛めておよそ1か月、戦線を離脱したこともその1つです。また守備の面で、本職のライトで出場したのは72試合、指名打者で59試合とほぼ半々だったのも反省点で、自分の守備力が至らなかったせいだと言います。とはいえ、16盗塁はメジャー移籍後最多で、ホームランも昨年を上回る21本をマーク。右打者の日本人メジャーリーガーで2年連続20本以上を記録したのは、鈴木選手が初めてでした。
来週のスポーツ伝説は……
12/30(月) プロ野球 筒香嘉智選手・桑原将志選手
12/31(火) MLB 大谷翔平選手、フレディ・フリーマン選手
1/1 (水) 箱根駅伝 青山学院大学
1/2 (木) プロ野球 藤川球児監督
1/3 (金) プロ野球 西口文也監督
お楽しみに!!
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2025年3月3日~7日の放送内容
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2025年2月24日~28日の放送内容
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