スポーツ伝説

2024.12.20

2024年12月16日~20日の放送内容

【プロ野球 吉川尚輝選手】
 プロ野球でポジションごとに、守備のスペシャリストに贈られるゴールデン・グラブ賞。プロ入り以来、この賞を目標にしてきた巨人の吉川選手が8年目にしてついに念願を叶えました。セカンドとして活躍し、優れた身体能力と、広い守備範囲で注目されてきた吉川選手ですが、ゴールデン・グラブ賞のセ・リーグ二塁手部門は、歴代最強と謳われる広島の菊池涼介選手が2013年から10年連続でこの賞を独占。昨年は阪神・中野拓夢選手が受賞したため、吉川選手はまだ1度もこの賞を手にしていませんでした。今年こそ賞を獲ると決意して臨んだ今シーズン、埼玉西武の源田壮亮選手ら守備の名手のグラブも参考にしながら自分のグラブも改良を重ね、高い守備率を維持します。最終的に吉川選手は全143試合をセカンドでスタメン出場し、エラーはわずか5つ。規定に達した二塁手ではリーグトップの9割9分4厘と圧倒的な守備率を見せ、4年ぶりのリーグ制覇に大きく貢献しました。そして記者によるゴールデン・グラブ賞の投票では、セ・パ両リーグ全ポジションの中で最多得票となる232票を集め、吉川選手はついに夢を叶えたのです。
 昨シーズンから、巨人の副キャプテンに就任した吉川選手。キャプテンを務める2学年下の岡本和真選手を支える役割も担っています。しかも昨年終盤から、坂本勇人選手がサードへ。それまでサードだった岡本選手がファーストに移ったことで、吉川選手との一二塁間コンビが誕生。また打っては、チームトップの打率2割8分7厘、走っては12盗塁をマーク。走攻守での活躍が認められ、セ・リーグ二塁手部門で初のベストナインにも選ばれました。

【プロ野球 周東佑京選手】
 今シーズンは、内野手登録ながら外野のレギュラーを務め、華麗な守備を披露した福岡ソフトバンクホークス・周東選手。パ・リーグ センター部門で初めて、守備のスペシャリストに贈られるゴールデン・グラブ賞受賞しました。今シーズン、犯したエラーは1つだけ。守備率は9割9分6厘を誇りました。その守備力を支えたのが、41盗塁をマークして2年連続の盗塁王に輝いた自慢の“脚”です。フライが上がると、他の外野手なら追いつけない当たりでも、俊足を飛ばしてすぐに落下点に到達。また外野手の頭上を越える打球でも楽々と追いつき捕球体勢に入るため、まるで定位置で捕ったかのようなに見えるシーンもしばしば。驚異的な守備範囲の広さが話題になり、文句なしの受賞となりました。
 圧巻だったのは、7月19日の埼玉西武戦です。周東選手は、2回に野村大樹選手が放った左中間へのフライをキャッチ。さらに3回には、ツーアウト一塁で源田壮亮選手が左中間に放ったヒットにすかさず追いつき、中継に入ったショート・今宮健太選手にすばやく返球。一塁ランナーのホームインを阻止して、相手の先制点を防ぎました。周東選手は今シーズン、123試合に出場。初めて規定打席に到達して打率2割6分9厘をマークするなど、チームを牽引しました。足の負傷を抱えながら日本シリーズに強行出場しましたが、オフに手術をして来年の開幕には間に合う見込み。その自慢の脚で、今年叶わなかった5年ぶりの日本一奪回を目指します。

 

【プロ野球 矢野雅哉選手】
 広島カープが誇る守備職人といえば、驚異的な身体能力を活かしたプレーで“忍者守備”の異名を持つセカンドの菊池涼介選手が思い浮かびます。しかしそのカープで、もう1人の“忍者”が今年ブレイクしました。ショートのレギュラーの座をつかんだ、プロ4年目の矢野選手です。2021年の入団から、オフには師と仰ぐ菊池選手の自主トレに毎年参加。ポジショニング、観察眼の重要性といった守備の極意を学び、守備固めや代走などで出場機会を増やしていきました。今シーズンは、外国人野手2人が揃って開幕直後に故障したことで、スタメンでの出場機会が増えていきます。矢野選手はこの好機にモチベーションを高めると、見事な好守備を連発。時にショートの定位置からレフトの前やライン際のフライまでカバーする広い守備範囲と、三遊間の深い位置からのノーバウンド送球でバッターランナーをアウトにする強肩などでピンチを救い、首脳陣の信頼も勝ち取ったのです。
 今年の開幕当初、カープのショートを守っていたのは小園海斗選手でした。ところがカープ首脳陣は、小園選手をサードに回して矢野選手の守備力を活かそうと方針転換。師匠の菊池選手と二遊間コンビを組み、新井貴浩監督も自慢の二遊間と高く評価します。また打撃でも粘り強さを披露。9月22日の中日戦では、涌井秀章投手を相手に17球もファウルで粘り、1打席で22球も投げさせるプロ野球新記録を作りました。こうして守備でも打撃でも存在感を見せたは今シーズン。矢野選手は自身最多の137試合に出場。9割8分5厘という高い守備率も評価され、圧倒的な得票数でゴールデン・グラブ賞のショート部門を初受賞しました。

 

【プロ野球 山本祐大選手】
 今年は、独立リーグ出身者で初のゴールデン・グラブ賞受賞者が誕生しました。横浜DeNAベイスターズのキャッチャー・山本選手です。26歳とまだ若い山本選手ですが、その歩みは波瀾万丈です。京都翔英高校時代は、同期に現在東北楽天でキャッチャーを務める石原彪選手がいたため、外野手としてプレー。それでもキャッチャーを諦めきれなかった山本選手は、プロを目指すならより高いレベルでプレーしたいと、大学進学をやめて独立リーグでのプレーを選択します。持ち前の強肩を武器にすぐに正捕手の座をつかむと、わずか1シーズンのプレーでプロのスカウトの評価を高め、DeNAからのドラフト指名を勝ち取ります。キャッチャーとしてのモットーは、「投手の良さを引き出すリード」。プロ6年目の昨シーズンは、最多勝に輝いた東克樹投手との名コンビぶりで最優秀バッテリー賞を受賞し、東投手がヒーローインタビューで何度も口にした『祐大のおかげ』はファンの間で流行語になったほどです。
 今シーズンは初めて日本代表・侍ジャパンのメンバーに選ばれ、開幕前の3月に代表戦に出場。この試合で抜擢された大学生ピッチャーの良さを見事に引き出し、井端弘和監督から投手主導のリードで持ち味を存分に引き出してくれた、と高い評価を受けました。山本選手が心掛けているもう1つのポイントは、「信頼されるキャッチャーであること」。守備の際、味方の選手全員と向かい合ってプレーするのがキャッチャーというポジションです。だからこそ山本選手は、常に戦う姿勢を忘れずにチームを鼓舞しています。さらに打つ方でも信頼を得ようと心掛けた結果、9月15日の時点で打率リーグ2位の好成績をマーク。その後、デッドボールで右腕を骨折してしまったため規定打席には届きませんでしたが、キャッチャーとしては高打率の2割9分1厘。自己最高の106試合でマスクをかぶり、チームのAクラス入りに大きく貢献しました。

 

【サッカー ルヴァンカップ決勝】
 3大会ぶり2度目の優勝を狙う名古屋グランパスと、クラブ初タイトルを目指すアルビレックス新潟。今年のサッカー・ルヴァンカップ決勝は雨にもかかわらず、大会歴代最多の6万2千人を超えるサポーターが国立競技場のスタンドを埋め尽くしました。試合を先に動かしたのは名古屋。前線からの積極的なプレスで新潟にプレッシャーを与えると、前半31分、新潟のゴールキーパーからのパスがずれたところにフォワード・永井謙佑選手が押し込み先制。さらに前半42分にも永井選手のゴールが決まり、名古屋が2対0とリードを広げます。日本代表で活躍した経験を持つ永井選手も、もう35歳。2022年夏、プロのキャリアをスタートさせた名古屋に5年半ぶりに復帰してからは、恩返しとしてチームにタイトルを、というのがモチベーションになっていました。ルヴァンカップ決勝という大舞台での2ゴールは、まさに恩返しのゴール。永井選手はこの試合、体力が尽きるまで走り切り、後半35分で途中交代します。
 後半は新潟が反撃。後半26分にヘディングで1点差に詰め寄ると、後半終了間際にペナルティキックが決まって2対2の同点。延長戦でも両チーム1点ずつを奪って決着がつかず、優勝の行方はPK戦へともつれ込みます。このPKに並々ならぬ決意で臨んだのは、名古屋のゴールキーパーでキャプテンも務めるミッチェル・ランゲラック選手です。オーストラリア出身のランゲラック選手は、在籍7シーズン目。7月に今シーズン限りでの退団を発表し、最後にタイトルを獲りたいと燃えていました。そんなランゲラック選手の気迫がプレッシャーとなったのか、新潟の2人目がPKを失敗。名古屋の2人目は、なんとランゲラック選手でした。この大事なキックを見事に決めてリードを奪うと、名古屋はその後全員が決めて2度目となるルヴァンカップの栄冠をつかみ取ったのです。ランゲラック選手はMVPに選ばれ、キャプテンとして高々と優勝カップを掲げました。

  
来週のスポーツ伝説もお楽しみに!!

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    パーソナリティ
    • 滝本沙奈
      滝本沙奈
      滝本沙奈

      滝本沙奈

      生年月日:1984年6月6日
      出身地:東京
      学歴:青山学院大学文学部英米文学科卒
      趣味:マリンスポーツ(ダイビング、サーフィン、釣り)
      資格:PADIオープンウォーターダイバー、おさかなマイスターアドバイザー

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