スポーツ伝説

2024.11.29

2024年11月25日~29日の放送内容

【プロ野球 髙橋宏斗投手】
 中日ドラゴンズの若きエース・髙橋投手は今シーズン、セ・リーグで2つの偉大な記録に挑みました。2023年は開幕前WBCに出場し、決勝のアメリカ戦ではメジャーリーガー相手に好投。シーズンは自己最多の7勝をマークしますが、更なる飛躍が期待された今年は、自主トレで新フォームを試したところオープン戦で精彩を欠き、2軍スタートとなりました。自分に対して腹が立ったという髙橋投手はひたすら走り込みを行い、フォームも修正して黙々と練習。2軍戦で結果を残し、4月28日に1ヵ月遅れで今シーズン1軍初登板を迎えます。すると、他球団のスコアラーが昨年とは別人と言うほどストレートの威力が増していました。キレのいいスプリットやスライダーなどの変化球も駆使して、8月を終えた時点で防御率は驚異の0.98。規定投球回に達して防御率0点台だったピッチャーは、2リーグ制以降、1970年の阪神・村山実投手だけです。
 そんな髙橋投手も9月に入ってさすがに疲れが出たのか、9月3日の阪神戦で3点を失い、防御率は1点台に。結局0点台達成は幻に終わりましたが、髙橋投手はもう1つ、偉大な記録に挑戦していました。それは規定投球回に達して、被本塁打ゼロ。これは2リーグ制以降、誰も達成したことがない大記録であり、髙橋投手は9月3日の時点でホームランを打たれていませんでした。しかし9月10日の東京ヤクルト戦。今シーズン510人目の対戦打者となった村上宗隆選手に打球をライトスタンドへ運ばれ、この記録も幻に終わります。最終的に今シーズンは12勝4敗、防御率1.38で、髙橋投手は最優秀防御率賞のタイトルを初めて獲得。1954年に杉下茂投手が記録した球団記録1.39を70年ぶりに更新しました。また、規定投球回に達してホームランを1本しか打たれなかったのは、戦後初の快挙でした。

 

【プロ野球 松山晋也投手】
 プロ2年目の今シーズン、59試合に登板。力のあるストレートとフォーク、負けん気の強さで43ホールドポイントを挙げた中日ドラゴンズ・松山投手が、セ・リーグ最優秀中継ぎ投手賞のタイトルを初めて獲得しました。松山投手は1年目の昨年6月に育成から支配下登録されると、リリーフ投手として36試合に登板、17ホールドを挙げます。今シーズンもリリーフ陣の柱として活躍。残り2試合となった10月5日、横浜DeNA戦を迎えた時点で、救援勝利とホールドを足したホールドポイントは42で、トップの阪神・桐敷拓馬投手を1ポイント差で追っていました。タイトルへのチャンスは、チームが同点に追い付いた直後の7回。松山投手は先頭打者を3球で打ち取り、ホールドを記録して、桐敷投手と並んで最優秀中継ぎ投手のタイトルを確定させました。
 松山投手は今シーズン、もう1つ隠れた快挙を成し遂げました。それは、本拠地・バンテリンドームナゴヤでは、無失点ではシーズンを終えたことです。松山投手は、バンテリンドームで27試合に登板して、失点はゼロ。1997年のスタジアム開業以来、シーズン50試合以上に登板して本拠地無失点を記録したのは、チームのレジェンド・岩瀬仁紀投手が2003年に記録して以来、2人目の快挙でした。

      
【プロ野球 ライデル・マルティネス投手】
 193㎝の長身から投げ下ろすストレートは最速160キロを超え、力でねじ伏せるだけでなく、変化球でも相手バッターを圧倒。今シーズン、セ・リーグの最多セーブ投手賞のタイトルを獲得したのが、中日ドラゴンズのマルティネス投手です。マルティネス投手は2017年、キューバから派遣され中日に入団。当初は育成契約でしたが、来日2年目の18年4月に支配下登録を勝ち取ると、3年目の19年は中継ぎで43試合に登板。20年から抑えに定着して、22年には39セーブを挙げて自身初の最多セーブ投手に輝きました。その大きな武器がスプリット。マルティネス投手のスプリットは落差が大きく、ボールに威力があるのが特徴です。打たれること自体が珍しく、今年7月11日の横浜DeNA戦、1点リードの場面で同点打を許しセーブに失敗したのは昨年5月3日の阪神戦以来のこと。その間50試合連続でセーブを挙げ、その無敵ぶりは“ライデル・マルティネスの攻撃”と呼ぶファンもいるほどです。
 この安定感を支えているのが、徹底した準備と自己管理です。試合後にウエイトトレーニングを行い、球場を出るのは2時間以上後ということも。来日8年目を迎えた今年も開幕から安定感のあるピッチングを続け、3月・4月は、12試合に登板して防御率は0・00。3ホールド、8セーブの好成績を残して月間MVPを初めて受賞します。中日のリリーフ投手が月間MVPを受賞したのは、チームのレジェンド・岩瀬仁紀投手以来、実に7年ぶりの快挙でした。更に6月には早くも5年連続20セーブに到達し、この偉業もまた岩瀬投手以来、球団史上2人目の快挙。最終的に今シーズンは60試合に登板して、セ・リーグの外国人投手では歴代最多の43セーブを記録。自身2度目の最多セーブ投手賞に輝きました。

 

【プロ野球 タイラー・オースティン選手】
 今年のプロ野球日本シリーズで福岡ソフトバンクホークスを破り、26年ぶりの日本一に輝いた横浜DeNAベイスターズ。セ・リーグ3位からの下剋上に貢献したのがオースティン選手です。類い稀なその打撃センスは、アメリカ時代に若手の頃から高く評価されてきました。24歳だった2016年、ニューヨーク・ヤンキースでメジャーリーグデビューした際には、初打席でホームランを放つという離れ技をやってのけます。この時、オースティン選手と共にデビューしたチームメイトが、ヤンキースの主砲・アーロン・ジャッジ選手。ジャッジ選手も初打席でホームランを記録しており、2人は近い将来、ヤンキース打線の中核を担うと期待されていました。しかしオースティン選手はケガなどで伸び悩み、20年から活躍の場を横浜DeNAに移します。日本でもケガに悩まされましたが、来日1年目はホームラン20本。2年目の21年は28本と、少ない出番の中で結果を残しました。ただ22年・23年はケガのためほぼ出場ができず、2年間で放ったホームランはわずか1本だけ。さらに今シーズンも開幕早々、肉離れで戦線を離脱。それでも5月中旬に復帰したオースティン選手は、6月はリーグトップタイのホームラン5本、17打点、月間打率は3割4分6厘と活躍を見せ、月間MVPを獲得しました。
 シーズン後半、オースティン選手は10月に入って来日5年目で初めて規定打席に到達すると、残り3試合から5打数4安打の固め打ちで打率は3割1分6厘まで上昇。それまでトップだった東京ヤクルト・サンタナ選手を1厘上回り、大逆転で初の首位打者に輝きます。クライマックスシリーズでは、阪神とのファーストステージ初戦でチームを勝利に導く2点タイムリーツーベースを放ち、リーグ優勝した巨人とのファイナルステージ第2戦で菅野智之投手から決勝ホームラン。DeNAは日本シリーズへと駆け上がります。ソフトバンクとの日本シリーズでは第4戦でホームランを含む3安打2打点と大暴れして、チームを26年ぶりの日本一に導く大きな原動力となりました。

 

【プロ野球 長岡秀樹選手】
 今シーズンも、2年連続でセ・リーグ5位に沈んだ東京ヤクルトスワローズ。救いはホームラン数がリーグ1位、得点もリーグ2位と、攻撃陣が奮闘を見せたところです。そのスワローズ打線を支えた1人、長岡選手は高卒3年目の2022年からショートのレギュラーに定着し、この年、球団史上最年少となる21歳でゴールデン・グラブ賞を受賞してセ・リーグ連覇に貢献します。しかし昨年の打率は2割2分7厘。これはセ・リーグの規定打席到達者の中で最下位という不名誉な成績でした。ショートの座は守ったものの進塁打が打てず、バントもできず、チャンスを潰して勝利に貢献できなかったという長岡選手。今年は日米でヒットメーカーとして活躍してきた青木宣親選手に弟子入りして、自主トレに参加しました。そこで肉体のことや打撃のこと、プロ野球選手としての心構えなど、さまざまなアドバイスを受けた長岡選手。今シーズンが始まると、その成果が表れます。5月11日・12日に神宮球場で行われた巨人戦。11日の試合で3安打を放つと、12日の試合では左右へヒットを放ち、4打数4安打。長岡選手は2試合にわたって7打数連続ヒットという離れ技を演じてみせました。
 更に8月9日から9月3日にかけては19試合連続ヒットを記録し、初の全試合出場を果たした長岡選手。打率は2割8分8厘と、昨年から6分以上もアップ。シーズン163安打を放ち、最多安打で初の打撃タイトルを獲得しました。

  
来週のスポーツ伝説は……

11/18(月) プロ野球  和田毅投手
11/19(火) テニス   ラファエル・ナダル 選手  
11/20(水) サッカー  伊東輝悦選手
11/21(木) サッカー  アンドレス・イニエスタ選手
11/22(金) バレーボール古賀紗理那選手

お楽しみに!!

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    • 滝本沙奈
      滝本沙奈
      滝本沙奈

      滝本沙奈

      生年月日:1984年6月6日
      出身地:東京
      学歴:青山学院大学文学部英米文学科卒
      趣味:マリンスポーツ(ダイビング、サーフィン、釣り)
      資格:PADIオープンウォーターダイバー、おさかなマイスターアドバイザー

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