【侍ジャパン 大谷翔平選手】
いよいよ野球の国際大会、第3回 世界野球プレミア12が始まりました。2015年に行われた記念すべき第1回大会で大活躍したのが、北海道日本ハムファイターズ時代の大谷選手です。その年はプロ3年目の大谷選手にとって、投手として大きく飛躍したシーズンでした。15勝5敗、防御率2.24、勝率7割5分と抜群の成績で、最多勝・最優秀防御率・勝率1位の投手3冠を達成。その好成績をひっさげて、シーズン終了後に行われた第1回プレミア12では、初戦の韓国戦で大会の開幕投手に指名されます。舞台は、当時の日本ハムの本拠地・札幌ドーム。大谷投手は慣れ親しんだマウンドで序盤から躍動し、最速161キロのスピードボールと切れ味抜群のフォークボールを駆使して、6回を投げて2安打無失点、10奪三振という圧巻の内容で日本の初戦勝利の立役者となりました。
大谷選手の好投で勢いづいた侍ジャパンはその後も勝利を重ね、1次ラウンドを負けなしの6連勝で決勝トーナメント進出を果たします。世界一まであと2勝となった準決勝の相手は、開幕戦で対戦した韓国。日本はこの負けられない一戦に、再び大谷投手を先発に送ります。大谷選手は韓国打線を6回までノーヒットに抑え、7回を投げて11奪三振。2塁すら踏ませない好投で無失点に抑えますが、日本は9回に逆転タイムリーを浴びて敗れて決勝進出ならず。チームとしては涙をのみましたが、このプレミア12の活躍で名実ともに日本を代表する選手になった大谷選手。翌16年は投げては10勝、打ってはホームラン22本と、投打二刀流の本領発揮でチームの日本一に貢献し、パ・リーグMVPを受賞しています。
【侍ジャパン 鈴木誠也選手・山田哲人選手】
今回で3回目となる世界野球プレミア12。日本代表・侍ジャパンは、大会連覇を狙います。2019年に開催された前回大会では、優勝に貢献した2人の打のヒーローがいました。ひとりは当時、広島カープの主砲だった鈴木選手です。この年、鈴木選手はペナントレースにおいて打率3割3分5厘の好成績で、初めて首位打者のタイトルを獲得。バッティングが向上したきっかけは、18年まで同じカープでプレーしていた巨人・丸佳浩選手からのアドバイスでした。相手が勝負して来ない時は無理して打ちに行かず、冷静にフォアボールを選んで次につなぐことが重要と説いた丸選手。その結果、鈴木選手はフォアボールで塁に出ることが増え、打率も上昇しました。侍ジャパンで4番を任された鈴木選手は、このフォア・ザ・チームの精神を忘れず、大会8試合ですべてヒットを放ち、7試合で打点を記録。侍ジャパンの4番としては史上初となる3試合連続アーチを放つなど、打率4割4分4厘、ホームラン3本、13打点、9得点と4部門をすべてトップの数字で終え、文句なしで大会MVPに選出されました。
もうひとりの打のヒーローは、東京ヤクルトスワローズ・山田選手です。トリプルスリーを歴代最多の3度も達成した山田選手は、この19年もホームラン35本、33盗塁をマークし、強打者ぶりを披露します。ところがプレミア12では、準決勝までの7試合で17打数3安打、打率1割7分6厘と絶不調に陥っていました。それでも決勝の韓国戦は、どうしても譲れないものがありました。15年の第1回大会準決勝の韓国戦で、山田選手は3番を任されながら2打数ノーヒット、2三振に終わり、チームも敗れていたからです。その悔しい思いを胸に、2点を追う2回、ツーアウト一・二塁のチャンスで打席に立った山田選手は、値千金の逆転スリーラン。ここ一番での勝負強さを発揮して、国際大会では10年ぶりとなる日本の世界一に貢献しました。
【視覚障害柔道 廣瀬順子選手】
小学5年生で柔道を始め、高校時代にはインターハイにも出場した実力を持つ廣瀬選手。19歳の時に病気の合併症の影響で視力が低下する中、夢中になれることをしたいと視覚障害者柔道に挑戦。初出場のリオパラリンピックで女子では日本初となる銅メダルを獲得し、一躍脚光を浴びました。この時一緒に注目されたのが、夫でありコーチでもある廣瀬悠さん。実は悠さんも視覚障害者柔道の選手としてリオ大会に出場し、夫婦でパラリンピック出場の快挙を達成したのです。ところが順子選手は、リオ大会後に思うように結果が出ない時期を過ごし、2021年の東京パラリンピックは3位決定戦で敗退。メダルなしという結果に終わります。海外選手に得意の一本背負いがマークされ、勝ちきれなくなった状況を変えるため、順子選手は技の種類を増やし、攻めの幅を広げようと決意。悠コーチと二人三脚で、これまで練習することが少なかった大内刈りや体落としなどの技を基礎から徹底的に練習しました。さらに海外選手の組み手や技のパターンなど動画で研究し、悠コーチが“仮想ライバル”となって実戦形式の稽古を繰り返したのです。
こうして夫婦で特訓を重ね、パリパラリンピックの女子57キロ級に出場した順子選手。初戦の準々決勝は開始わずか1分半、内股で一本勝ちを収めて準決勝に進みます。準決勝の相手は、世界ランク1位のカザフスタンの選手。長身を生かし、背中越しに帯を取って攻めてくるのが特徴でしたが、帯を取られても切る練習を重ねてきたお陰で相手の仕掛けを封じ、磨きあげた大内刈りで一本勝ち。決勝進出を決めます。金メダルをかけたウズベキスタンの選手相手の決勝でも、落ち着いて体落としで一本勝ち。順子選手は、視覚障害者柔道では日本女子初となる金メダルの快挙を成し遂げたのです。
【パラ水泳 木村敬一選手】
2008年の北京大会からロンドン・リオ・東京・パリと、5大会連続でパラリンピックに出場した全盲のスイマー・木村選手。21年の東京パラリンピックでは、100mバタフライで悲願の金メダルを達成しました。しかし木村選手はそれで満足せず、更なる進化を求めて、同じバタフライで2度、オリンピック銅メダルに輝いた星奈津美さんに協力を仰ぎます。これまで力任せに泳いでいた自己流のフォームを、体幹を使った効率のいいフォームへと修正した木村選手。その効果はバタフライだけではなく、自由形でも一かきあたりの距離が伸びて、より効率的に泳げるようになったのです。パリ・パラリンピック本番、50m自由形に出場した木村選手は決勝に進出。決勝ではテンポを上げて、予選よりストローク数を増やすよう心掛けました。序盤から好位置に付けた木村選手は中盤以降抜け出すと、25秒98のタイムでこの種目では自身初の金メダルを獲得。この勢いを駆って、メイン種目の100mバタフライに臨みます。
自由形での金メダル獲得から6日後、100mバタフライに出場した木村選手は予選を1位で通過。中央のレーンでスタートすることになりました。昨年の世界選手権で敗れた世界記録保持者、ウクライナのダニーロ・チュファロフ選手は2レーンにいましたが、木村選手は自分の泳ぎに集中し、スタート直後から頭ひとつ飛び出します。シンプルに、速く泳ぐことを追求した新フォームで序盤からトップに立つと、最後まで力強い泳ぎを見せて逃げ切り、1分0秒90のパラリンピック新記録でパリ大会2個目の金メダルを獲得。この種目の連覇を達成しました。
【パラ卓球 和田なつき選手】
女子シングルス・知的障がいのクラスで、パラリンピックに今年初めて出場した和田なつき選手。中学生の頃、不登校で家に引きこもっていたため体重が増えてしまい、最初はダイエット目的も兼ねて卓球を始めました。するとメキメキと腕を上げ、始めてから3年後の大会では、憧れの存在だった先輩の古川佳奈美選手に初めて勝利。それをきっかけに、自分も世界を目指せるかもしれないと思ったそうです。
昨年は、国際大会でも連戦連勝。一躍、パリ大会のメダル候補として期待される存在になった和田選手。しかしプレッシャーも大きくなり、昨年8月のタイオープンではまさかの1回戦負けを喫してしまいます。そこで再び闘志に火がついた和田選手は、2か月後の10月に開催されたアジアパラ競技大会で優勝して、パリ代表の座をつかみ取りました。
迎えたパリパラリンピック本番。準決勝の相手は、世界ランキング1位のトルコの選手でした。前日練習では、苦しさのあまり号泣してしまった和田選手ですが、フルゲームの熱戦の末にみごと勝利します。そして決勝の相手は、準決勝で憧れの古川選手を破った、東京パラリンピックの金メダリスト。53歳のベテラン、エレナ・プロコフェワ選手でした。決勝の前に、相手が得意とするカットボールを返す練習をコーチとこなし、第1ゲームは相手のカットボールに慣れるために勝負を避けたという和田選手。ゲームを譲る大胆な作戦のおかげで、反撃に転じた第2ゲーム以降はそのカットボールに見事に対応。長いリーチから繰り出す強烈なフォアハンドで相手を圧倒して、ゲームカウント3対1で日本パラ卓球界に史上初の金メダルをもたらしました。
来週のスポーツ伝説は……
11/18(月) プロ野球 青木宣親選手
11/19(火) プロ野球 野村祐輔投手
11/20(水) プロ野球 T-岡田選手
11/21(木) プロ野球 増田達至投手
11/22(金) プロ野球 金子侑司選手
お楽しみに!!
2025.03.27
2025年3月24日~27日の放送内容
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2025.03.21
2025年3月17日~21日の放送内容
【スピードスケート 高木美帆選手】 30歳になった現在も国際大会で圧倒的な強さを見せ、女子スピードスケート第一線で活躍を続けている高木選手。冬季オリンピックでは、20...
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2025年3月10日~14日の放送内容
【プロ野球 田中将大投手】 昨年のオフ、東北楽天ゴールデンイーグルスを退団し、読売ジャイアンツへの入団を発表した田中投手。2006年に高校生ドラフト1位で東北楽天に入...
2025.03.06
2025年3月3日~7日の放送内容
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2025年2月24日~28日の放送内容
【プロ野球 遠井吾郎選手】 今年で球団創立90周年を迎えた阪神タイガース。遠井選手は1950年代~70年代にかけて、阪神ひと筋で20年間プレーした名物選手です。ぽっち...