スポーツ伝説

2024.10.25

2024年10月21日~10月25日

【ゴルフ 古江彩佳選手】
 女子ゴルフ界を牽引する2000年生まれのミレニアム世代で、その筆頭格といえるのが古江選手です。19年、アマチュアながらツアー初優勝を果たすと、ミレニアム世代で最初のプロ選手になりました。プロ転向後の2年間でツアー6勝を挙げる活躍を見せ、22年からは満を持してアメリカツアーに参戦した古江選手。7月のスコットランド女子オープンでは、最終日に10アンダーという怒涛の追い上げを見せ、通算21アンダーで逆転優勝。しかしそれ以降は勝てない日々が続き、23年は優勝できず。そのため、目指していたパリオリンピックの代表争いでも最後の最後で逆転を許し、出場権を逃してしまいました。そんな失意の古江選手を励まし続けたのが、ご両親でした。アメリカツアーには母のひとみさんが同行し、食事面などをサポート。父親の芳浩さんはゴルフ未経験でしたが、独学で猛勉強し、古江選手と二人三脚で安定感のあるスイングを作り上げていきました。
 2年間、アメリカツアーでの優勝から遠ざかっていた古江選手でしたが、今シーズン7月までの16試合のうち、半分の8試合でトップ10入りを果たします。フェアウェイキープ率はツアー参加者の中でも上位で、平均ストローク数ではトップを争うなど、父と作り上げた正確なショットは十分通用していました。あと欲しいのは、優勝という結果だけ。古江選手は7月にフランスで行われたアムンディ エビアン選手権に出場します。この大会は13年に5つ目の女子ゴルフ海外メジャー大会に昇格され、古江選手は21年に4位入賞と結果を残して、アメリカツアー挑戦を考えるきっかけになった特別な大会でした。相性のいいこの大会で古江選手はスコアを伸ばし、最終日はトップと1打差の2位でスタート。序盤はスコアメイクに苦しみますが、14番から立て続けに難しいパットを決めて、3連続バーディーと猛チャージ。この日、スコアを6つ伸ばして通算19アンダーで逆転優勝を果たしました。日本選手の海外メジャー大会優勝は、男女を通じて史上5人目の快挙。アメリカツアー2勝目は、古江選手にとってとてつもなく大きな勲章になりました。

 
【ゴルフ 笹生優花選手】
 女子ゴルフの海外5大メジャー大会の中でも、伝統と賞金額の両面で世界最高峰と言われるのが全米女子オープン選手権です。2021年6月、この大会で初のメジャー制覇を成し遂げた笹生選手。19歳351日での優勝は、大会史上最年少記録でした。日本人の父親とフィリピン人の母親の間に生まれた笹生選手は、フィリピンで生まれ、その後日本に移住しましたが、プロゴルファーを目指して再びフィリピンへ。ゴルフの腕前だけでなく英語力も身につけ、ここから一気に笹生時代がやってくるのではという期待もありましたが、その後は勝てない日々が続きます。自分を少し疑ったこともあったという笹生選手ですが、幼少期から笹生選手を支えてきた父・正和さんは、勝利から遠ざかったこの期間をアメリカツアーで長く戦っていくための土台作りの時間と捉えていました。笹生選手はこの3年の間、新しく契約したトレーナーから体の正しい動きを学び、男子のトッププロを教えるコーチにパットやアプローチの指導を受けるなど、更なる飛躍のための準備を重ねてきたのです。すべては、世界ランキング1位になるという目標達成のためでした。
 2度目のメジャー大会制覇を目指し、今年6月、全米女子オープンの季節が巡ってきました。首位と3打差の5位でスタートした最終日。笹生選手は前半の6番でダブルボギーを叩いてしまいますが、それでも動じませんでした。初優勝を飾った21年の大会でも最終日に連続ダブルボギーを叩きましたが、逆境を乗り越えて優勝を果たした経験があり、今回のダブルボギーもむしろ幸運だと思ったと気持ちを切り替えた笹生選手。それが功を奏し、後半は一気に猛チャージをかけ、上位陣が軒並み崩れるのを横目に、一気に首位に浮上。鮮やかな逆転で、2度目の全米女子オープン優勝を果たしたのです。笹生選手は21年に父親と同じ日本国籍を取得したため、今回の全米女子オープンは日本人選手としての優勝となりました。

 

【プロ野球 2023年日本シリーズ第4戦】
 セ・リーグは阪神タイガース、パ・リーグはオリックス・バファローズと、関西圏を本拠地にするチーム同士の対決になった2023年のプロ野球日本シリーズ。両チームの本拠地である甲子園球場と京セラドーム大阪は、阪神なんば線で繋がっていることから「なんば線シリーズ」という別名もつきました。注目の第1戦は阪神が快勝しますが、第2戦・第3戦はオリックスが連勝して2勝1敗とリードを奪い、阪神は負けると後がなくなる状況になります。このピンチで第4戦の先発のマウンドに立ったのは、阪神が才木浩人投手。オリックスは山﨑福也投手です。阪神は初回に森下翔太選手のツーベースで先制。すぐに追い付かれますが、阪神は追加点を奪い、3対1とリードを広げます。才木投手も試合途中で右手親指から出血するアクシデントがありながら、5回を1失点で切り抜けました。しかしオリックスは7回、宗佑磨選手が2点タイムリーを放って3対3の同点に追い付くと、続く8回もツーアウト一・三塁の得点チャンスを作ります。
 ここで阪神の岡田彰布監督がマウンドに送ったのが、湯浅京己投手でした。左わき腹の筋挫傷で戦列を離れてリハビリを終えたばかり。6月に行われたオリックスとの交流戦では、9回に2本のホームランを浴びて逆転負けを喫していました。復帰登板が日本シリーズという驚きの采配は、湯浅投手にリベンジの機会を与え、シリーズの流れを変える狙いがあったのです。その狙い通り、湯浅投手はわずか1球で中川圭太選手をセカンドフライに仕留め、ピンチを凌ぎます。そして、同点のまま迎えた9回ウラ。オリックスのワゲスパック投手がフォアボールと2つの暴投で、阪神はワンナウト三塁とサヨナラのチャンスを作ります。ここでオリックスは、続く2人のバッターを申告敬遠。満塁策をとって4番・大山悠輔選手との勝負を選択します。フルカウントからの7球目、大山選手は内角高めのストレートを見事に打ち返し、三遊間を破る劇的なサヨナラヒット。 阪神は対戦成績を2勝2敗の五分に戻しました。

 

【プロ野球 2023年日本シリーズ第5戦】
 阪神タイガースとオリックス・バファローズの関西対決になった、2023年の日本シリーズ。2勝2敗で迎えた11月2日の第5戦は、勝った方が日本一に王手を掛ける一戦になりました。先発は、阪神が大竹耕太郎投手、オリックスが田嶋大樹投手という“サウスポー対決”。4回、オリックス・ゴンザレス選手が、大竹投手の真ん中低めの直球を左中間スタンドに運んで1点を先制します。3回まで毎回ヒットを許していた田嶋投手は、味方の援護でエンジンが掛かり、4回以降はヒット1本に抑て、阪神打線を翻弄。一方、阪神は7回表にツーアウト一塁から、オリックス・森友哉選手が打ったセカンドゴロを中野拓夢選手が後逸。さらにライトからカバーに入った森下翔太選手もファンブルして、ボールが転々とする間に一塁ランナーの宗佑磨選手が一気にホームへ。オリックスが2対0とリードを広げ、流れは完全にオリックスへと傾きました。
 2点のリードに拡げたオリックス・中嶋聡監督は、継投策で逃げ切りを図ります。中継ぎの柱・山﨑颯一郎投手が2番手でマウンドへ。しかし、これが裏目に出ます。阪神は先頭の木浪聖也選手が内野安打で出塁したのを皮切りに、3連打を浴びせて1点を返します。更にワンナウト二・三塁とチャンスを拡げたところで、オリックスは第2戦から4連投の宇田川優希投手へ交代。ここで打席に立ったのは、7回に守備のミスで追加点を許してしまったルーキーの森下選手でした。森下選手は7球目、真ん中低めの直球を捉えると、左中間を抜ける逆転の2点タイムリースリーベースに。甲子園のスタンドが沸き返る中、打線が爆発した阪神は、この回一挙6点を挙げて逆転勝ち。3勝2敗で日本一に王手を掛けたのです。

 

【プロ野球 2023年日本シリーズ第6戦】
 阪神タイガースとオリックス・バファローズ、レギュラーシーズン優勝を飾った関西のチーム同士が日本一の座を競った昨年のプロ野球日本シリーズ。第5戦に逆転勝ちして対戦成績を3勝2敗とした阪神は、38年ぶりの日本一に王手を掛けて、11月4日、京セラドーム大阪での第6戦を迎えました。先発投手は第1戦と同じく、阪神が村上頌樹投手。もう負けられないオリックスは、絶対的エース・山本由伸投手をマウンドに送ります。3年連続で出場していながら、日本シリーズではなぜか勝ち運に恵まれずにいた山本投手。第1戦も自己ワーストタイの7失点で6回途中に降板して黒星を喫しており、この時点ではまだ日本シリーズ未勝利でした。オフにアメリカ・メジャーリーグ移籍が濃厚と見られていた山本投手は、これが日本での公式戦最後のマウンド。2年連続日本一を置き土産にアメリカへ行くと心に誓っていた山本投手は、中継ぎ陣が連投やコンディション不良で苦しい中、第5戦ではリリーフ登板も辞さない構えで異例のブルペン待機までしました。
 第1戦では阪神打線に打ちこまれた山本投手。第6戦でも2回、ノイジー選手に先制のソロホームランを許し、そのあともツーアウト満塁のピンチを招きますが、三振を奪って1失点にとどめます。オリックス打線も直後に反撃して同点に追い付くと、中川圭太選手の犠牲フライで1点を勝ち越し。援護を受けた山本投手は、5回・6回を3者凡退に抑えると、打線も5回と8回に追加点を挙げ、5対1と阪神を突き放します。山本投手は9回もマウンドに上がり、このシーズン最多の138球を投げて完投勝利。日本シリーズ新記録となる14奪三振のおまけ付きで、日本シリーズ初勝利を挙げ、3勝3敗の五分に戻しました。翌日の第7戦、オリックスは敗れて日本一連覇はなりませんでしたが、チームのために最後まで投げ続けたエースの姿は、ファンの記憶に強く残っています。

 

来週のスポーツ伝説もお楽しみに!!

最新番組ブログ
    パーソナリティ
    • 滝本沙奈
      滝本沙奈
      滝本沙奈

      滝本沙奈

      生年月日:1984年6月6日
      出身地:東京
      学歴:青山学院大学文学部英米文学科卒
      趣味:マリンスポーツ(ダイビング、サーフィン、釣り)
      資格:PADIオープンウォーターダイバー、おさかなマイスターアドバイザー

    • 過去の番組ホームページはこちら