【バドミントン 西本拳太選手】
いよいよ開幕が迫っているパリオリンピックに、バドミントン男子シングルスの日本代表として出場する西本選手。西本選手は、バドミントンの競技経験がない元競輪選手でトレーナーの山本真琴さんに指導を受けました。山本さんは1991年に競輪選手を引退後、トレーナーに転向。その山本さんと同じ体育館で練習していたことで知り合った西本選手。ヒザの痛みに悩まされていた小学生の時に、バランスボールに座った状態でラケットを振って打ち方を改善。右ヒジを痛めた中学時代には、左腕でラケットを振らせて左右のバランスを見直しました。こういった山本さんの指導によって正しい身体の使い方を習得した西本選手は2016年、中央大学4年生の時に全日本総合バドミントン選手権で優勝。16年ぶりに学生チャンピオンの快挙を成し遂げ、やがて国際大会でも活躍するようになりました。
22年9月には、ダイハツヨネックスジャパンオープンで、28歳にしてワールドツアー初優勝。バドミントンは20代前半から中盤までが全盛期と言われますが「僕はこれからが全盛期」と宣言します。パリオリンピック代表選考レースは、昨年5月から今年4月までの1年間に行われる大会が対象でした。多くのトップ選手が疲労を考えて20前後の大会に出場する中、西本選手は27大会に出場。国内でも今年2月のS/Jリーグに出場して、所属チームの初優勝に貢献しました。こうして小さい大会にも自費で参加して、地道に積み上げたポイントが最後にものを言い、西本選手は29歳にして念願のオリンピック出場権を手に入れました。
【バドミントン 大堀彩選手】
パリオリンピックに、バドミントン女子シングルスで出場する大堀選手。高身長のサウスポーで、地元福島の強豪・富岡高校のバドミントン部監督だった父の指導を受けて育ちました。中学生だった2011年に東日本大震災を経験。学校には戻れず、バドミントン部は内陸の猪苗代町に拠点を移して活動することになります。不安を抱えながらも才能を発揮していった大堀選手は13年、高校2年生の時に日本人で初めてアジアユース選手権の女子シングルスで優勝。世界ジュニア選手権でも銀メダルと活躍を見せました。ところがシニアになると低迷。18年には日本A代表に選ばれましたが、2学年上の奥原希望選手、1学年下の山口茜選手がオリンピックや世界選手権でメダルを獲得する中、3番手から抜け出せず。2人との距離はなかなか縮まりませんでした。21年にはB代表落ちも。一時は引退も考えましたが、負けたくないという思いが大堀選手を踏みとどまらせました。
やがてA代表に復帰した大堀選手の転機になったのは、昨年。女子シングルスの担当コーチが今別府香里コーチに変わったことでした。今別府コーチは重いトレーニングラケットを使い、苦手だった低くて速い弾道のラリーを強化。これにより、ネット前では高い打点で止め、後方からは強打を打ち込む展開で相手に圧力を与えることが可能になったのです。その成果は、昨年10月のアジア大会で現れます。東京オリンピック金メダリスト、中国の陳雨菲選手を相手に接戦を演じ、個人戦では銅メダルを獲得。今年2月にはタイマスターズでおよそ5年ぶりの国際大会優勝を達成しました。そして4月のアジア選手権でライバルの奥原選手が初戦で敗退したため、大堀選手のオリンピック初出場が確定。さらに6月に行われた、オーストラリアオープンでも優勝を飾り、オリンピックへ向けて弾みをつけました。
【体操 岡慎之助選手】
前回の東京オリンピックでは日本の体操男子団体は銀メダルに終わり、頂点にあと一歩届きませんでし。2016年のリオ大会以来となる団体金メダルを目指して、パリ大会で大いに期待されているのが、20歳の岡選手です。幼少期から体操一筋。15歳になった2019年、世界ジュニア選手権で団体と個人総合の両方で優勝し、2冠を達成し、〝ニッポンの宝”と呼ばれました。ところが周囲の期待とは裏腹に、その後はケガに苦しみます。東京オリンピックの選考会では、手首を痛めた影響で予選敗退。次のパリ大会こそ代表入りと意気込んだ矢先、22年の全日本選手権・決勝の跳馬で右膝の前十字じん帯を断裂し、全治8ヵ月の大ケガを負ってしまいます。普通なら絶望的な気持ちになるところ、岡選手は逆にチャンスととらえました。試合に出られない分、弱点強化に集中できると、跳躍系の練習ができない間に苦手だった「つり輪」を強化。不屈の精神で岡選手は再び国内トップを争う世界に戻ってきました。
パリオリンピック代表入りのため、最後のアピールの場となったのは、今年5月に行われたNHK杯です。すでにパリ内定を決めていた東京オリンピック個人総合の金メダリスト、橋本大輝選手が不在とあって、岡選手は是が非でも優勝を狙っていました。初日に見事な演技を見せ、トップに立った岡選手。ところが2日目は以前から抱えていた腰の痛みの影響か、1種目目の「ゆか」でラインオーバー、2種目目の「あん馬」では落下するミスで2位との差がほとんどなくなります。この場面で岡選手を救ったのが、故障中に強化に取り組んだ「つり輪」でした。かつて苦手種目だったと感じさせない力強い演技で魅了すると、最後の着地も見事に決めて高得点をマーク。、最後の「鉄棒」でも着地を決めて、岡選手は大会初優勝とオリンピック代表内定も勝ち取ったのです。初めて挑むオリンピックでは、もちろん「団体でも個人でも、金を狙います」
【体操 宮田笙子選手】
パリオリンピックの体操女子日本代表に選ばれた5人の選手は、全員が初出場で全員が10代と、伸び盛りでフレッシュなメンバーが揃いました。中でもエースとして期待されているのが、宮田笙子選手・19歳です。出身は京都ですが、熱心なスカウトを受けて中学3年生の時に体操のまちと呼ばれる福井県鯖江市へ移り、充実した練習環境と熱心な指導者のもとで実力を磨いていきます。高校入学の際に、3年間で世界で勝負できる選手になりたいと誓った宮田選手は、3年生になった2022年、4月の全日本選手権で2位、5月のNHK杯で初優勝を飾り、世界選手権の代表に選ばれました。その大舞台では、個人総合で8位に入賞。種目別の「平均台」で銅メダルを獲得し、思い描いた通りに世界にその名をアピールしました。
しかしこの快挙から3ヵ月後、右かかとの疲労骨折が判明。医師から、このままでは体操ができなくなると言われるほど深刻な状態でした。世界の舞台でもまれ、精神的にも逞しくなった宮田選手は、そんな危機に直面してもへこたれませんでした。練習量を大幅に減らし、特に足の負担が大きい「ゆか」からは1ヵ月も遠ざかりましたが、疲労骨折が判明してから2ヵ月後の全日本選手権には間に合わせ、2位で表彰台に。さらに、その後のNHK杯では大会連覇を果たします。地力と精神力の強さを見せた宮田選手はオリンピックイヤーとなった今年、日本のエースとして安定した強さを発揮。まずは4月、2年連続2位止まりだった全日本選手権で悲願の初優勝を成し遂げ、NHK杯では大会3連覇を果たし、パリオリンピックの代表内定を決めました。パリでは個人種目だけでなく、団体でのメダル獲得が目標です。
【自転車 太田海也選手】
1周250mのトラックを使って行われる自転車競技には、1対1で競うスプリントと、最大7人で順位を競う日本発祥の種目・ケイリンがあります。この競技で、競技歴わずか3年弱で一気に日本代表にまでのぼり詰め、メダル候補として期待されているのが、岡山県出身の太田選手です。中学時代から自転車が好きで、自転車部がある高校への入学を目指しますが、その夢は叶わず。自転車部のない学校へ進学し、自転車で使う筋肉と似ているからとボート部に入部します。すぐに頭角を表した太田選手は、インターハイで優勝。次は東京オリンピックにボート競技で出場して、日本人初のメダリストになることを目標に掲げ、東京の大学に進学します。ところがケガと周囲のレベルの高さを痛感し、大学を1年で退学して地元岡山で自転車ショップに就職。そこで働きながら試しに出場したロードレースで優勝したことがきっかけになり、プロ選手を目指して養成所に入ることを決めました。
ボートでも鍛えた太田選手の脚力は、養成所で一気に注目の的となります。記録会で好タイムを連発し、養成所を既定よりも早く卒業する要件をクリア。その噂を聞きつけた日本代表コーチ陣の目に留まり、異例の代表入りを果たしたのです。2023年のアジア大会では、スプリントとチームスプリントで金メダル。今年のネーションズカップでは、スプリントの第1戦・第2戦で金メダル、ケイリンの第2戦金メダルと、一躍オリンピックの金メダル候補に。今年5月に行われたオリンピックメダリストなど強敵がそろう国際大会ジャパン・トラック・カップでも、見事優勝を果たしました。パリオリンピックでは、男子ケイリン・スプリント・チームスプリントの3種目にエントリーしており、活躍が期待されています。
来週のスポーツ伝説もお楽しみに!!
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