スポーツ伝説

2024.07.14

2024年7月8日~12日の放送内容

【競泳 寺門弦輝選手】
 身長171cmと小柄ながら男子200mバタフライでの活躍が期待されているのが、日本大学在学中の寺門選手(21)です。父はアマチュアのサーファーで、母はプロのボディーボーダーという家庭環境のため、物心がついた頃から海が身近にあった寺門選手。海で溺れないために水泳を始めます。高校からは親元を離れ、さらに水泳に打ち込める環境に飛び込んで実力を磨きました。そんな寺門選手のモットーは、恵まれた体格ではないからこそ、目の前の課題をひとつひとつクリアすること。レースが終わると動作の確認を何度も繰り返して、自主的に考えて動く深い思考力を武器に飛躍を続けてきました。最大の転機は大学2年生の時。個人メドレーからバタフライに転向すると、昨年9月、インカレの200mで自己ベストを更新します。この種目で東京オリンピック銀メダルに輝いた本多灯選手に次ぐ2位となり、オリンピックが視界に入ってきました。
 今年3月に行われたパリオリンピックの代表選考会で、寺門選手は男子200mバタフライの決勝に挑みます。代表を争うライバルは、尊敬する大学の1年先輩・本多選手。この1ヵ月前に行われた世界選手権で金メダルを獲得したこともあり、ここでも本多選手が大本命でした。レースが始まり、150mをトップでターンしたのは、やはり本多選手。しかし残り50mを切り、寺門選手がその差をどんどん詰めてゴール直前で逆転。自己ベストを更新する泳ぎで、優勝とともにオリンピック内定もつかみ取りました。敗れた本多選手も派遣標準記録を突破したため代表内定とはなりましたが、寺門選手は世界王者を破った男として一躍注目の存在になったのです。

  
 
【競泳 松下知之選手】
 いよいよ今月開幕するパリオリンピックに、男女合わせて総勢27人で挑む競泳日本代表。その中で最初に代表に内定したのが、男子400m個人メドレーの松下選手です。代表内定を勝ち取った今年3月の時点ではまだ18歳。オリンピック期間中の8月1日に19歳の誕生日を迎える期待の新星です。そんな松下選手にはずっと憧れるスイマーがいます。同じ栃木県出身で、200mと400m個人メドレーの日本記録保持者であり、2016年のリオ・オリンピックでは金・銀・銅3つのメダルを獲得した萩野公介さんです。松下選手は萩野さんのレース映像を繰り返し見ては、水中でのキック動作やストロークの回数などを研究し、自分の泳ぎに生かしてきました。またスピードアップや水中での抵抗を減らす努力を重ね、昨年出場したインターハイの400m個人メドレーで初優勝。世界ジュニア選手権は大会新記録で優勝と、一躍注目スイマーの仲間入りを果たしました。
 泳ぐたびに自己ベストを更新し、2年余りで400mのタイムを12秒近く縮めて急成長を遂げた松下選手。憧れの萩野さんと同じ舞台・オリンピック出場を目指し、大学進学を直前に控えた今年3月、パリオリンピックの代表選考会に挑みます。代表入りするためには、この選考会で2位以内に入るとともに、派遣標準記録の4分10秒63を切らなければなりません。この記録は、半年前の世界ジュニアで記録した自己ベストより0秒34速く、松下選手は大一番での勝負強さが求められました。予選を全体3位で通過し、迎えた決勝。松下選手は前半の200mで4番手につけると、残り100mで3番手に順位を上げ、最後の自由形で前の2人を一気に抜き去って、見事優勝を果たしたのです。タイムも4分10秒04で派遣標準記録を突破し、日本競泳陣のパリオリンピック代表内定第1号となりました。

     
 
【競泳 松本信歩選手】
 競泳の女子200m個人メドレーでパリオリンピック代表入りを決めた松本選手。そのニュースとともに大きく報じられたのは、松本選手の文武両道ぶりです。現在、早稲田大学の4年生ですが、学部の成績優秀者数名しかもらえない奨学金を受け、競技との両立を見事にこなしています。また、1年生の時に簿記2級、2年生でスペイン語検定5級と宅地建物取引士の資格を取得。今は合格率が10%前後と言われる行政書士の在学中合格を目指しています。学業でも競泳でも、自分でやると決めた以上は、やれることはやったと思えるまで繰り返しやりぬくことを意識しているという松本選手。その姿勢で水泳でも幼少期から結果を出し続け、小学生の頃には世代トップスイマーとして活躍。早稲田大学入学後は、大学日本一を決めるインカレの200m個人メドレーで3連覇を果たしました。
 今年3月に行われたオリンピックの代表選考会。代表内定のため松本選手は、派遣標準記録の突破と決勝で2位以内に入ることを目指して200m個人メドレーの決勝レースに挑みます。ライバルは、高校生ながら昨年の日本選手権を制した3レーンの成田実生選手と、東京オリンピックの金メダリスト、4レーンの大橋悠依選手。松本選手はライバル2人の左側、2レーンでスタートを切ります。実はこの2レーン、松本選手にとって理想的なコースでした。最後の自由形では右に顔を上げて呼吸するため、その都度ライバルの状況を把握しながらレースに臨めるからです。第1泳法のバタフライは、トップでターンした松本選手。その後、大橋選手に続く2位につけ最後の自由形へ。3番手で追いかける成田選手の状況も確認しながら強化してきたラスト15mを懸命に泳ぎ切り、2位でフィニッシュ。自己ベストの泳ぎで派遣標準記録も突破し、パリオリンピック代表を勝ち取りました。

 
【大相撲 平戸海雄貴関】
 2000年4月、長崎県平戸市で生まれた平戸海関。現在24歳の〝ミレニアム世代”の力士です。6歳から相撲を始め、中学を卒業すると境川部屋に入門。序ノ口から8年かけて番付を上げ、今年5月の夏場所では自己最高の東前頭2枚目まで登りつめます。初の三役に手が届くところまで来た夏場所は、勝負の場所となりました。平戸海関は鋭い立ち合いから左でまわしを取り、そのまま押し切る速攻が持ち味。前に出て勝った方が気持ち良いからと、稽古でも負けても前に出る積極的な姿勢を貫いています。また境川親方の勧めで、横綱・千代の富士関の映像を観て、自身と同じく左で前まわしを取る相撲を得意とした昭和の大横綱の取り口からヒントを得ました。
 迎えた夏場所初日の相手は、大関・貴景勝関。平戸海関は立ち合いから一気の出足で大関を圧倒して、会心の白星を挙げました。 幸先のいいスタートを切ったかに見えた平戸海関ですが、上位の壁は厚く、2日目から霧島関・琴桜関・豊昇龍関と、大関陣に3連敗を喫するなど黒星が先行。3勝5敗の成績で迎えた9日目の相手は、同じ2000年生まれの大の里関です。日本体育大学時代、2年連続アマチュア横綱という華々しい成績を引っさげ、幕下10枚目格付け出しでのデビューからスピード出世を果たし、アッという間に平戸海関を抜いて三役の小結に昇進した大の里関は、7勝1敗で優勝争いのトップを走っていました。平戸海関は立ち合いで低く踏み込むと、左前まわしを引き、大の里関がこらえ切れずに引いたところを一気に押し出して、勝負を決めました。その間わずか3秒ほど、まさに電光石火の決着でした。平戸海関は10日目に敗れたものの、11日目から5連勝。最終的に9勝6敗の成績で、4場所連続の勝ち越し。二場所連続の9勝は、7月の名古屋場所での上位躍進を確実にしました。

 

【大相撲 欧勝馬出気関】
 1月の初場所では新入幕の大の里関が終盤まで優勝争いを演じ、3月の春場所は尊富士関が110年ぶりの新入幕優勝を果たすなど、今年の大相撲は新入幕の力士の活躍が目立ちます。5月の夏場所も新入幕の欧勝馬関が優勝争いに絡み、場所を盛り上げました。モンゴル出身の欧勝馬関は遊牧民の家に生まれ、高校2年生の時にレスリングで日本の高校に留学するため来日。この時に一緒に飛行機に乗っていた一人が、豊昇龍関です。豊昇龍関は高校でレスリング部から相撲部に転向して卒業後に大相撲入りしますが、欧勝馬関は日本体育大学に入学してから相撲を始めます。そこで学生横綱となり、2021年11月の九州場所で幕下15枚目格付け出しでデビューを果たしました。十両には所要4場所で到達しましたが、ケガに悩まされて幕内入りするまで2年近くかかってしまいます。その間に、大学の後輩の大の里関が入幕して大活躍。欧勝馬関は抜かれたことに発奮し、今年3月の春場所後にようやく新入幕を果たしました。
 欧勝馬関の武器は、190㎝の長身を折って、レスリング仕込みの前傾姿勢で相手と絶妙な距離を保ち、タイミングよく繰り出す「はたき込み」です。引くタイミングを間違えると逆に相手を呼び込んでしまう諸刃の剣のような技ですが、これまで挙げた白星の約3割がはたき込みでの勝利でした。5月の夏場所11日目で、8勝3敗と早くも勝ち越しを決めた欧勝馬関。12日目には正代関を得意のはたき込みで破り、この時点で優勝争いのトップに並びます。翌13日目は敗れましたが、14日目は大関・豊昇龍関と4敗同士の対戦が組まれました。新入幕の力士が大関と当たることは非常に稀ですが、欧勝馬関が終盤まで優勝争いに絡んでいたからこそ早くも対戦が実現したのです。注目の一番は、大関の速攻に屈して完敗。新入幕優勝も逃した欧勝馬関。しかし最終的に10勝に乗せ、新入幕の場所で敢闘賞を受賞しました。

 

来週のスポーツ伝説は……

7/15(月) バドミントン 西本拳太選手
7/16(火) バドミントン 大堀彩選手  
7/17(水) 体   操  岡慎之助選手
7/18(木) 体   操  宮田笙子選手
7/19(金) 自 転 車  太田海也選手

お楽しみに!!

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    パーソナリティ
    • 滝本沙奈
      滝本沙奈
      滝本沙奈

      滝本沙奈

      生年月日:1984年6月6日
      出身地:東京
      学歴:青山学院大学文学部英米文学科卒
      趣味:マリンスポーツ(ダイビング、サーフィン、釣り)
      資格:PADIオープンウォーターダイバー、おさかなマイスターアドバイザー

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