【MLB ダルビッシュ有投手】
5月19日、サンディエゴ・パドレスのダルビッシュ投手が偉大な記録を打ち立てました。アトランタ・ブレーブス戦に先発したダルビッシュ投手は、この日までに日本のプロ野球で93勝。メジャーリーグで106勝を挙げて、合わせて199勝。日米通算200勝に王手を掛けていました。偉大な記録達成を後押ししようと、パドレス打線は初回に3点を先制。ダルビッシュ投手も初回から3回まで毎回ランナーを出しながら、要所を締めて得点を与えません。4回以降はテンポよく投げて1人のランナーも許さない圧巻のピッチングを披露し、7回を2安打無失点、9奪三振の好投でマウンドを降りました。8回以降はリリーフ陣が締めて、ダルビッシュ投手は野茂英雄投手・黒田博樹投手に続く史上3人目の日米通算200勝を達成しました。しかもダルビッシュ投手の白星は全て先発で積み上げてきたものであり、これは200勝を挙げた歴代日本人投手の中で唯一の大記録です。
この試合で、ダルビッシュ投手はもう1つの記録を達成しました。それは、自己最長を更新する25イニング連続無失点という記録です。37歳になっても進化を続けられる秘訣は、飽くなき向上心。今シーズンも球種ごとの被打率を調べて、シーズン中にもかかわらずフォームの修正に取り組みました。そんな地道な努力が、調子の回復と200勝達成につながったのです。ダルビッシュ投手にとって、200勝は1つの通過点にすぎません。黒田投手が持つ日米通算での最多勝利203勝の更新はもう目前。ボルチモア・オリオールズから白星を挙げれば、日本人投手初のメジャー全30球団から勝利という大記録も達成します。ダルビッシュ投手の進化は、これからもまだまだ止まりません。
【プロ野球 戸郷翔征投手】
2022年に12勝を挙げ、4年目で初めて2ケタ勝利をマークした巨人の戸郷投手。投手陣のキャプテンに就任した昨シーズンは、チームトップとなる2年連続12勝を挙げ、防御率2.38の好成績を残してエース格に成長しました。今シーズン、巨人は阿部慎之助監督のもと、4年ぶりのリーグ優勝を目指しています。昨シーズンは、優勝した阪神のホーム・甲子園球場で3勝10敗と大きく負け越したことが、2年連続Bクラスに沈んだ大きな原因ひとつ。今年も甲子園では分が悪く、4月の3連戦は2敗1分けと勝利を挙げられなかった巨人にとって、5月下旬に行われた甲子園3連戦はどうしても負けられない戦いでした。その大事な初戦を託されたのが、戸郷投手です。
迎えた5月24日、甲子園で行われた阪神戦。戸郷投手は初回、阪神打線を3者連続でセンターフライに仕留める上々の立ち上がりを見せます。3回には自らの一塁悪送球、5回には味方のエラーもありましたがヒットを許さず、いずれも無失点で切り抜けました。すると巨人は、5回に泉口友汰選手のタイムリーで1点を先制。6回には、レフト線へ落ちそうなフライを立岡宗一郎選手がスライディングでナイスキャッチ。バックも守備で盛り立てました。戸郷投手はその後もノーヒットピッチングを続け、プロ野球史上89人目、101度目となるノーヒット・ノーランを達成しました。阪神戦で巨人のピッチャーがノーヒット・ノーランを記録したのは、戦前に2度達成した、沢村栄治投手以来87年ぶり。甲子園での達成は88年ぶりの快挙で、チームを波に乗せる大きな1勝となりました。
【プロ野球 大瀬良大地投手】
広島カープの大瀬良投手は、プロ入りした当初は150キロ台のストレートで押す本格派のピッチャーでした。2014年の1年目から10勝を挙げ、5年目の18年には15勝で最多勝と最高勝率の2冠を獲得し、カープのセ・リーグ3連覇に貢献します。しかし20年に右ヒジを痛め、手術に踏み切ります。手術明けの21年は2年ぶりに2ケタの10勝を挙げましたが、一昨年は8勝9敗。昨シーズンは6勝11敗と負け越し、シーズン終了後の10月に大瀬良投手は再び右ヒジ手術を決断しました。そしてプロ11年目の今シーズン、大瀬良投手は投球のスタイルを大きく変えます。これまでより変化球を増やし、三振を奪うよりも打たせて取るピッチングを目指したのです。5年続けた開幕投手が途切れ、6番目の先発投手としてスタートした今シーズンは、この千葉ロッテ戦を迎えるまで8試合に投げて2勝0敗。8試合とも先発投手の責任イニングである5回を投げ、防御率は1点台をキープと、モデルチェンジの効果が出て抜群の安定感を見せました。
6月7日の千葉ロッテ戦。先発の大瀬良投手は、初回からキレのある変化球を軸に、打たせて取るピッチングで相手打線を翻弄し、1本のヒットも許さないまま9回のマウンドを迎えます。順調に2つのアウトを奪い、快挙まであと1人というところで、緊張したのか2連続のフォアボール。4点のリードをしていたとはいえ、ホームランが出ると1点差となる場面で、打席には昨年のパ・リーグホームラン王・4番のポランコ選手を迎えます。緊迫した空気の中、大瀬良投手は最後まで自分のピッチングを貫き、129球目、144キロのストレートでポランコ選手をライトフライに打ち取りゲームセット。大瀬良投手は、プロ野球史上90人目、102回目のノーヒット・ノーランを達成しました。カープでは、前田健太投手以来、12年ぶり5人目。マツダスタジアムでは初となる快挙でした。
【プロ野球 松本健吾投手】
昨年のドラフト2位で東京ヤクルトスワローズに入団した松本投手。その名前が野球ファンに広く知られるようになったのは、東京の強豪校・東海大菅生高校の3年生の時です。西東京大会決勝に登板した松本投手は、当時高校ナンバーワンスラッガーとして注目されていた早稲田実業高校の清宮幸太郎選手を1安打に封じて、チームを17年ぶりの夏の甲子園出場に導き、甲子園でも創部初のベスト4に貢献しました。卒業後は亜細亜大学を経て、社会人野球の名門・トヨタ自動車に入社。昨年の都市対抗野球では優秀選手に選ばれる活躍を見せ、チームは日本一に。150キロを超えるストレートと多彩な変化球を武器に、社会人ナンバーワン右腕と評価を高め、上位指名でプロ入りを果たしたのです。
開幕は2軍スタートとなった松本投手ですが、リリーフ2試合を含む4試合に登板して3勝・負けなし。防御率0.47という圧巻のピッチングを続け、5月15日についに1軍昇格を果たします。この日にさっそく先発投手としてマウンドに立った松本投手。その記念すべきプロ初登板・初先発は、愛媛県松山市の坊っちゃんスタジアムで行われた広島カープ戦でした。初回からいきなり2つの三振を奪うと、3回まで毎回ヒットを許すものの無失点で切り抜けます。4回以降は落ちる変化球を効果的に使ってランナーを1人も許さず、松本投手はヒット3本、フォアボールは0、10個の三振を奪う好投でみごと完封勝利を挙げました。新人投手がプロ初登板で完封勝ちしたのは、実に16年ぶり。球団では72年ぶりのことでした。またプロ初登板の試合での2ケタ奪三振とフォアボール0で完封勝利をしたピッチャーは、プロ野球の歴史の中でも松本投手が初めてでした。
【プロ野球 中川虎大投手】
横浜DeNAベイスターズの中川投手は、5歳で地元・和歌山の野球チームに入り、少年時代は練習と試合に明け暮れました。しかし中学2年生の時、遊びたい気持ちが勝ったのかチームを退団。ただ離れてみると、野球への思いが残っていることに気付きます。母の言葉に背中を押されて野球を再開した中川投手は、地元の古豪・箕島高校に進学。甲子園出場の夢は叶いませんでしたが、140キロ台後半の力強いストレートを評価され、2017年の育成ドラフト1位で横浜DeNAに育成選手として入団しました。プロ2年目の19年は開幕から2軍の先発ローテーションに定着して、イースタン・リーグで唯一のふたケタ勝利となる11勝を挙げて最多勝に輝き、防御率2.25もリーグトップ。2軍で投手2冠を達成します。この活躍を認められ、中川投手はシーズン途中に支配下契約を勝ち取りました。
それから昨シーズンまで5年間、1軍で0勝4敗ともどかしい日々が続いた中川投手。転機になったのは今年、先輩の森原康平投手と自主トレを共にしたことです。昨年までは失敗を恐れがちだった中川投手ですが、森原投手のアドバイスを受けて、失点しても引きずらず、最少失点でとどめる粘り強さを発揮するようになります。6月1日の北海道日本ハム戦。3対3の同点で迎えた8回ウラに登板した中川投手は、2三振を奪うなど3者凡退に仕留めます。するとこの好投が呼び水となり、DeNAは続く9回表に牧秀悟選手のソロホームランで勝ち越しに成功。その裏を頼れる先輩・森原投手が抑えて、入団7年目、通算39試合目にして中川投手に嬉しいプロ初勝利がつきました。
来週のスポーツ伝説もお楽しみに!!
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