【プロ野球 中川颯投手】
貴重な右のアンダースローで、今シーズンから横浜DeNAベイスターズでプレーする中川投手。バッターの手元で浮き上がるようなストレートに、スライダーとシンカーを低めに集める投球術が光る技巧派のピッチャーです。神奈川県の野球強豪校・桐光学園時代は、エースで4番として投打両方でチームを牽引。立教大学ではピッチャーに専念すると、1年生にして全日本大学選手権で最優秀投手賞に輝き、59年ぶりの大学日本一に大きく貢献しました。2020年、ドラフト4位でオリックス・バファローズに入団。1年目は2軍で防御率1点台という安定したピッチングを見せ、1軍での初登板も果たします。ところが2年目の22年、2軍で6試合の登板に終わった中川投手はオフに戦力外通告を受け、育成選手として再出発することに。3年目の昨シーズンは2軍で21試合に投げ、再び防御率1点台と活躍しますが、結局1軍に上がることはできず。オフに2度目の戦力外通告を受けてしまいました。
そんな中川投手に手を差し伸べたのが、地元・神奈川の横浜DeNAベイスターズでした。
ここから、再起をかけた中川投手のプロ野球人生第2幕がスタートします。オープン戦から好投を続けて開幕から1軍入りを果たしすと、念願の初先発は4月4日の阪神戦。この時は5回途中まで投げて勝敗はつきませんでしたが、その後は中継ぎとして経験を積みながら少しずつ調子を上げていきました。そして4月30日、バンテリンドームナゴヤで行われた中日戦。先発でマウンドに上がった中川投手は、ストライク先行のテンポのいいピッチングで7回途中まで投げて1失点の好投。その後はリリーフ陣につないで逃げ切り、待望のプロ初勝利を挙げました。さらに5月18日、本拠地・横浜スタジアムで行われた中日戦で先発した中川投手は、プロ初アーチとなる2ランホームランをライトスタンドに叩き込みます。そして投げては、持ち味の打たせて取るピッチングで、6回5安打2失点に抑えて2勝目を挙げました。2度の戦力外を受けた苦労人が本領を発揮するのは、まだまだこれからです。
【プロ野球 長谷川威展投手】
出場機会に恵まれなかった選手の移籍の活性化を目的に、2022年のオフに導入された現役ドラフト制度。この制度を使って北海道日本ハムファイターズから福岡ソフトバンクホークスに移籍したのが、サウスポーの長谷川投手です。地元・埼玉の強豪校、花咲徳栄高校で2年生の時に野手から投手に転向。しかし試合での登板はほとんどなく、全国制覇を果たした高校最後の夏の甲子園は、応援団のひとりとしてアルプススタンドで幕を閉じました。そんな長谷川投手が飛躍を遂げたのは、金沢学院大学時代です。左のサイドスローとして中継ぎで活躍し、ストレートの最速は150キロを超えるようになります。スライダーにも磨きをかけ、21年のドラフト6位で北海道日本ハムに入団するも、華々しい活躍はできず。昨年12月に実施された現役ドラフトで、ソフトバンクへの移籍が決まりました。
ソフトバンク移籍後、長谷川投手はオープン戦で6試合に投げ、1勝2セーブ、防御率0・00と好成績を残し、4月7日の楽天戦で登板のチャンスをつかみます。そこで好リリーフを見せて、新天地での第一歩を踏み出しました。そして4月29日の埼玉西武戦。2点ビハインドの9回にマウンドに上がると、西武打線を3者凡退に抑えます。するとその裏、柳田悠岐選手に逆転サヨナラスリーランが飛び出し、長谷川投手に嬉しいプロ初勝利が転がり込みました。しかもこの勝利で、ホークスは福岡に移転後通算2500勝を達成。強運の持ち主と自認するの長谷川投手らしい、メモリアルな1勝となりました。
【プロ野球 武内夏暉投手】
埼玉西武ライオンズに、今年もまた期待のサウスポーが登場しました。186㎝の長身から150キロを超えるストレートを投げ込むドラフト1位ルーキー・武内投手です。両コーナーと低めへのコントロールが抜群で、ピンチの場面でも制球力を生かした投球ができる武内投手。國學院大学時代の東都大学野球では、4年生秋のリーグ戦で防御率0・97をマークし、最優秀防御率とベストナインのタイトルを受賞。昨年のドラフトでは、東都ナンバーワン左腕の呼び声で埼玉西武に加え、福岡ソフトバンクと東京ヤクルトが1位指名で競合した逸材です。オープン戦でもしっかり結果を出し、新人ながら開幕ローテーション入りを果たした武内投手のデビューは、開幕5戦目の4月3日、リーグ3連覇中のオリックス戦でした。初回にフォアボールでランナーを出したものの、後続を抑えて無失点に切り抜けると、以降は自慢の制球力と剛腕ぶりを発揮。7回を投げ、許したヒットはシングルの1本。圧巻のピッチングでデビュー戦を白星で飾りました。
今年のルーキーで12球団一番乗りとなる白星を挙げた武内投手は、その後も新人離れした安定したピッチングを続けていきます。先発2度目は7回を投げ2失点、3度目も7回を投げ3失点と、勝敗こそ付きませんでしたが、いずれも6回以上を投げて自責3点以内に抑えるというクオリティ・スタートをマークします。これは先発投手の信頼度を測る指標で、デビューから毎試合クオリティ・スタートを続けていった武内投手。4度目の先発は5月3日、強力打線を誇る福岡ソフトバンクでしたが、8回を4安打無失点の素晴らしい内容で2勝目をマーク。続く5度目の先発でも7回7安打1失点と好投し、無傷の3勝目を挙げたのです。西武の新人ピッチャーで、先発投手としてデビューから3連勝を飾ったのは、杉本正投手以来、43年ぶり2人目の快挙。またプロ初登板から5試合連続でクオリティ・スタートを達成したのは、“平成の怪物”松坂大輔投手を抜く、球団新記録となりました。
【プロ野球 西舘勇陽投手】
昨年のドラフト1位で、読売ジャイアンツに入団した西舘投手。ランナーがいない場面でも、セットポジションからのクイックモーションで150キロ台のストレートが投げられる剛腕ピッチャーです。即戦力の中継ぎとして開幕1軍入りを果たした西舘投手は、3月29日、阪神との開幕戦で3対0とリードした7回から2番手で登板。阪神打線をわずか9球で3者凡退に仕留め、プロ初ホールドをマークしました。翌日の阪神戦も、3対0とリードした7回、1アウト一・三塁のピンチでマウンドに上がった西舘投手。終盤のヤマ場で後続を打ち取り見事火消しに成功すると、2試合連続のホールドを記録し、球団83年ぶりとなる開幕2戦連続完封勝利に貢献しました。
4月に入っても快進撃は続き、投げるたびにホールドを積み重ねていった西舘投手。25日の中日戦では7回に登板。打者3人を抑え、デビューから無失点のまま10試合連続ホールドをマーク。2012年に中日・田島慎二投手が作ったセ・リーグの新人最多記録に12年ぶりに並びます。11試合目で初の失点を喫して記録更新はなりませんでしたが、その後も勝ちパターンの中継ぎとして登板。チームの勝利に貢献を続けた西舘投手。5月26日、甲子園球場で行われた阪神との伝統の一戦では、同点の9回に登板して、3者凡退に抑えます。すると直後の延長10回に巨人は勝ち越してそのまま勝利。18試合目にして、西舘投手は嬉しいプロ初勝利を挙げました。
【プロ野球 萩尾匡也選手】
慶應義塾大学4年生の時に、東京六大学野球秋のリーグ戦で打率4割、ホームラン4本、17打点を記録し、戦後16人目の三冠王に輝いた萩尾選手。2022年のドラフト2位で読売ジャイアンツに入団します。バッティングセンスの高さは大いに期待されましたが、1年目の昨シーズンは1軍で16打数1安打、打率0割6分3厘に終わり、プロの厳しさを味わいました。勝負の2年目となる今シーズンは開幕1軍入りを果たして、バンテリンドームナゴヤで行われた4月2日の中日戦に1番・ライトでスタメン出場。プロ初打点をマークしますが、ライトの守備でフェンスに激突した際に、右ヒザを痛めて途中交代となりました。それでも翌日は、元気な姿をアピールして2試合連続で先発出場。すると8回、祖父江大輔投手のフォークを捉え、プロ初ホームランを放ちました。
4月14日、東京ドームで行われた広島戦に先発出場した萩尾選手は、初回の第1打席で広島先発・ハッチ投手の151キロの真っ直ぐに手が出ず、見逃し三振を喫します。ベンチに戻ると二岡智宏ヘッドコーチからバットを少し短く持つようとアドバイスを受けた萩尾選手。1点を追う3回、ワンナウト一塁の場面で第2打席を迎えた萩尾選手は、ハッチ投手のスライダーをジャストミート。打球は左中間スタンドへ飛びこむ、逆転の2号ツーランホームランとなりました。チームはそのまま2対1で勝って6連勝。チームを活気づける懸命なプレーで、スタメン定着を目指します。
来週のスポーツ伝説は……
6/17(月) 重量挙げ 宮本昌典選手
6/18(火) 重量挙げ 鈴木梨羅選手
6/19(水) ホッケー 永井友理選手・葉月選手
6/20(木) 競 泳 竹原秀一選手
6/21(金) 競 歩 浜西諒選手
お楽しみに!!
2025.03.27
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2025.03.21
2025年3月17日~21日の放送内容
【スピードスケート 高木美帆選手】 30歳になった現在も国際大会で圧倒的な強さを見せ、女子スピードスケート第一線で活躍を続けている高木選手。冬季オリンピックでは、20...
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2025年3月10日~14日の放送内容
【プロ野球 田中将大投手】 昨年のオフ、東北楽天ゴールデンイーグルスを退団し、読売ジャイアンツへの入団を発表した田中投手。2006年に高校生ドラフト1位で東北楽天に入...
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2025年3月3日~7日の放送内容
【メジャーリーグ 菊池雄星投手】 岩手県の花巻東高校時代から注目を浴びてきたサウスポー・菊池投手。2019年にアメリカ・メジャーリーグに活躍の場を移すと、5年目の23...
2025.02.28
2025年2月24日~28日の放送内容
【プロ野球 遠井吾郎選手】 今年で球団創立90周年を迎えた阪神タイガース。遠井選手は1950年代~70年代にかけて、阪神ひと筋で20年間プレーした名物選手です。ぽっち...