【競泳 池江璃花子選手】
2016年、16歳でリオオリンピックに出場し、女子100mバタフライで5位入賞を果たした池江選手。当時は泳ぐたびに記録を伸ばすような快進撃で、日本競泳界の次世代エースとして大きな注目を集めていました。しかし期待を集めていた矢先の19年2月に白血病を患い、長期の治療と休養を余儀なくされます。その後は闘病を経て、競技に復帰。21年の東京オリンピックではリレー種目で出場を果たし、奇跡の復活劇として話題となりました。次のパリではメダル獲得を目標とした池江選手でしたが、東京オリンピックの後は思うように記録が伸びず、22年の世界選手権代表メンバーから落選。復活を目指して昨年10月、練習拠点をオーストラリアに移します。海外のオープンな雰囲気と、笑顔を絶やさないチームメイトのお陰でメンタル面が回復。計画的な筋力トレーニングでパワーもアップしました。
パリオリンピックの代表選考会開幕日の3月17日は、ちょうど4年前、白血病から復帰後に初めてプールに入った日でもありました。その特別な思い出の日に、池江選手は見事な泳ぎを見せます。女子100mバタフライ予選・準決勝と、復帰後の自己ベストを連発。準決勝では全体トップの57秒03で決勝進出を決めました。迎えた決勝。前半から積極的なレースを見せた池江選手は、3位と0.01秒差の2位でフィニッシュ。派遣標準記録をクリアして、悲願だった個人でのパリオリンピック出場を勝ち取ったのです。
【競泳 鈴木聡美選手】
鈴木選手が初めてオリンピックに出場したのは、2012年のロンドン大会です。この時は200m平泳ぎで銀メダル、100m平泳ぎと400mメドレーリレーでそれぞれ銅メダルを獲得し、競泳日本女子初となる同一大会で3つのメダル獲得の快挙を達成しました。しかし4年後のリオは、100m平泳ぎで準決勝敗退と結果を残せず、東京では代表入りを逃した鈴木選手。水泳人生の締めくくりとしたいと捉えていた東京大会の時には30歳を迎え、引退の文字が頭をよぎったといいます。しかし支えてくれる監督やトレーナーなど周囲の励ましに背中を押され、パリを目指すことにしたのです。
そんな鈴木選手の武器は、持ち前の継続力と負けず嫌いの精神です。大学生に交じっての厳しい泳ぎ込みやウエイトトレーニングを重ねたことで、昨年は100m平泳ぎで自己ベスト、50m平泳ぎで日本新記録を樹立。明確な進化を見せ、今年3月のパリオリンピックの代表選考会に臨みました。「水泳人生で一番コンディションがいい」と臨んだオリンピック代表選考会。鈴木選手は100m平泳ぎの予選から好タイムをマークすると、決勝でも自己ベストを更新する泳ぎで見事1着。オリンピック派遣標準記録もクリアして、2大会ぶり3度目の出場を内定させました。200m平泳ぎでも派遣標準記録を切って1位でフィニッシュ。2種目での代表内定を決めたのです。33歳でのオリンピック代表は、リオ大会に32歳で出場した松田丈志さんを塗り替える、日本競泳史上最年長記録です。
【競泳 大橋悠依選手】
2021年の東京オリンピックで日本競泳界の主役となった大橋選手。女子200mと400mの個人メドレーで金メダルを獲得し、大きな脚光を浴びました。このとき大橋選手は25歳。ここでの引退も考えたと言います。それでも悩んだ末、大橋選手は現役続行の道を選びました。理由の一つは、東京オリンピックがコロナ禍で無観客開催だったこと。もう一度、家族や友人の前で泳いでからやめたいと、まずは23年に福岡で開催される世界選手権を目指すことを決意します。22年には日本競泳女子初のプロスイマーとなり、水泳教室の開催やメディア露出を増やすなど、次世代にも繋がるよう活動の幅を広げてきました。こうして迎えた世界選手権福岡大会は、待ち望んでいた自国開催。念願の観客がいる舞台で、大橋選手は200m個人メドレーに出場。結果は6位でしたが「大きな声援を受けて泳ぐことができて幸せ」と涙ぐむ場面もありました。
東京オリンピックの後は、200m個人メドレーをメインに練習に取り組んできた大橋選手。世界選手権も200mだけの出場でしたが、スタンドで観戦した400mのレースから刺激を受け、パリオリンピックは200mと400mで目指す道を選びました。そして今年3月のオリンピック代表選考会。400m個人メドレー決勝では台頭してきた若手選手たちに及ばず、4位で代表入りを逃します。しかし本命の200m個人メドレー決勝では、400mで培った体力を武器に後半まで安定した泳ぎで圧倒。見事に優勝し、派遣標準記録もクリアして2大会連続のオリンピック出場を勝ち取りました。
【競泳 三井愛梨選手】
現在、法政大学2年生の三井選手。波に乗れる感覚が気持ちいいからという理由でバタフライひと筋に取り組み、全国中学校水泳大会では2年生で100m優勝。3年生で200m優勝と、世代のトップ選手として活躍してきました。しかし桐蔭学園高校に進学した2020年春、コロナ禍となり、2ヵ月間泳ぐことができなくなります。信頼していたコーチが亡くなるという不幸も重なり、辛い時期を経験した三井選手。記録も伸びなくなりましたが、周囲の支えを受けて練習を続けました。22年8月、三井選手はハワイで行われたジュニアパンパシフィック選手権の200mバタフライに出場して、大会新記録で優勝。100mバタフライとメドレーリレーは準優勝に輝き、地道な努力が実ります。
23年春には、英語を学ぶために法政大学の国際文化学部に進学。この学部は2年生の時に必修の留学制度があるため、体育会所属の学生はほとんどいません。三井選手は文武両道を実践しながら大会に出場。この年4月に行われた、日本選手権の200mバタフライで初優勝。6月には合宿先のアメリカ・アリゾナ州から大学の課題を提出したあと、7月の世界選手権で5位に入賞するなど、競技と勉強を両立させたのです。今年3月に東京で行われた競泳のパリオリンピック代表選考会、200mバタフライ決勝では、2分6秒54の自己ベスト記録で優勝。派遣標準記録を突破して、パリオリンピック代表に内定しました。レース後、この日のレースは80点くらいと自己採点した三井選手。その悔しさをパリオリンピックで晴らします。
【競泳 平井瑞希選手】
女子競泳界期待の星・平井選手は、
今年3月に17歳になったばかりの女子高生スイマーです。小学2年生の時から着実に才能を伸ばし、2022年に競泳の名門・日大藤沢高校に進学。平井選手を支えるため、家族も一緒に愛知県から神奈川県に引っ越しました。この熱意が実り、平井選手は22年の世界ジュニア選手権女子100mバタフライと400mメドレーリレーで優勝。二冠を達成します。そんな平井選手が目標にしている存在が、池江璃花子選手です。16年のリオオリンピックで池江選手の泳ぎを観て憧れを抱き、18年のパンパシフィック選手権100mバタフライで日本新記録の56秒08を樹立した際には、会場の辰巳国際水泳場で生観戦していたという平井選手。その少女が後に、驚異的な覚醒を見せます。
昨年、100mバタフライの自己ベストは58秒台に甘んじていた平井選手。それが今年1月の北島杯で57秒79、2月のレースで57秒08まで一気に縮める急成長を遂げ、3月にパリオリンピック出場をかけた代表選考会に臨みました。準決勝を2位で通過し、決勝は池江選手の隣のレーンで泳ぐことになった平井選手。最後は池江選手をかわして1位でフィニッシュすると、日本女子2人目の56秒台、56秒91をマークし、初のオリンピック代表内定を勝ち取りました。17歳のニューヒロインがこの夏、パリの舞台で躍動します。
来週のスポーツ伝説は……
5/20(月) プロ野球 フランミル・レイエス選手
5/21(火) プロ野球 ヘスス・アギラー選手
5/22(水) プロ野球 ミゲル・ヤフーレ投手
5/23(木) プロ野球 アンダーソン・エスピノーザ投手
5/23(金) プロ野球 アンドレス・マチャド投手
お楽しみに!!
2025.03.27
2025年3月24日~27日の放送内容
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2025.03.21
2025年3月17日~21日の放送内容
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2025.03.14
2025年3月10日~14日の放送内容
【プロ野球 田中将大投手】 昨年のオフ、東北楽天ゴールデンイーグルスを退団し、読売ジャイアンツへの入団を発表した田中投手。2006年に高校生ドラフト1位で東北楽天に入...
2025.03.06
2025年3月3日~7日の放送内容
【メジャーリーグ 菊池雄星投手】 岩手県の花巻東高校時代から注目を浴びてきたサウスポー・菊池投手。2019年にアメリカ・メジャーリーグに活躍の場を移すと、5年目の23...
2025.02.28
2025年2月24日~28日の放送内容
【プロ野球 遠井吾郎選手】 今年で球団創立90周年を迎えた阪神タイガース。遠井選手は1950年代~70年代にかけて、阪神ひと筋で20年間プレーした名物選手です。ぽっち...