スポーツ伝説

2023.12.15

2023年12月11日~15日の放送内容

【プロ野球 近藤健介選手】
 11年間在籍した北海道日本ハムファイターズから、新天地・福岡ソフトバンクホークスへFA移籍した近藤選手。日本ハム時代の近藤選手はシュアなバッティングが特徴で、打率と出塁率は高いけれど、身長は171㎝と小柄でホームランは少ないバッターでした。実際、シーズンホームラン数は2021年の11本が最高。ボールをよく見ようとするあまり、打つポイントが手元に近くなり、差し込まれて広い札幌ドームではホームランにならないケースがよくありました。しかし今シーズンからは、外野にホームランテラスがある福岡ペイペイドームが本拠地になり、フェンスを越える打球も増えていきます。開幕当初は侍ジャパンでも担当した2番を任されますが、その後クリーンナップの3番になり、8月以降は4番にも抜擢された近藤選手。シーズン終盤になっても、打率・打点・ホームランの全部門でいずれもトップを狙える位置に付け、三冠王を射程に捉えていました。
 10月9日、福岡ソフトバンクはオリックスとのシーズン最終戦に臨みます。試合前の近藤選手は、打点86でトップをキープ。打率は、3打数3安打ならトップのオリックス・頓宮裕真選手を逆転。ホームランは、千葉ロッテのポランコ選手、東北楽天の浅村栄斗選手を1本差で追う25本という状況でした。3打席目まで近藤選手のバットからは快音が聞かれず、ノーヒットで迎えた9回の第4打席。レギュラーシーズン最後となったこの打席で、近藤選手はオリックス・山岡泰輔投手のストレートを左中間スタンドに運ぶ第26号ホームランを放ちトップを捉えます。最終的に打率は3割3厘で頓宮選手に4厘差の2位に終わりましたが、ホームラン王と打点王の二冠を獲得しました。FA選手が移籍初年度で打撃二冠王に輝いたのは、史上初の快挙でした。

 

【プロ野球 岡本和真選手】
 2020・21年と2年連続で、ホームラン・打点の二冠王に輝いた巨人・岡本選手。ところが昨シーズンは東京ヤクルト・村上宗隆選手が三冠王に輝き、無冠の屈辱を味わいました。スラッガーの意地を懸けて臨んだ今シーズンは、開幕前にWBCに出場して侍ジャパンの世界一に貢献。巨人でも坂本勇人選手からキャプテンの座を受け継いだことで、チームを引っ張る自覚がより強くなります。ホームランは4月が終わった時点でわずか2本でしたが、5月に入って9本、6月は7本とホームランを量産。交流戦ではホームラン・打点の2部門で12球団トップの成績を残し、MVPに輝きました。
 9月1日の横浜DeNA戦では、通算200号ホームランを当時史上6番目の27歳2ヵ月で達成。さらに9月15日の中日戦では、自身最多となるシーズン40号ホームランを放ちます。巨人の生え抜きの右打者では坂本選手以来、史上2人目の快挙です。最終的に41本を放ち、2年ぶり3度目のホームラン王に輝いた岡本選手。今シーズンは、チームの主力に故障者が続出する中、本職のサード以外にファースト・レフトも守りました。 来年は阿部慎之助新監督のもと、チームを浮上させるホームランを狙います。

     
【プロ野球 中野拓夢選手】
 今シーズン、1番・近本光司選手との1・2番コンビでチャンスを演出して、阪神タイガースのリーグ優勝と日本一に貢献した中野選手。放ったヒットの数は自己最多の164本。横浜DeNAベイスターズの牧秀悟選手と並び、セ・リーグ最多安打のタイトルを獲得しました。これまでは盗塁王の経験もある俊足。そして守備の達人の印象が強かった中野選手ですが、今年は2番打者として出塁することはもちろん、1番の近本選手を進塁させること、得点圏のランナーをホームに返すことなど様々な役割が求められました。狙い球を絞ってヒットを打つ機会が増えたことでフォアボールも増え、その数はチームで3番目に多い57個。昨年に比べ3倍以上も増え、打率も自己最高の2割8分5厘を記録しました。
 今年の中野選手は、最多安打のタイトル以外に大きな勲章をいくつも手にしています。ひとつはチーム唯一の全試合フル出場。開幕前にWBCも戦ったことを考えれば、そのタフネスぶりに驚かされます。ちなみに、最多安打のタイトルと全試合フル出場の同時達成は球団初。セ・リーグでも史上2人目の快挙でした。さらに今シーズンはショートからセカンドへコンバートされ、新しいポジションでゴールデン・グラブ賞も受賞。10年連続で受賞していたセカンドの名手、広島・菊池涼介選手を止めたことも大きな話題となりました。今や球界屈指の二塁手となった中野選手。来年は打率3割やシーズン200安打を目標に掲げ、さらなる進化を目指します。

 

【プロ野球 岩崎優投手】
 ピンチの場面、そしてチームが困ったときほど冷静沈着。阪神の守護神・岩崎投手は、2017年に本格的に中継ぎに転向して以降、毎年40試合以上に登板してきた鉄腕です。この2年、阪神はまさに困ったときに岩崎投手に救われてきました。昨年は外国人投手の不調もあり、シーズン途中で急きょ抑えに配置転換。左腕投手ではチーム歴代最多となる28セーブを記録すると、今シーズンも湯浅京己投手の不調もあり、再び守護神の代役を任されます。すると6月28日から8月末まで23試合連続無失点と、これぞ守護神という活躍でセーブを積み重ねたのです。終わってみれば、岩崎投手は60試合に登板し、昨年を上回る35セーブを記録。セ・リーグの最多セーブのタイトルを獲得しました。阪神の左投手がこのタイトルを獲得するのは、史上初めてのこと。またシーズン2ケタのホールドを記録した投手が最多セーブに輝くのは、史上3人目の快挙でした。
 岩崎投手にとって、今シーズンは是が非でも結果を出したい理由がありました。それは、今年7月に脳腫瘍のため28歳の若さで亡くなった同期入団の仲間、横田慎太郎さんの存在があったからです。9月14日、優勝マジック1で迎えた甲子園での巨人戦。2点リードの9回を託された岩崎投手は「横田の思いも背負って変更をお願いしました」と、横田選手の登場曲ゆずの『栄光の架橋』でマウンドへ。その瞬間、阪神ファンの大合唱に包まれた甲子園。岩崎投手はファンの声援を力に変えてリードを守り切り、阪神タイガース18年ぶりとなる悲願のリーグ優勝を決めて見せたのです。試合後、岡田監督の次に胴上げされた岩崎投手は、横田さんが着ていた24番のユニホームを手に、宙に3度舞って優勝を噛み締めました。

 

【プロ野球 島内颯太郎投手】
 今シーズン、2位に躍進した広島カープの中継ぎの柱として活躍したのが、プロ5年目の島内投手です。球種は最速157キロのストレートと武器のチェンジアップ。毎年投球回を上回る三振を奪う一方、コントロールに難があり、昨年は2軍落ちも長く、プロ入り後最少の22試合登板にとどまりました。転機になったのは、新井貴浩新監督の就任です。監督の一言でマウンドでの迷いがなくなったという島内投手。際どいコースを狙うよりストライクゾーンのボールの質で勝負することを意識すると、実戦練習で掴んだ自分の納得できるフォームにより心に余裕が生まれて、バッター心理まで考えられるようになり、今シーズンは開幕から中継ぎとして勝利に貢献できたのです。
 8月15日、首位・阪神との対決で2点リードの8回に登板した島内投手は、ノーアウト二・三塁のピンチを招きます。しかしそこから2者連続で三振を奪い、最後はショートゴロで切り抜けると、雄たけびを上げて力強く拳を握りました。シーズン終盤の9月に入ると3試合連続で失点する場面もありましたが、新井監督は「信頼が変わることはない」と明言。この一言に勇気づけられた島内投手は、自分の投球を見つめ直して再び力強いピッチングを取り戻し、一度も離脱せずシーズンを乗り切りました。最終的にリーグトップの62試合に登板。42ホールドポイントを記録して、球団初となる最優秀中継ぎ賞のタイトルを獲得した島内投手。信頼してくれた指揮官のために、来年も思い切って腕を振り抜きます。

 

来週のスポーツ伝説もお楽しみに!!

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    パーソナリティ
    • 滝本沙奈
      滝本沙奈
      滝本沙奈

      滝本沙奈

      生年月日:1984年6月6日
      出身地:東京
      学歴:青山学院大学文学部英米文学科卒
      趣味:マリンスポーツ(ダイビング、サーフィン、釣り)
      資格:PADIオープンウォーターダイバー、おさかなマイスターアドバイザー

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