【プロ野球 2022年日本シリーズ第1・2戦】
セ・リーグは東京ヤクルトスワローズ、パ・リーグはオリックスバファローズ。どちらもリーグ連覇を果たし、クライマックスシリーズを勝ち抜き、2年連続で同じ組み合わせになった昨年の日本シリーズ。2021年の対決は、全6試合が2点差以内という接戦の末、4勝した東京ヤクルトが20年ぶりの日本一を達成しており、日本一連覇か、はたまたオリックスが26年ぶりの日本一なるかで注目されました。
第1戦・第2戦は、東京ヤクルトの本拠地・神宮球場。オリックスは19年以来3年ぶりに試合を行う球場とあって、特に投手陣には慣れないマウンドとなりました。第1戦、オリックスの先発はエースの山本由伸投手。初回、東京ヤクルトに2点を許すと、3回には塩見泰隆選手、4回にはオスナ選手にソロホームランを浴びてまさかの4失点。不慣れなマウンドも影響したのか5回、左脇腹に異変を感じ、緊急降板します。このアクシデントが響いて、初戦は5対3で東京ヤクルトが制しました。
連敗は避けたいオリックスは、第2戦に山﨑福也投手を先発に起用。3回、ワンナウト三塁のチャンスで打席に立った山﨑投手は、東京ヤクルト・ サイスニード投手からタイムリーヒットを放ち、自ら先制点を勝ち取ると、投げては毎回ランナーを出しながらも、粘りのピッチングで4回を無失点に抑えます。5回以降、オリックスは継投で3点のリードを守り、9回ウラを迎えます。粘る東京ヤクルトは、ノーアウト一・二塁のチャンスを作ると、ここで高津臣吾監督は高卒2年目の内山壮真選手を代打で起用。内山選手は、阿部翔太投手の真ん中高めの直球を振り抜くと、打球は起死回生の同点スリーランに。史上16人目の日本シリーズ初打席初ホームランで、試合は延長戦に突入します。日本シリーズ史上2位となる5時間3分の熱戦の末、延長12回3対3の引き分け。両チームの巧みな選手起用が光り、前年同様この日本シリーズも名勝負になることを予感させる一戦となりました。
【プロ野球 2022年日本シリーズ第3・4戦】
第3戦の先発は、オリックスが宮城大弥投手。東京ヤクルトは高橋奎二投手と、前年の第2戦で息詰まる投手戦を演じた2人が再び相まみえることになりました。前回は、8回途中まで投げ1失点の宮城投手に対し、高橋投手が完封勝利を挙げています。この第3戦も4回まで互いに得点を許しませんでしたが、5回、第2戦まで9打数ノーヒット・5三振と不振だったキャプテン、東京ヤクルトの山田哲人選手が、レフトスタンドへ復活を告げる先制スリーランを放ち、宮城投手は6回途中3失点で降板。一方、高橋投手は6回を無失点に抑え、試合は東京ヤクルトが7対1で快勝。今回も高橋投手に軍配が上がりました。
対戦成績を2勝1分けとし、東京ヤクルトが勝てば、日本一に王手が掛かる第4戦。オリックスは先発の山岡泰輔投手が、初回から何度もピンチを迎えながらも粘りのピッチングでなんとか無失点に抑えます。この頑張りに打線も奮起し、3回、杉本裕太郎選手が東京ヤクルトの先発・石川雅規投手のチェンジアップに食らい付き、打球はレフト前に落ちる先制タイムリーヒットに。この1点を守るべく、オリックス・中嶋聡監督は、ワンナウト三塁のピンチを迎えた5回に山岡投手の交代を決断。2番手でマウンドに上がった宇田川優希投手が、山崎晃大朗選手と山田哲人選手を得意のフォークで連続三振に斬って取り、このピンチを切り抜けます。その後7回からは、山﨑颯一郎投手、9回はワゲスパック投手が登板。粘る東京ヤクルトはツーアウト二塁のチャンスを作ると、第2戦の9回ウラに起死回生の同点スリーランを放った内山壮真選手が代打で登場。一打同点、ホームランが出れば逆転という場面でしたが、ワゲスパック投手が意地を見せ、キャッチャーへのファールフライに打ち取ってゲームセット。オリックスが1対0で接戦を制し、この初勝利がシリーズの流れを変える大きな1勝になりました。
【プロ野球 2022年日本シリーズ第5戦】
第5戦の鍵を握ったのは、クライマックスシリーズでMVPを獲得したセ・パの2人、ヤクルトのホセ・オスナ選手と、オリックスの吉田正尚選手です。オスナ選手はクライマックスシリーズに続き、日本シリーズでも第4戦まで打率5割2分9厘と絶好調。この第5戦でも初回に先制タイムリーを放ち、好調ぶりをアピールします。さらに2対2で迎えた5回オモテ、ワンナウト1・3塁のチャンスで、打席にはまたしてもオスナ選手。負けられないオリックスは先発の田嶋大樹投手に代えて、39歳のベテラン・比嘉幹貴投手を送ります。比嘉投手はオスナ選手をスライダーでショートゴロ併殺打に打ち取り、わずか3球でピンチを切り抜けました。
一方、パ・リーグのクライマックスMVPオリックスの吉田選手は、日本シリーズに入ると絶不調。第4戦までの打率は1割6分7厘、この日も2打席連続で凡退をしていました。第3打席は、比嘉投手の好リリーフでピンチを切り抜けた直後の5回ウラ。吉田選手はヤクルトの先発・山下輝投手の甘く入ったストレートを見逃さず、バックスクリーンにたたき込みます。この勝ち越しのソロホームランが、復活を告げる一発になりました。オリックスはその後、再び逆転を許しますが、3対4と1点を追う9回ウラ、ヤクルトの守護神・マクガフ投手の悪送球で同点に追いつくと、なおもランナー1人を置き、吉田選手に打席が回ります。この場面で吉田選手は、高めに抜けたスプリットをフルスイング。ライトスタンド5階席へと消える、超特大のサヨナラツーランホームランとなりました。四番の2本のホームランが、逆転日本一へのノロシとなったのです。
【プロ野球 2022年日本シリーズ第6戦】
2勝2敗1分けのタイで迎えた第6戦。勝った方が日本一に王手をかける大事な一戦で、先発予定だったオリックスのエース・山本由伸投手が、第1戦で痛めた左脇腹が完治せず登板を回避。代わって、第2戦で先発した山﨑福也投手が中5日でマウンドに上がりました。1回ウラ、山﨑投手は先頭の塩見泰隆選手にいきなりヒットを許しますが、続く青木宣親選手をダブルプレーに仕留めるなど、この回を3人で終わらせます。これで落ち着いたのか、以降は5回まで無失点に抑えます。試合が動いたのは6回、オリックスの攻撃でした。ヒットで出た太田椋選手を送りバントで2塁に進めると、ヤクルトは吉田正尚選手を申告敬遠し杉本裕太郎選手との勝負を選びます。このチャンスで杉本選手は、甘く入ったストレートをライト前へ運び、先制のタイムリーヒットに。先制したオリックスは、6回から宇田川優希投手をマウンドに送ります。この年に育成からブレイクし、第4戦でも好リリーフを見せた宇田川投手が、ここでも期待に応え好投。シリーズ絶好調のオスナ選手を含め、2つの三振を奪ってゼロに抑えます。
続く7回は、平野佳寿投手が2三振を奪い3者凡退に仕留めると、8回は山﨑颯一郎投手が、同じく3者凡退・2奪三振とパーフェクトリリーフを見せ、試合は最終回へ。この好投に応え、オリックス打線は9回オモテに2点を追加し、投手陣を援護します。そして、ヤクルト最後の攻撃をワゲスパック投手がきっちり3人で締め、ゲームセット。オリックス投手陣は初回、先頭の塩見選手にヒットを許したあと、5人のピッチャーがノーヒットピッチングで繋ぎ、1安打完封リレーを演じてみせたのです。
【プロ野球 2022年日本シリーズ第7戦】
第7戦は、東京ヤクルトスワローズのホーム・神宮球場で行われました。オリックスは初回、当時21歳・先頭の太田椋選手が1球目をセンターバックスクリーンに運び、日本シリーズ史上初となる先頭打者・初球ホームランを放ちます。プレイボールからスタンドインまで、わずか10秒ほどの出来事でした。このリードを受けマウンドに上がったのは、こちらも当時21歳、シリーズ2度目の先発となった宮城大弥投手です。エース・山本由伸投手の故障の影響でプロ入り初となる中4日でのマウンドでしたが、若き左のエースは疲労をものともせず、ヤクルト打線を無得点に抑えます。5回、ノーアウト1塁から21歳コンビ、9番・宮城投手と1番・太田選手が立て続けにバントヒットを決めて満塁のチャンスを作ると、オリックスは押し出しデッドボールと相手のエラーで一挙4点を挙げ、日本一へ大きく前進します。
ヤクルトも黙ってはいません。8回に4番・村上宗隆選手がタイムリー。さらに、このシリーズ絶好調のオスナ選手が豪快なスリーランを放ち、一気に5対4と1点差に迫ります。9回、逃げ切りを図るオリックスは、このシリーズ5試合目の登板となるワゲスパック投手がマウンドへ。スタミナ不足を理由に先発からリリーフへ配置転換されると、160キロ近いストレートと落ちる球のコンビネーションが光り、その実力を発揮します。このシリーズを無失点に抑えてきた来日1年目の助っ人右腕は、この日も盤石。最後は空振り三振で締めて、オリックスは1996年以来26年ぶりの日本一を達成したのです。
来週のスポーツ伝説は……
10/30(月) プロ野球 藤田一也選手
10/31(火) プロ野球 木村文紀選手
11/1(水) プロ野球 谷内亮太選手
11/2(木) プロ野球 堂上直倫選手
11/3(金) プロ野球 谷元圭介投手
お楽しみに!!
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