スポーツ伝説

2023.10.14

2023年10月9日~13日の放送内容

【やり投げ 北口榛花選手】
 北口選手は今年8月、ハンガリーのブダペストで行われた陸上の世界選手権・女子やり投げで世界の注目を浴びました。身長179cmの恵まれた体格を生かした力強い投てきを武器に、昨年の世界選手権では銅メダルを獲得。今シーズンは世界選手権を前に、陸上競技の世界最高峰シリーズ・ダイヤモンドリーグで2勝を挙げます。特に2勝目を挙げた7月のポーランド大会では、自身の持つ日本記録を4年ぶりに更新する67m04をマークし、堂々の世界ランキング1位で世界選手権を迎えました。
 世界選手権の予選を順調に突破して、決勝に駒を進めた北口選手。1投目から61mを超える投てきを見せると、3投目で63mをマーク。順位を2位に上げましたが、そこから記録を伸ばせず、ライバルに抜かれて4位で最後の6投目を迎えます。一発逆転を目指すしかないこの場面で、北口選手はすべての力を振り絞って最後の一投を。やりはきれいな放物線を描いて、一気にトップに立つ66m73を記録。他の選手はこの記録を抜けず、大逆転で金メダルが決まりました。世界選手権で、日本の女子選手が金メダルを獲得したのは史上3人目。マラソン以外では初の快挙でした。

 

【飛び込み 荒井祭里選手】
 女子10m高飛込の荒井選手は、兵庫県出身の22歳。小学1年生の時、競泳が目的でJSS宝塚に通い始めましたが、隣で練習する飛び込みを見て興味を持ち転身します。長らく指導を行ってきた馬淵崇英コーチは、飛込のセンスはなかったと振り返りますが、コーチから止められるまでコツコツと練習に打ち込み、実力をつけていったのです。その努力が最初に花開いたのは中学3年生の時でした。荒井選手は全国大会で初優勝を果たすと、高校時代はインターハイ3連覇を達成。日本選手権は2017年から6連覇中と、一気に日本の第一人者となります。強さの要因のひとつは、水しぶきをほとんど上げない入水技術「ノースプラッシュ」です。飛び込みの強豪国・中国勢にも引けを取らないノースプラッシュを武器に21年の東京オリンピックにも出場しますが、22位と惨敗。本来の力を出しきれず、決勝の舞台に立つことも叶いませんでした。
 次こそが本当のオリンピックだと思って、パリオリンピックを目指すことにした荒井選手。競技を始めた頃からつけている「練習ノート」に図解付きでイメージを書き連ね、磨いてきたのが、後ろに踏み切り、2回半宙返りしながら1回半ひねる超高難度の技「5253B」。この大技を見事に決めてみせたのは、今年7月の世界選手権です。決勝進出の12人に入ればパリオリンピック代表内定が決まる準決勝で、荒井選手は最後の1本を残し11位と、ラインギリギリにいました。迎えた最後の5本目、超高難度の「5253B」にチャレンジ。入水のノースプラッシュも決まり、7位にジャンプアップ。決勝進出を果たし、日本水泳陣・パリオリンピック内定第1号となりました。
 

      
【飛び込み 三上紗也可選手】
 飛び込み競技女子のエース・三上選手は、飛び込みの名選手を代々輩出してきた鳥取県米子市の出身。自然と飛び込みを始めた三上選手は、小学4年生からアジア大会でメダル獲得経験もある安田千万樹コーチのもとで技術を磨いてきました。そんな安田コーチから、三上選手はある提案を受けます。それは、高校卒業後すぐに大学へは進学せず、競技に専念し東京オリンピックの代表入りを目指すというものでした。恩師の提案に、三上選手も腹をくくります。三上選手はもともと、日本では珍しいジャンプ力が武器のパワータイプ。増えた練習時間で筋トレに励み、パワーに磨きをかけました。その猛練習が実ったのが、2019年の世界選手権です。3m板飛び込みで日本勢初となる5位入賞を果たし、東京オリンピック代表の座を勝ち取りました。
 満を持して出場した東京オリンピックでしたが、準決勝の3本目に板を踏み外す痛恨のミスを犯し、16位で決勝進出を逃してしまいます。また22年の世界選手権では、ペアのシンクロ板飛び込みで日本勢初の銀メダルを獲得するも、2位で迎えた個人種目の3m板飛び込み決勝、最後の1本で再び大きなミスを犯し、7位に転落。メダルを逃しました。それでも、三上選手は立ち止まりません。迎えた今シーズン、三上選手は春先から絶好調。4月の国内大会では、前年の世界選手権なら銀メダル相当という高得点を叩き出し、貫禄の優勝を飾ります。特に世界で数人しか使い手がいない大技、前宙返りを2回半、ひねりを2回入れる「5154B」を見事に決めてみせたのです。さらに7月に行われた世界選手権決勝でもこの技に挑戦し、全体7位でパリオリンピックの代表内定を勝ち取りました。パワフルでミスのない演技で、今度こそ世界の頂点を狙います。

 

【クライミング 森秋彩選手】
 森選手は一生クライミングを楽しんでいきたいと語るほど、競技をとことん楽しみ、結果も出してしまうスポーツクライミング界のホープ。現在20歳ですが、クライミングとの出逢いは小学1年生の時でした。自宅近くのショッピングモールでクライミングを体験したことがきっかけで夢中になると、12歳で出場したリード種目のジャパンカップで歴代最年少優勝を達成。2019年8月の世界選手権では、得意のリード種目で15歳にして日本人史上最年少メダルとなる銅メダルを獲得したのです。一躍、東京オリンピックの有力候補となった森選手ですが、日本はクライミングの超激戦国。結果的には代表入りを逃してしまいます。オリンピックを意識するあまり、いつの間にかクライミングを楽しめなくなったという森選手。このあと国際大会から離れますが、昨年9月、3年ぶりにワールドカップに復帰すると、東京オリンピックの金メダリストでワールドカップのリード種目では7連勝中だった絶対女王を破り、初優勝を果たしたのです。
 再びクライミングを楽しみながら戦えるようになったという森選手は、その後も世界の舞台で勝利を重ねていきます。翌週のワールドカップでも得意のリードで2大会連続優勝を果たすと、12月に行われた盛岡大会はパリオリンピックと同じ、ボルダーとリードの2種目による複合に出場。森選手はボルダーで2位につけると、得意のリードで誰よりも高く登って逆転優勝。ワールドカップ3大会連続優勝の快挙を成し遂げたのです。今年8月の世界選手権では、決勝当日に腹痛と発熱に悩まされ、前半のボルダーでは6位と出遅れます。それでも得意のリードでは決勝8人中最も高くまで登り、逆転で銅メダルを獲得。見事、パリオリンピック内定が決まりました。

 

【アーチェリー 野田紗月選手】
 アーチェリー界の新鋭・野田選手は、福岡県北九州市出身。地元の折尾高校に入学すると、アーチェリー部の部活紹介で先輩が風船を割っていくパフォーマンスを見て、格好いいと思いアーチェリー部への入部を決めます。するとめきめきと頭角を現し、2018年のインターハイで3位。その後進学した近畿大学では先輩たちに交じって実力を磨き、昨年、大学3年生の冬に日本代表の選考会に臨んだ野田選手。前年は次点で落選する苦い思いを味わい、リベンジを誓った舞台でしたが、プレッシャーからか矢はことごとく狙いと違う場所に刺さっていきました。それでも望みを捨てず、気持ちを切り替えて戦況を立て直した野田選手は、初の日本代表チーム入りを果たしたのです。
 代表入りが決まった野田選手に胸を貸してくれたのが、ワールドカップのメダル経験者で、女子代表の牽引者・杉本智美選手です。代表の練習で一緒になる日には、毎回3本勝負で胸を貸してくれた杉本選手。その甲斐あって、野田選手は昨年の全日本選手権で初優勝を果たします。今年8月、世界選手権に出場した野田選手は、1セットごとに3回ずつ矢を放ち合計ポイントを競う、女子リカーブ部門・個人で準決勝に進出。チェコの選手に敗れたものの、3位決定戦でアメリカの選手に勝利し、銅メダルを獲得しました。世界選手権の女子リカーブ個人で、日本人選手がメダルを獲得したのは史上初の快挙です。同時に、野田選手は来年行われるパリオリンピックへの出場も内定。パリに向け力強く抱負を語りました。

  
来週のスポーツ伝説は……
10/16(月) 野球 度会隆輝選手
10/17(火) 野球 前田悠伍投手
10/18(水) 野球 細野晴希投手
10/19(木) 野球 宇佐見真吾選手
10/20(金) 野球 郡司裕也選手
              お楽しみに!!

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    • 滝本沙奈
      滝本沙奈
      滝本沙奈

      滝本沙奈

      生年月日:1984年6月6日
      出身地:東京
      学歴:青山学院大学文学部英米文学科卒
      趣味:マリンスポーツ(ダイビング、サーフィン、釣り)
      資格:PADIオープンウォーターダイバー、おさかなマイスターアドバイザー

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