【プロ野球　船迫大雅投手】
　巨人のドラフト5位ルーキー、船迫投手。サイドスローから繰り出す150キロ超えの力強いボールは、インパクト抜群です。船迫投手がサイドスローに転向したのは、福島の聖光学院高校の時。転向後にエースの座にのぼりつめ、3年生夏の甲子園ではベスト8進出に貢献しました。船迫投手が大きな飛躍を遂げたのは、大学卒業後の社会人時代です。4年をかけて球速を7キロアップさせ、150キロの大台を突破。サイドスローの投手を探していた巨人から、26歳ながら5位指名を受けたのです。今年3月31日、船迫投手は中日との開幕戦、1点ビハインドの8回に登板すると、4番からの主軸バッターを三者連続三振に仕留め、ルーキーとしてこれ以上ないデビューを飾りました。
　しかしその後は3試合に登板して防御率10点台と厳しいプロの洗礼を浴び、2軍落ちを経験します。それでも船迫投手はこの間を利用して、勢いだけで投げていたピッチングスタイルを見直し、自分の引き出しを増やすことに時間を費やしました。新しくカットボールを習得し、武器のスライダーもスピードを変えて投げ分ける技術を身につけたことで、ピッチングの幅を大きく広げました。レベルアップを果たし、再び1軍の舞台に戻ってきた船迫投手は7月28日、開幕戦以来となる東京ドームのマウンドに4回途中から2番手として登板すると、新たに習得したカットボールも交え、打者5人に対して無失点ピッチングを披露。チームはそのまま逃げ切り、船迫投手は嬉しいプロ初勝利を手にしたのです。

【プロ野球　山野太一投手】
　2020年のドラフト2位で東京ヤクルトスワローズ入団した山野投手。即戦力サウスポーとして期待され、プロ1年目で開幕ローテーション入り果たし、順風満帆のデビューと思われました。ところが初登板の横浜DeNA戦で連打を浴びていきなり7点を失い、2回途中でノックアウトされてしまいます。上半身のコンディション不良に見舞われたこともあり、デビュー戦以降1軍での登板はなく、山野投手は昨年オフに支配下登録から外れて育成契約になりました。一時は野球をやりたくないという気持ちになったという山野投手ですが、山野投手と同じくコンディション不良のためファームで調整していた奥川恭伸投手に「山野さんは凄い。野球センスがある」と激励され一念発起。今シーズンは2軍で11試合に登板して防御率1.75と結果を残し、7月14日、ついに支配下選手への復帰を勝ち取ったのです。
　8月1日、東京ドームで行われた巨人戦で山野投手は先発登板。1軍のマウンドは悪夢のプロ初登板以来、実に852日ぶりのことでした。試合前、食事がのどを通らないほど緊張したという山野投手ですが、覚悟を決めて思い切り腕を振ることを心がけます。巨人打線を5回までわずか2安打に抑え、6回にツーアウト一・二塁のピンチを迎えましたが、4番・岡本和真選手をファールフライに打ち取って7回を4安打無失点に抑えました。山野投手の好投に、巨人のエース・菅野智之投手に抑えられていたヤクルト打線も奮起。7回に貴重な先制点をもぎ取り、そのリードをリリーフ陣が守りきり、ヤクルトが1対0で勝利。山野投手は嬉しいプロ初勝利を挙げました。
　

　　　 　　
【プロ野球　仲地礼亜投手】
　昨年のドラフト1位で沖縄大学から中日ドラゴンズに入団した仲地投手。沖縄県の大学から、初めてドラフト1位指名されたプロ野球選手となりました。即戦力の先発候補として期待され、開幕1軍入りこそ逃しましたが、5月13日の東京ヤクルト戦でプロ初登板・初先発を果たします。初回、先頭打者にいきなりヒットを打たれあと、青木選手とサンタナ選手を連続三振に仕留めますが、4番・村上選手に先制ツーランを打たれてしまいます。その後、左の脇腹がつったため、わずか20球で降板とほろ苦いデビュー戦となりました。
　プロ初登板のあと、ファームで再調整することになった仲地投手。筋力アップに取り組み、その効果で球威もアップ。初登板からおよそ2ヵ月半後の7月26日、本拠地・バンテリンドームで行われた横浜DeNA戦で2度目の先発登板を果たします。最速151キロのストレートを軸に内角を強気に攻め、3回ツーアウトまでパーフェクトの快投を見せた仲地投手。そこから突然制球を乱して、3連続フォアボールで満塁のピンチを迎えますが、攻めの姿勢を忘れませんでした。強打者の宮﨑敏郎選手を気迫あふれる150キロのストレートで空振り三振に仕留めると、これで波に乗ります。仲地投手は、6回を1安打無失点に抑え、味方の援護にも恵まれて待望のプロ初勝利。チームの連敗を4で止める貴重な白星となり、本拠地で初めてのお立ち台に上がりました。中日のドラフト1位ルーキーが本拠地初登板で白星を挙げたのは、川上憲伸投手以来、25年ぶりの快挙でした。

【プロ野球　荘司康誠投手】
　東北楽天ゴールデンイーグルスのドラフト1位ルーキー・荘司投手は高校時代、甲子園未経験。大学でも無名の存在で、ベンチ入りはおろか4軍にあたるチームで燻っていました。その理由は、入学後に発症した右肩の痛み。いくつもの病院で診てもらっても原因は見つからず、1年以上もその痛みに悩まされました。ところがある日、大学の先輩から紹介されたトレーナーに、肩と背中の矯正してもらったとたん肩の痛みが消失。全力で投げられるようになった荘司投手は、見る見るうちにストレートの球速がアップ。4年生の夏に出場した東京六大学野球のオールスターゲームで最速157キロを計測し、大きな進化を遂げたのです。結果的に大学時代のリーグ戦勝利は2勝のみでしたが、大学日本代表でもエース格として注目を集め、一気にドラフト候補になった荘司投手。昨年のドラフトでは2球団が競合の末、東北楽天への入団が決まりました。
　荘司投手は今年の4月22日、北海道日本ハム戦でプロ初登板・初先発の1軍デビューを果たすと、5回まで許したヒットは1本と好投。しかし、6回に連打を浴びてプロ初黒星を喫します。その後も、いくら好投しても勝ち星につながらないという、悔しい経験を重ねました。我慢のピッチングが続いていた中、迎えた7月5日のオリックス戦。初回にいきなりプロ入り後、自己最速タイの153キロをマークすると、その後も好投を続け、6回を無失点に抑えます。ルーキーの奮闘に打線も奮起して得点を重ね、荘司投手は9度目の登板にしてようやくプロ初勝利を飾りました。

【プロ野球　 カーター・スチュワート・ジュニア投手】
　身長198㎠から繰り出す160キロ超えのストレートが魅力の福岡ソフトバンクホークス、スチュワート投手は、異色の経歴で日本球界にやってきた選手です。高校卒業時の2018年、メジャーリーグドラフトでアトランタ・ブレーブスから1巡目指名を受けた逸材ながら、身体検査で手首に故障が見つかったことなどから入団合意には至らず。そこへ入団を持ち掛けたソフトバンクと6年契約を交わし、日本でプロ生活をスタートすることになったのです。1年目・2年目はファームで実績を積み、21年にまずはリリーフで1軍デビュー。さらに8月には、予告先発ピッチャーの怪我による急遽の登板でしたが、プロ初先発のマウンドも経験します。その試合でスチュワート投手は、最速157キロのストレートに加え、カーブ・チェンジアップも冴え、5回をノーヒット、9奪三振を記録します。引き分けに終わったため白星こそつきませんでしたが、圧巻の先発デビューを果たしました。
　しかしその後は長いスランプに苦しみます。2軍では好投しても、1軍では通用しなくなったのです。メジャー1巡目指名のプライドも邪魔をしてか、日本人コーチのアドバイスに耳を貸そうとしなかったと言います。そんなスチュワート投手の意識を変えたのは、かつての守護神・サファテ投手ら、ソフトバンクの先輩外国人投手たちでした。日本野球の常識、言葉遣いや礼儀作法まで、懇切丁寧に指導され、精神的にたくましくなったスチュワート投手は、今シーズン、何度も素晴らしい投球を続けます。7月26日のオリックス戦に先発したスチュワート投手は、6回を6安打1失点。味方の援護もあり、来日5年目でついにプロ初勝利を手にしたのです。

　　
来週のスポーツ伝説は……
9/18(月) バ レ ー 　　石川祐希選手
9/19(火) バ レ ー 　　髙橋藍選手
9/20(水) バ レ ー 　　宮浦健人選手
9/21(木) フェンシング江村美咲選手
9/22(金) フェンシング男子フルーレ団体
　　　　　　　　　　　　　　お楽しみに！！