スポーツ伝説

2023.09.08

2023年9月4日~8日の放送内容

【ラグビー 斎藤直人選手】
 屈強な体を武器にスクラムを組み、ボールを奪い合うフォワード陣と、スピードを武器にボールを前に運ぶバックス陣で成り立つラグビー。その間をパスでつなぎ、攻撃のリズムを作るのがスクラムハーフの役目です。先日26歳になったばかりの齋藤選手は、経験値が物を言うスクラムハーフのポジションで20代前半にして日本屈指の実力を認められ、活躍を続けてきた逸材です。早稲田大学では1年生からレギュラーを務め、やがて日本代表の予備メンバーにも名を連ねるようになります。大学4年生になる2019年のワールドカップで代表入りを目指すと公言していた斎藤選手でしたが、ケガの影響もあって最終メンバー入りはなりませんでした。その悔しさを晴らすべく19年冬、自身最後の大学選手権で獅子奮迅の活躍を見せ、長年この大会で苦戦が続いていた早稲田大学を11年ぶりの大学日本一へと導きました。
 大学卒業後は、強豪クラブ・東京サンゴリアスに入団した斎藤選手。このチームを選んだ理由は、日本代表で活躍する上での最大のライバル、流大選手がいるからです。もともと、強い手首を生かした高速パスに定評があった斎藤選手ですが、百戦錬磨の流選手と切磋琢磨することで、試合展開を読む力もさらにレベルアップ。今シーズンのリーグ戦では、ほとんどの試合で斎藤選手がスクラムハーフの証である背番号9を背負い、スタメン出場してチームの舵取り役を担いました。今や流選手と並ぶ存在となった斎藤選手は今や、日本代表でもリーダーグループの一人として、チームに欠かせない存在となっています。

 

【ラグビー 松島幸太朗選手】
 松島選手が初めてワールドカップに出場したのは22歳の時。2015年のイングランド大会でした。快足を武器に予選プール4試合すべてに出場し、”世紀の番狂わせ”と呼ばれた南アフリカ戦の勝利にも貢献。生まれ育ったのが南アフリカだった縁もあり、一躍注目を浴びました。よりチームの主軸として貢献できたのは、前回のワールドカップ日本大会です。開幕戦のロシア戦はホスト国のプレッシャーからか日本にミスが目立ち、先制トライを許す苦しい立ち上がりでしたが、前半11分に松島選手がトライを決め、反撃開始。前半終了間際に逆転トライを決めると、後半にも試合を決定づけるこの日3つめのトライ。松島選手は日本代表初のワールドカップ・ハットトリックを達成し、勝利の立役者となったのです。この勝利で勢いづいた日本は、予選プール4連勝で史上初のベスト8入り。準決勝進出をかけ、因縁の相手・南アフリカと対戦します。残念ながら完敗を喫しましたが、この試合でも松島選手は大きな存在感を示しました。
 ワールドカップ日本大会で5トライの活躍を見せ、一躍名声を得た松島選手は、20年から世界最高峰のフランスリーグに挑戦します。ヨーロッパの強豪クラブが集結するヨーロッパチャンピオンズカップにも出場し、アウェーゲームでハットトリックを決めるなど、日本同様に点取り屋としての才能をいかんなく発揮してみせました。フランスでは2シーズンプレー。チームに残ってほしいと熱望されながらも、昨年7月に古巣の東京サンゴリアスに復帰。今回のワールドカップに向け行われた、日本代表のテストマッチ5連戦では、日本代表の今シーズン初トライを決めるなど点取り屋としての嗅覚はもちろん健在です。3大会連続となるワールドカップでどんな活躍を見せてくれるのか。松島選手のトライに期待がかかります。

      
【ラグビー 松田力也選手】
 ラグビー日本代表の躍進には、高い確率でゴールキックを決めるキッカーの存在が欠かせません。今回の代表でキッカーとして注目されているのが、スタンドオフの松田選手です。名門・帝京大学では1年生から司令塔であるスタンドオフのレギュラーとして活躍し、在学4年間連続でチームを大学日本一へと導きます。その活躍ぶりから2016年、大学4年生で日本代表入り。初代表の際には”五郎丸2世””天才キッカー”と呼ばれました。19年のワールドカップ日本大会にも25歳で出場を果たし、安定感のあるプレーで日本のベスト8進出に貢献します。ただ、出場した4試合はいずれも後半の途中からでした。チームの躍進とは裏腹に、主力としてプレーできなかった悔しさを味わった松田選手。準々決勝で敗れたその瞬間から、次の大会ではスタンドオフのスタメンである10番を背負って戻ってきたいと、さらなる飛躍を誓いました。
 代表不動のスタンドオフになるため、所属チームの埼玉ワイルドナイツで活躍を続けた松田選手でしたが、22年5月、リーグワン最終節の試合中に左ひざの前十字じん帯を断裂。復帰には1年近くかかることもある大けがを負ってしまいました。手術後、左の太ももは10㎝以上細くなりましたが、このピンチをむしろプラスに変えようと懸命にリハビリと体づくりに励んだ松田選手。わずか7ヵ月で復帰を果たすと、今シーズンのリーグワン開幕戦でおよそ40mの独走トライを決め、完全復活をアピールしました。ケガの功名でキックの安定感が増した松田選手は今シーズン、高いゴールキック成功率でリーグのベストキッカーのタイトルを獲得しています。

 

【大相撲 伯桜鵬哲也関】
 相撲界で”令和の怪物”と呼ばれ、先月20歳になったばかりの伯桜鵬関。2年連続の高校横綱、実業団横綱を経て、今年1月の初場所に「落合」のしこ名で幕下15枚目格付け出しでデビュー。幕下は1場所、十両は2場所で通過して、歴代最速タイ記録となる所要3場所で新入幕を果たしました。幕内に入っても、その勢いが続くか注目された7月の名古屋場所。5日目を終えて3勝2敗と、さすがに壁は厚いかと思われましたが、13日目には10勝3敗。新入幕ながら優勝争いに加わったのです。
 伯桜鵬関が優勝すれば、大正時代の力士・両国関以来、109年ぶりとなる歴史的快挙に向け、14日目は2敗で優勝争いの単独トップに立つ北勝富士関と対戦します。伯桜鵬関は北勝富士関に土俵際まで追いつめられましたが、突き落としで逆転。物言いがつくも軍配通りに決まり、ついにトップと並びました。千秋楽は同じ3敗で、大関昇進が懸かる関脇・豊昇龍関。勝った方が北勝富士関との優勝決定戦に進めましたが、伯桜鵬関は上手投げで敗れ、新入幕優勝を逃しました。それでも敢闘賞と技能賞をダブル受賞。初土俵から4場所目での三賞受賞は、史上最速記録です。
  

【大相撲 北勝富士大輝関】
 大学2年生の時に学生横綱となり、2015年に元横綱・北勝海の八角親方の門を叩いた北勝富士関。得意とする押し相撲は、現役時代に押しの一徹で頂点を極めた八角親方に憧れていたからです。16年11月に九州場所で新入幕を果たし、19年3月の春場所で小結に昇進。順調に出世を重ねてきましたが、20年7月の名古屋場所以降は平幕にとどまり、気付けば30代になっていました。成績が伸び悩んだ理由の一つがコロナ禍です。終始動き続ける押し相撲は、稽古が命。出稽古が制限されたことは大きな痛手になりました。それでも、地道に稽古を重ねた北勝富士関。出稽古が解禁されると、本来の張りのある体つきに戻ってきました。今回の名古屋場所では、本来の前に出る相撲で4日目から7連勝。12日目に関脇・豊昇龍関、13日目には遠藤関を破り、11勝2敗で優勝争いの単独トップに立ったのです。
 14日目は、新入幕ながら3敗で優勝争いに絡む”令和の怪物”こと、伯桜鵬関と対戦。北勝富士関は倒せば優勝に大きく前進するところでしたが、土俵際で粘られ敗れてしまいます。しかし気持ちを切り替え、千秋楽は前に出る相撲で錦木関を破り3敗をキープ。同じく3敗を守った豊昇龍関との優勝決定戦に臨みました。勝てば悲願の初優勝。師匠から賜杯を受け取るという夢が叶う大一番。しかしあと一歩で夢をつかめませんでした。取組後、悔しさからつい涙ぐむシーンもありましたが、31歳にして自己最多の12勝を挙げ、初の敢闘賞を受賞したことは大きな勲章です。

  
来週のスポーツ伝説もお楽しみに!!

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    パーソナリティ
    • 滝本沙奈
      滝本沙奈
      滝本沙奈

      滝本沙奈

      生年月日:1984年6月6日
      出身地:東京
      学歴:青山学院大学文学部英米文学科卒
      趣味:マリンスポーツ(ダイビング、サーフィン、釣り)
      資格:PADIオープンウォーターダイバー、おさかなマイスターアドバイザー

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