スポーツ伝説

2023.08.04

2023年7月31日~8月4日の放送内容

【高校野球 今井達也投手】
 埼玉西武ライオンズの今井投手は2016年夏、栃木代表・作新学院高校のエースとして甲子園を沸かせました。その前年、今井投手が2年生だった夏も作新学院は甲子園行きを決めましたが、控え投手の今井投手は県大会で結果を残せず。甲子園のベンチ入りメンバーから漏れてしまいます。新チームとなった2年生秋、今井投手はエースに選ばれますが、制球が不安定で、県大会の準決勝を自らの暴投による失点で敗退します。3年生春の県大会では控え投手となり、登板機会をもらえなかった今井投手。替わって背番号1を背負ったエースが、今井投手と同学年で現在は横浜DeNAベイスターズの入江大生投手でした。「最後の夏は自分が1番をつけて、甲子園のマウンドで投げたい」。それだけをずっと思っていた今井投手。自分でトレーニング方法を考え、3年生の夏、ついにエースとして憧れの甲子園のマウンドに立つことになったのです。
 16年・夏の甲子園。今井投手は、香川代表・尽誠学園との初戦で最速151キロをマークするなど、強気のピッチングで13個の三振を奪い、課題の制球力も定まってみごと完封勝利を挙げました。準々決勝は早川隆久投手(現・東北楽天)を擁する、千葉代表・木更津総合高校と対戦。作新学院は初回、入江選手のホームランで先制すると、3回にも2ランホームランが飛び出し序盤で3点をリード。一方今井投手は、変化球を低めに集めてスキを与えず、3対1で注目の対決を制します。決勝では北海道代表・北海高校を7対1で下し、作新学院は54年ぶりの全国制覇を成し遂げました。この大会で今井投手は、5試合中4試合で完投。41イニングで44奪三振、防御率1.10という圧巻のピッチングを見せ、優勝に大きく貢献しました。

 

【高校野球 小笠原慎之介投手】
 2015年、夏の甲子園・決勝は、神奈川代表・東海大相模高校と宮城代表・仙台育英高校の対戦になりました。この年は、選手権大会の100周年にあたる節目の年。東海大相模は、45年ぶり2度目の夏の甲子園制覇。一方の仙台育英には東北勢初優勝の偉業が懸かっており、どちらも大きなものを背負った決勝戦になりました。この年、東海大相模は左右二人のピッチャーを柱に戦っていました。左は150キロのストレートを武器に押していく、現在中日ドラゴンズの小笠原慎之介(現・中日ドラゴンズ)投手。右は吉田凌(現・オリックス・バファローズ)投手です。
 夏の甲子園をこの2本柱で勝ち上がった東海大相模は、決勝の先発を左のエース・小笠原投手に託します。試合は序盤に東海大相模が4点を奪いリードしますが、6対3で迎えた6回。小笠原投手が満塁のピンチから走者一掃の同点スリーベースを許し、試合は振り出しに戻りました。6対6の同点のままゲームは最終回へ。9回表、東海大相模の攻撃は、小笠原投手からでした。初球の狙いをフォークに絞った小笠原投手は、空振り覚悟で強振すると甘く入ったフォークを捉え、右中間スタンドへ飛び込む貴重な勝ち越しホームランに。さらに集中打を浴びせ、ダメ押しの3点を追加した東海大相模が10対6で制し、45年ぶりに深紅の大優勝旗を手にしたのです。

  
    
【高校野球 髙橋光成投手】
 群馬県の前橋育英高校で、1年生の夏からすでにストレートの球速が140キロを超えていた、埼玉西武ライオンズ・髙橋投手。しかし1年秋、2年春と県大会で優勝しても、関東大会では浦和学院に連敗。全国レベルの強豪校を相手にするには、技術的にも精神的にも幼さがありました。そんな髙橋投手が、2年生の夏に急成長を遂げます。県大会では勝ち進むごとに調子を上げ、6試合で失点はわずか6。決勝戦は4安打完封。最後に奪った三振は148キロをマークするなど、前橋育英を夏の甲子園初出場へと導きました。
 迎えた2013年夏の甲子園初戦、髙橋投手は大会記録にあと1と迫る、9者連続奪三振を披露。最終的には13奪三振と見事な完封勝利を収め、続く2回戦も完封勝ち。3回戦はエラー絡みで1点を失ったものの完投勝利と、素晴らしいピッチングを続けます。準々決勝は、ベンチスタートから2点リードされた6回からマウンドへ。すると土壇場の9回ウラ、ツーアウト二・三塁の場面で、同点に追いつく2点タイムリースリーベースを放ちます。投げては延長戦も含め5イニングで10奪三振と圧倒し、サヨナラ勝ちの立役者になりました。続く準決勝も好投した髙橋投手は、自責点ゼロのまま決勝戦へ。ただ暑い中の連投で、体は満身創痍状態。4回にヒット4本を浴び3失点。大会45イニング目にして初めて自責点2を記録します。それでもこの苦しい場面で踏ん張り、以降は失点を許さず。通算防御率0.36という素晴らしい成績で、前橋育英に夏の甲子園初出場・初優勝の快挙をもたらしました。

 

【高校野球 藤浪晋太郎投手】
 史上唯一、2度の甲子園・春夏連覇を達成している大阪桐蔭高校。最初に春夏連覇を果たした2012年にエースだったのが、現在はボルチモア・オリオールズでプレーする藤浪投手です。そのピッチングの根底にあったのは、勝てる投手へのこだわりでした。転機となったのは、12年春のセンバツ。花巻東高校・大谷翔平選手との対戦です。大会前から超高校級対決と注目を集めたこの一戦。大谷選手にホームランは打たれたものの試合には勝った藤浪投手は、勝ち運がないというこれまでのイメージを払拭。勢いそのままに、センバツの頂点へと駆け上がったのです。センバツでの5試合、40イニングを投げ、奪った三振はイニング数を上回る41個。5試合すべてで150キロ以上を計測したのは史上初めてでした。
 よりプレッシャーがかかり、真価を問われる12年夏の甲子園。大阪桐蔭は順調に準決勝まで駒を進めると、藤浪投手はここから本領を発揮します。明徳義塾高校との準決勝を2安打完封勝利で勝ち上がり、迎えた決勝の相手は、くしくも春のセンバツ決勝戦と同じ相手、青森の光星学院。センバツでは3失点を許した相手でしたが、藤浪投手は準決勝に続いてヒット2本しか許さず、しかも14奪三振。9回には決勝戦史上最速となる153キロをマークするなど、圧巻の2試合連続完封勝利で春夏連覇を達成し、勝てる投手であることをみごとに証明してみせたのです。歴史的なピッチングを見せた藤浪投手は秋の国体でも優勝し、松坂大輔投手を擁した横浜高校以来となる高校三冠を達成しました。

 

【高校野球 ダルビッシュ有投手】
 2003年夏の甲子園決勝は、茨城の常総学院と宮城の東北高校が対戦。東北高校のエースは、当時2年生ながら超高校級のピッチャーとして知られ、現在はサンディエゴ・パドレスでプレーするダルビッシュ投手でした。東北高校が勝てば悲願の東北勢初優勝。迎え撃つ常総学院の指揮官は、”木内マジック”でおなじみの名将・木内幸男監督でした。木内監督は、準決勝の段階である準備をしていました。この大会、徹底したバント攻撃で勝ち上がってきた常総学院が、準決勝ではバントを封印。理由は、先に決勝へ勝ち上がったダルビッシュ投手が、ランナーが一塁にいる時は全力投球をしない傾向があると見抜いたからです。
 一方のダルビッシュ投手は、準々決勝で右足のすねが痙攣するアクシデントに見舞われ、準決勝は登板しませんでした。しかし決勝戦の前夜に監督の部屋を訪ね先発を直訴。自らの意思で決勝のマウンドに立ったダルビッシュ投手でしたが、やはり本来の調子ではありませんでした。4回、2点を追いかける常総学院は、この回の先頭打者が出塁し、ノーアウト一塁。普段なら送りバントの指示ですが、木内監督は狙いどおりヒッティングを選択。この作戦が成功し、長打が続いて一挙3点を奪い逆転に成功したのです。8回にも1点を追加されたダルビッシュ投手ですが、最後までマウンドに立ち124球を投げ完投。エースの意地を見せましたが、試合は4対2で常総学院が優勝しました。

  
来週のスポーツ伝説は……
8/7(月) プロ野球 頓宮裕真選手
8/8(火) プロ野球 木浪聖也選手
8/9(水) プロ野球 万波中正選手
8/10(木) プロ野球 東克樹投手
8/11(金) プロ野球 中村剛也選手
              お楽しみに!!

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    • 滝本沙奈
      滝本沙奈
      滝本沙奈

      滝本沙奈

      生年月日:1984年6月6日
      出身地:東京
      学歴:青山学院大学文学部英米文学科卒
      趣味:マリンスポーツ(ダイビング、サーフィン、釣り)
      資格:PADIオープンウォーターダイバー、おさかなマイスターアドバイザー

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