スポーツ伝説

2023.07.01

2023年6月26日~30日の放送内容

【ゴルフ 穴井詩選手】
 女子ゴルフ界で最近、快進撃を見せている35歳の穴井選手。4月2日のヤマハレディースオープン葛城最終日。穴井選手はトップから3打差の5位でスタートします。我慢すればチャンスは来ると思っていたと、4バーディ・2ボギーの我慢のゴルフでスコアを伸ばし、プレーオフへと持ち込みます。そのプレーオフ1ホール目の第1打。穴井選手は緊張のあまりティショットを右に大きく外してしまいます。しかし次の瞬間、コース脇に立つテレビ塔で跳ね返ったボールがフェアウェイの真ん中に。この奇跡的なショットのお陰もあって、このホールをパーで切り抜けると、次のホールでバーディを奪い、力強いガッツポーズを見せた穴井選手。2019年以来、4年ぶりの勝利を手にしました。
 穴井選手は、昨年の平均飛距離でツアー1位に輝くなど、女子ゴルフ界きってのパワーヒッターとして知られています。しかしショットの精度が課題で、去年の年間フェアウェイキープ率はおよそ56%でした。そこで、ショットの精度を高めるトレーニングを繰り返してきた穴井選手。ヤマハレディースオープンは大会4日間を通して、フェアウェイキープ率が89%と、高い精度を維持したことが優勝につながりました。4年ぶりの優勝から1か月後に行われたパナソニックオープンでは、大会2日目にベストスコアをマークして単独トップに立つと、そのままリードを守り、今シーズン2勝目をマーク。「シーズン複数回優勝を達成する」という目標を達成しました。次なる目標は、メジャー制覇。そして賞金1億円越えを目指します。

 

【ゴルフ 岩井明愛選手】
 昨年8月、女子ゴルフツアーで初優勝を飾った岩井千怜選手。その際に大粒の涙を流して喜んだのが、双子の姉・明愛選手でした。その翌週も、千怜選手は2週連続優勝の快挙を達成。表彰式に呼ばれた明愛選手は、次こそ自分の番と気持ちを引き締めました。今年4月、KKT杯バンテリンレディスオープンで、明愛選手にチャンスがやってきます。最終日、首位を走る元世界ランキング1位の申ジエ選手から1打差の2位でスタートした明愛選手。一時は3打差に離されますが、強風でスコアを落とした申ジエ選手に対して、明愛選手は我慢のゴルフを展開。ついに逆転を果たし、悲願の初優勝を成し遂げたのです。優勝の瞬間をグリーン脇で見ていた妹の千怜選手。去年、姉がしてくれた涙のハグと同じように千怜選手も涙を流し、熱い抱擁を交わす姿にギャラリーは万雷の拍手を送りました。姉妹で優勝を果たしたのは史上3組目。双子姉妹の優勝は、史上初の快挙でした。
 姉・明愛選手の初優勝を見て、刺激を受けた妹の千怜選手。二人で切磋琢磨する姿勢が、新たな伝説を生みます。1か月後に行われた、RKB×三井松島レディース。最終日を終えて岩井姉妹と、昨年のツアー女王、山下美夢有選手の3人が並び、プレーオフに突入します。以前から語っていた、いつか姉妹でプレーオフをという二人の夢がついに実現しました。姉妹でのプレーオフは、史上初の快挙です。結果は、千怜選手が今シーズン初優勝。ツアー通算3勝目を挙げました。惜しくも敗れた明愛選手は、「8割悔しくて、2割は千怜が勝ってくれて嬉しいです」とコメント。これからも、良き最大のライバルである仲良し姉妹の名勝負が楽しみです。

  
    
【ゴルフ 吉本ひかる選手】
 世界でも活躍する勝みなみ選手や畑岡奈紗選手・渋野日向子選手ら、黄金世代と呼ばれる1998年度生まれのひとり、吉本選手。2017年にプロテストに合格し、新人選手の登竜門・ステップアップツアーで優勝するなど、プロとしてのスタートは順調そのものでした。ツアー本格参戦2年目の19年には、トップ10入りが8回。そのうち2位が2度と、優勝まであと一歩に迫り一躍注目を浴びました。ところが、ここから苦しいスランプが続きます。トップ10入りどころか予選落ちが続き、ついにはシード落ちを経験してしまったのです。その間に同じ世代の選手が次々と優勝を果たし、置いてきぼりにされてしまいました。
 近年の女子ツアーでは、結果が出ないとコーチを替える選手は決して珍しくありません。そんな中、吉本選手は高校時代から師弟関係を続けるレッスンコーチやトレーニングコーチとのチーム関係を変えず、時間がかかっても着実に力をつける道を選んできました。1歳年上のお姉さんは、時にキャディを務めてくれるなど、苦しい時期を一緒に歩んでくれました。そのサポートに報いる結果を残したのが、今年3月に行われた明治安田生命レディス ヨコハマタイヤです。首位で最終日をスタートした吉本選手は、前半ボギーが先行する苦しい展開で、一時はトップの座を明け渡してしまいます。しかし後半は4バーディー、ノーボギーで巻き返しプレーオフに持ち込むと、2ホール目で9mのバーディパットを沈め、悲願のツアー初優勝を達成。黄金世代12人目の優勝者となりました。

 

【柔道 角田夏実選手】
 柔道の女子48キロ級で圧倒的な強さを誇る角田選手。カタールのドーハで行われた今年の世界選手権は、3連覇が懸かっていました。角田選手の武器は、代名詞でもある「巴投げ」です。巴投げから寝技に展開するのが角田選手の勝ちパターンで、そのベースになっているのが、161㎝の長身と鍛え上げられた筋力です。もともと52キロ級で戦っていましたが、2019年10月に東京オリンピックを目指して、階級を48キロ級に変更。残念ながらオリンピック出場は逃しましたが、その悔しさをバネに21年・22年の世界選手権を連覇。2年とも全試合一本勝ちという圧倒的な強さを見せました。
 今年の世界選手権は、勝てば来年のパリオリンピック出場に大きく前進する、角田選手にとって絶対に負けられない大会。ところが、思わぬアクシデントもありました。大会の10日ほど前に、角田選手は尿管結石を発症し、直前練習を2日間休むことになったのです。それでも、初戦の2回戦から一本勝ちの連続で、順当に勝ち上がっていった角田選手。準決勝は、世界ランキング3位・フランスのポン選手を一本勝ちで破り、決勝は世界ランキング1位で、同じくフランスのブクリ選手に一本勝ち。強敵のフランス勢を続けて撃破し、みごと3年連続オール一本で世界の頂点に。日本人女子の世界選手権3連覇は、谷亮子選手・阿武教子選手に次ぐ、史上3人目の快挙でした。

 

【柔道 阿部詩選手】
 2021年の東京オリンピックで、兄の一二三選手と兄妹で金メダルという快挙成し遂げた、柔道女子52キロ級の阿部選手。実は左肩に痛み、右肩には違和感を抱えながらオリンピックに出場しており、大会後に手術を受けました。復帰戦となった昨年4月の全日本選抜体重別選手権では肩の回復が十分ではなく、準決勝で大事をとって途中棄権。そこから半年掛けて本来の柔道を取り戻し、10月の世界選手権で3度目の優勝を果たしました。昨年12月にはグランドスラムに出場。今年の世界選手権出場が懸かる重要な大会でしたが、その2週間前に今度は右ヒザを痛めてしまいます。それでも決勝を延長の末に勝利し、世界選手権代表の座をつかみました。
 今年5月、カタールのドーハで行われた世界選手権。パリオリンピックを来年に控え、阿部選手は女王として、その強さをライバルたちに見せつけておく必要がありました。順当に勝ち進むと、準々決勝では東京オリンピックの決勝で戦った、フランスのブシャール選手に大外刈りで一本勝ち。決勝ではアジア王者、ウズベキスタンのケルディヨロワ選手と対戦します。阿部選手はラスト2分で背負い投げに出ると、抵抗する相手をそのまま後ろに倒して、寝技の押さえ込みで一本勝ち。5試合全て一本勝ちという圧倒的な強さで、2年連続・4度目となる世界選手権制覇を果たしました。また同じ日に兄の一二三選手も優勝し、兄妹同日優勝。二人そろって、早くもパリオリンピックの代表に内定しました。

  
来週のスポーツ伝説は……
7/3(月) ラグビー 長田智希選手
7/4(火) ラグビー 木田晴斗選手
7/5(水) ラグビー ワーナー・ディアンズ選手
7/6(木) 大相撲  照ノ富士春雄関
7/7(金) 大相撲  若元春港関
              お楽しみに!!

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    パーソナリティ
    • 滝本沙奈
      滝本沙奈
      滝本沙奈

      滝本沙奈

      生年月日:1984年6月6日
      出身地:東京
      学歴:青山学院大学文学部英米文学科卒
      趣味:マリンスポーツ(ダイビング、サーフィン、釣り)
      資格:PADIオープンウォーターダイバー、おさかなマイスターアドバイザー

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