【プロ野球 大竹耕太郎投手】
早稲田大学から、2017年の育成ドラフト4位で福岡ソフトバンクホークスに入団した大竹投手。多彩な変化球を操り、緩急を使って打ち取るタイプのサウスポーです。ソフトバンクでは1年目から支配下契約を勝ち取り、在籍5年間で10勝をマーク。しかし一昨年・昨年と2年続けて未勝利に終わります。転機になったのが、昨年オフに始まった現役ドラフトです。実力を秘めながら、出番に恵まれていない選手にチャンスを与えるもので、大竹投手はこの制度で阪神タイガースに指名され移籍しました。くしくも今シーズンから指揮をとる岡田彰布監督は、大学の大先輩です。
開幕間もない4月8日、大竹投手は東京ヤクルト戦で移籍後初先発。セ・リーグ2連覇中のヤクルト打線を打たせて取るピッチングで翻弄し、6回を3安打無失点に抑えて移籍後初白星、自身3年ぶりの勝利を飾りました。これで先発ローテーションの一角に食い込んだ大竹投手は、4月19日の広島戦を7回途中まで投げ1失点。4月28日の東京ヤクルト戦は5回無失点と、4月は3試合に投げてわずか1失点で開幕から無傷の3連勝を飾りました。その快進撃は5月に入っても止まらず、5日の広島戦では7回を無失点。この時点で防御率は0.36という驚異的な数字に。5月13日のDeNA戦では3回に先取点を奪われましたが、6回を1失点に抑え阪神が逆転。開幕から5戦5勝、岡田監督に通算600勝をプレゼントしました。
【プロ野球 細川成也選手】
茨城県の明秀学園日立高校から、2016年のドラフト5位で横浜DeNAベイスターズに入団した細川選手。1年目の17年にプロ初打席初ホームランを放つなど、その潜在能力は大いに期待されていましたが、DeNAでの6年間は一軍に定着できませんでした。実力がありながら出番に恵まれない選手に活躍の場を与えようと、昨年オフに始まった現役ドラフトで、細川選手は中日ドラゴンズに指名され移籍が決定。春季キャンプでは打撃コーチと毎日居残りで夜まで練習を重ねて開幕一軍入りを果たすと、バッティングで結果を残して控えからレギュラーの座を掴みます。
チームの貧打に悩む立浪和義監督は、4月半ばから細川選手をクリーンナップでスタメン起用します。4月16日、5番で出場した巨人戦。1点差に迫られた直後の5回、ノーアウト一・三塁のチャンスで打席に立った細川選手は、ライト前にタイムリーヒットを放ち、この日2安打2打点の活躍。勝利に貢献しました。その1週間後、4月23日の阪神戦は、チームが18イニング連続無得点という重苦しいムードの中、3番に入った細川選手。1点を追う5回、ツーアウト一・三塁のチャンスで才木浩人投手の初球を振り抜くと、打球は右中間を破り逆転の2点タイムリーに。2度目のお立ち台に上がった細川選手は、もうチームに欠かせない存在になっています。
【プロ野球 戸根千明投手】
2014年のドラフト2位で巨人に入団した、サウスポーの戸根投手。1年目から中継ぎとして活躍し、2年連続で40試合以上に登板します。しかしその後はたびたび故障に悩まされ、昨年はわずか9試合の登板で白星なしに終わりました。戸根投手にとって転機となったのは、昨年オフに始まった現役ドラフトです。この制度で、戸根投手は30歳にして広島カープに移籍することになったのです。オープン戦では7試合に投げて自責点ゼロとアピールし、4年ぶりの開幕1軍入り。開幕後も安定したピッチングを見せ、4月8日には古巣の巨人戦に登板します。3点リードの8回、ツーアウト一・三塁のピンチでマウンドに上がった戸根投手は、左の代打・梶谷隆幸選手をわずか1球でセカンドゴロに仕留め、みごとリリーフに成功。カープの勝利に貢献するとともに、古巣への恩返しを果たしました。
戸根投手には、巨人に在籍していた20年にも大きな転機がありました。野手との二刀流への挑戦です。二刀流に取り組んだのはこの年だけでしたが、野手の大変さを知ったことで、どんな場面でも投げる気持ちでいたいという気持ちになれたそうです。4月15日の東京ヤクルト戦では、1点を追う9回に登板。3者凡退に抑えると、その裏、秋山翔吾選手が逆転サヨナラツーランホームランを放ち、戸根投手に移籍後初勝利。実に653日ぶりの白星が付きました。広島の投手陣では、新人以外で唯一の新戦力である戸根投手は、今や貴重なリリーフ左腕としてなくてはならない存在です。
【プロ野球 横川凱投手】
高校時代は、野球の名門・大阪桐蔭で活躍した巨人の横川投手。中日の根尾昂投手、千葉ロッテの藤原恭大選手らと同期の黄金世代で、3年生の時に甲子園春夏連覇を経験しました。身長190㎝の大型サウスポーとして期待され、2018年のドラフト4位で入団しましたが、プロ入り後は苦労が続きます。成績が安定せず、4年間で2度も支配下登録選手から育成選手への変更を言い渡されたのです。育成契約で始まった今シーズン。3度目の支配下契約を目指し、横川投手は昨年秋から、長身を生かした投球フォームの改造に取り組みます。すると平均球速が5キロ以上アップ。これまで以上に角度のあるピッチングができるようになりました。高い位置から投げ下ろすタワマン投法で、オープン戦で好投を続けた横川投手。原辰徳監督が、”タワーマン”というニックネームを付けたほどで、横川投手は3月に晴れて3度目の支配下契約を勝ち取りました。
横川投手は、意識改革にも取り組みました。今シーズンから中日でプレーする涌井秀章投手の自主トレに参加し、キャッチボールの時から実戦を想定して投げているという涌井投手に、練習に取り組む姿勢や、一球の重みについて教わりました。そんな努力が実って、今シーズンは開幕から一軍で先発を務め、4月23日の東京ヤクルト戦では5回を5安打2失点の好投。プロ5年目にして、待望の初勝利を手にしたのです。目標は、2ケタ勝利ができる投手になること。「タワマンにも住めるように頑張りたい」と、目指す高みはまだまだ先にあります。
【プロ野球 宮内春輝投手】
右のサイドスローから150キロ前後の力強い球を投げる、北海道日本ハムファイターズの宮内投手。先月、27歳の誕生日を迎えたオールドルーキーです。当初はオーバースローで、サイドスローに転向したのは大学2年生の頃でした。しかしプロから声は掛からず、宮城県の社会人野球チーム・日本製紙石巻に入団。ここでも入社3年目までは、スカウトの目に留まるほどの力はなかったと言います。転機になったのは、それまで知識が足りなかったウエートトレーニングの仕方を見直したことです。知人のパーソナルトレーナーに個人メニューを作成してもらい、より負荷をかけた効率的なトレーニングで最高球速が152キロにアップ。右サイドから繰り出すこの剛速球と、得意のシンカーで空振りを奪う投球スタイルで評価が上がり、一転ドラフト候補に浮上しました。
日本ハムに昨年のドラフト6位で指名された宮内投手は、キャンプやオープン戦で結果を出し、開幕早々から1軍のマウンドを経験。4月30日の福岡ソフトバンク戦では、1アウト満塁というピンチに登板し、ど真ん中でもいいから腕振ってこいというキャッチャーの要求に応え、全13球中12球をストレートで押す気迫のピッチングを見せます。この回をみごと無失点で切り抜けた宮内投手は、プロ初ホールドを記録しました。5月5日の東北楽天戦では、1点ビハインドの8回に登板。先頭打者にツーベースを許しますが、後続を抑え無失点で切り抜けると、その裏に味方が逆転に成功。嬉しいプロ初勝利を挙げたのです。
来週のスポーツ伝説は……
6/19(月) プロ野球 藤井皓哉投手
6/20(火) プロ野球 種市篤暉投手
6/21(水) プロ野球 平良拳太郎投手
6/22(木) プロ野球 三嶋一輝投手
6/23(金) プロ野球 福敬登投手
お楽しみに!!
2025.03.27
2025年3月24日~27日の放送内容
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2025年3月17日~21日の放送内容
【スピードスケート 高木美帆選手】 30歳になった現在も国際大会で圧倒的な強さを見せ、女子スピードスケート第一線で活躍を続けている高木選手。冬季オリンピックでは、20...
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2025年3月10日~14日の放送内容
【プロ野球 田中将大投手】 昨年のオフ、東北楽天ゴールデンイーグルスを退団し、読売ジャイアンツへの入団を発表した田中投手。2006年に高校生ドラフト1位で東北楽天に入...
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2025年3月3日~7日の放送内容
【メジャーリーグ 菊池雄星投手】 岩手県の花巻東高校時代から注目を浴びてきたサウスポー・菊池投手。2019年にアメリカ・メジャーリーグに活躍の場を移すと、5年目の23...
2025.02.28
2025年2月24日~28日の放送内容
【プロ野球 遠井吾郎選手】 今年で球団創立90周年を迎えた阪神タイガース。遠井選手は1950年代~70年代にかけて、阪神ひと筋で20年間プレーした名物選手です。ぽっち...