【プロ野球 村上頌樹投手】
2020年のドラフト5位で、東洋大学から阪神タイガースに入団した村上投手。1軍では、1年目の21年に2試合だけ登板して勝ち星はなし。昨年は1軍登板なしに終わります。ただしファームでは、2年連続で投手部門のタイトルを複数獲得するなど結果を出していました。勝負の3年目の今シーズンは、同じドラフト5位から阪神のエースになった青柳晃洋投手と自主トレを共にし、1軍昇格を勝ち取ります。
村上投手は4月12日の巨人戦で、プロ初勝利を懸けて2年ぶりに先発登板。カットボールやフォークなど変化球を有効に使って巨人打線を翻弄し、7回終了まで1人のランナーも出さないパーフェクトピッチングを続けます。あと6人抑えれば、プロ初勝利が完全試合という8回、阪神の岡田彰布監督が村上選手に代打を送り、大記録達成はならず。後続のピッチャーが同点に追い付かれたためプロ初勝利もお預けとなり、2度目の先発となった4月22日の中日戦で、念願のプロ初勝利を初完封で飾りました。さらに4月29日の東京ヤクルト戦でも、8回を無失点に抑え2勝目。この時点で、中継ぎ登板した分も含め、開幕から25イニング連続無失点となり5月9日の東京ヤクルト戦ではセ・リーグ記録、開幕31イニング連続無失点の更新が期待されました。村上投手は6回まで無失点ピッチングを続け、60年ぶりに記録に並びましたが、7回にサンタナ選手にホームランを打たれ、新記録はならず。しかし阪神の「村神様」は、歴史に大きな名前を刻みました。
【プロ野球 山下舜平大投手】
プロ野球で、その年に12人しかいない開幕投手。その大役を、なんとまだ1軍で投げたことのない20歳のピッチャーが担いました。オリックス・バファローズの3年目・山下投手です。エースの山本由伸投手がWBCに参加したため、疲労を考慮して代役に抜擢された山下投手。オリックスでプロデビューが開幕投手になったのは、前身の阪急ブレーブスでの梶本隆夫投手以来、実に69年ぶりのことでした。
3月31日、埼玉西武との開幕戦は、6回途中まで投げて4安打7奪三振1失点の内容で勝ち負けは付きませんでしたが、開幕投手としての役目は果たした山下投手。
中10日開けた4月11日の東北楽天戦は、5回を2安打無失点。毎回となる10奪三振の快投を演じ、プロ初勝利を飾りました。4月23日の埼玉西武戦では、最速158キロの剛速球とカーブを武器に西武打線を翻弄し、7回を3安打8奪三振、無失点の快投で2勝目。さらに5月5日には、西武打線をまたもや7回を6安打8奪三振、無失点に抑え、開幕3連勝を飾りました。ここまでの4試合で、取られた点は1点だけ。連続無失点イニングを20回3分の1に伸ばし、防御率はなんと0.37。“怪物”と呼ばれるピッチャーが本当の才能を発揮するのはこれからです。
【プロ野球 茶野篤政選手】
オリックス・バファローズの茶野選手はアマチュア時代、エリートコースとはまったく無縁の道を歩んできました。高校時代はレギュラーになれず。名古屋商科大学ではレギュラーになれましたが、全国大会へは出場できませんでした。卒業後、社会人野球でのプレーを目指しましたが受け入れ先はなく、独立リーグ・四国アイランドリーグPlusの徳島インディゴソックスに入団します。大学時代、プロ入りはまったく考えていなかった茶野選手ですが、徳島の選手はほとんどがNPB入りを目指す選手ばかり。最初は野球を続けたいという思いから入団した茶野選手でしたが、目標を修正。昨シーズンは首位打者に輝き、オリックス2軍との試合でホームランを含む4安打4打点1盗塁を記録。この活躍がオリックスの目に止まり、茶野選手は昨年の育成ドラフトでプロ入りの夢を実現させたのです。
茶野選手の快進撃はプロ入り後も止まらず、オープン戦でのアピールが実って開幕直前に支配下登録を果たします。しかも8番・ライトで開幕スタメンに抜擢。育成入団した新人が開幕戦に先発出場したのは史上初の快挙でした。勢いはこれで止まりません。デビュー戦となった埼玉西武との開幕戦で、茶野選手はいきなり見せ場をつくります。3回に迎えたプロ初打席、初球から積極的にスイングすると、プロ初ヒットとなる内野安打を記録。自慢の俊足で、すぐさまプロ初盗塁も決めてみせました。4月9日の北海道日本ハム戦では、プロ初の猛打賞と7試合連続ヒットをマークし、打率4割超えでパ・リーグ首位打者に浮上。開幕1ヵ月を過ぎても打撃ベストテンに名を連ねた茶野選手は、リーグ3連覇と日本一連覇を目指すオリックスにとって欠かせない存在です。
【プロ野球 森遼大朗投手】
千葉ロッテマリーンズの森投手は高校3年生の夏、左ヒザに全治6か月の大ケガを負い、2017年のドラフト会議でロッテから育成2位で指名された時は車イスに乗っていました。プロ1年目はほぼリバビリに費やします。そんな森投手が1軍で飛躍するまでには、2つの転機がありました。ひとつは、プロ4年目の21年、先輩の美馬学投手からフォークボールを教わったことです。このフォークを武器に2軍で頭角を現し、7月には1安打完封勝利を収めるなど、ファームの月間MVPも受賞します。この年、イースタン・リーグ最多の10勝、奪三振は2位の好成績でロッテのファーム優勝に貢献し、オフに待望の支配下契約を勝ち取りました。2つめの転機は昨年8月、西武戦での待望の1軍初先発です。この時は4回を投げて7失点と大崩れ。このままではいけないと危機感を抱き、改めて先輩投手のピッチングを徹底的に研究して今シーズンを迎えました。
森投手には、美馬先輩から学んだフォーク以外にもうひとつ、生命線といえるボールがあります。強気にバッターのインコースを突くストレートと、シュートです。吉井理人監督からも武器になると評価を受けたこの2つのボールを武器に、キャンプ中から積極的にアピール。ソフトバンクとのオープン戦では、3回をパーフェクトに抑えるピッチングを披露。その後も必死のアピールを続けます。すると開幕後、師匠である美馬投手が2軍で調整することになり、代わって森投手に1軍で先発する機会が巡ってきます。4月19日の北海道日本ハムファイターズ戦。森投手は2回に1点を許しますが、3回以降は3イニング連続で3者凡退に抑えます。6回途中まで投げ2失点の好投で、嬉しいプロ初勝利を飾りました。
【プロ野球 奈良間大己選手】
今年オープンした、北海道日本ハムファイターズの新球場・エスコンフィールド北海道。4月18日、この新球場で行われた千葉ロッテ戦で大仕事をやってのけたのが、日本ハムのドラフト5位ルーキー・奈良間選手です。身長172㎝と小柄な奈良間選手は、プロ2度目のスタメン出場となったこの日、3回の第1打席でプロ初ホームラン。これは奈良間選手のプロ初ヒットの一打であり、今年のルーキーでは一番乗りのホームランと、まさに初物尽くしの一発でした。この劇的アーチが出るまでには、プロの壁も経験していました。オープン戦では打率1割台と苦しみ、開幕は2軍スタート。結果欲しさに小手先に頼っていた打撃を見直し、2軍で結果を出して1軍初昇格を果たします。プロ初先発の福岡ソフトバンク戦は3打数ノーヒットに終わりましたが、その苦い経験を生かし、2試合目で生まれたプロ初ヒット・初ホームランだったのです。
奈良間選手が活躍すると、北海道の方言ですごいを意味する「なまら」とひっかけ「なまらすごい奈良間」というフレーズが生まれました。プロ初アーチのあとに出場したゲームでは、得点に繋がるヒットが目立ち、4月の得点圏打率は4割と、無類の勝負強さを見せた奈良間選手。これからも「なまらすごい」活躍をファンは期待しています。
来週のスポーツ伝説もお楽しみに!!
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