【プロ野球 田中賢介選手】
北海道移転後の日本ハムファイターズを牽引した田中選手。広角に打ち分けられる打撃センスと堅実なセカンド守備が売り物でした。ファイターズで打ったホームランは48本と決して多くはありませんが、その中には北海道のファンに鮮烈なインパクトを残した劇的なアーチが何本もあります。レギュラーに定着する前の2005年シーズン、田中選手は開幕を2軍で迎え、1軍での初ヒットは9月になってからでした。本拠地・札幌ドームで行われた、千葉ロッテとのシーズン最終戦。延長11回に代打で出場した田中選手は、劇的な代打サヨナラホームランを放ちます。翌06年、田中選手はセカンドのレギュラーに定着し、ベストナインとゴールデングラブ賞を受賞。日本ハム44年ぶりの日本一に大きく貢献したのです。以降、ゴールデングラブ賞は5年連続で獲得。ベストナインでも常連になるなど、田中選手はチームに欠かせない存在になっていきました。
2年間のメジャー挑戦を経て、15年からファイターズに戻ってきた田中選手を、北海道のファンは温かく迎え入れてくれました。そんなファンの胸をひときわ熱くさせたのは、16年7月10日。13連勝中に迎えた千葉ロッテ戦です。1点ビハインドの9回。連勝ストップまであと1人という場面で田中選手が打席に。起死回生の同点ホームランを放ち、延長戦でのサヨナラ勝利を呼び込んだのです。その後、連勝を15まで伸ばした日本ハムは、首位・福岡ソフトバンクと最大11.5ゲーム離されていた状況から奇跡的な大逆転優勝を果たしました。そんな田中選手の現役最後のホームランは、19年5月29日の千葉ロッテ戦。3対4と1点リードされた場面で代打逆転2ランを放って勝利に貢献。代打ホームランは、飛躍のきっかけとなった05年、シーズン最終戦で放ったあの1本以来、実に14年ぶりのことでした。
【プロ野球 稲葉篤紀選手】
ヤクルトスワローズと北海道日本ハムファイターズで10年ずつプレーした、日本ハムの稲葉GM。引退後は、東京オリンピックの日本代表監督も務めたレジェンドです。現役時代の日本ハムでは、首位打者と最多安打のタイトルを獲得。中でも、ポストシーズンでの活躍ぶりは凄まじいものがありました。2006年、日本シリーズ進出に王手をかけた福岡ソフトバンクとのパ・リーグプレーオフ第2戦。日本ハムはソフトバンクの斉藤和巳投手を攻略できず、0対0のまま9回ウラの攻撃を迎えます。ここでツーアウトながら一塁・二塁のチャンスを作り、打席には稲葉選手。セカンドゴロが、優勝を決める劇的なサヨナラヒットとなったのです。中日ドラゴンズとの日本シリーズでは打率3割5分3厘、ホームラン2本、7打点を記録。チーム44年ぶりの日本一に貢献し、稲葉選手は日本シリーズMVPに輝きました。
攻撃でも守備でも、常に全力疾走を心がけた稲葉選手の姿は、北海道ファンの心をつかみ、特別な応援スタイルが生まれます。稲葉選手が打席に立つと、ファンが飛び跳ねながら声援を贈る”稲葉ジャンプ”です。その応援を力に変え、2000本安打など数々の偉業を成し遂げました。稲葉選手の北海道ラストマッチとなった、14年10月5日の東北楽天戦。引退セレモニーでは、スタンドを埋めた4万人を超えるファンが一斉に飛び跳ね、最後の稲葉ジャンプで稲葉選手を送り出しました。
【プロ野球 金村暁投手】
北海道移転20年目を迎えた日本ハムファイターズ。移転後最初の公式戦は、2004年4月2日に札幌ドームで行われた西武ライオンズ戦でした。この記念すべき試合で先発のマウンドを任されたのが、金村投手です。前年まで2年連続で2ケタ勝利をマーク。1998年には最優秀防御率のタイトルも獲得していました。対する西武は、平成の怪物・松坂大輔投手。エース同士の熱い投手戦が繰り広げられましたが、投げ勝ったのは金村投手でした。6回3分の1を投げて1失点の好投。記念すべき札幌ドームの勝利投手第1号となったのです。
ペナントレースの開幕戦を北海道で迎えたのは、移転後3年目の06年3月25日。札幌ドームで行われた東北楽天戦でした。このゲームで開幕投手を託されたのも、前のシーズンに13勝を挙げた金村投手です。実は金村投手は、シーズンオフに右ヒジを手術していました。開幕日から逆算してリハビリに励みましたが、ストレートの球速は最速で140キロ前後。万全の状態には戻っていませんでした。そこで武器となったのが、前年の終盤にマスターした90キロ台のパームボールです。試合は、2点のリードをもらった金村投手が、緩急自在のピッチングで7回を4安打1失点に切り抜け、札幌ドームで迎えた初のシーズン開幕戦で勝利投手に輝きました。そしてこの白星が、北海道移転後初、25年ぶりのリーグ優勝。44年ぶりの日本一へと導く1勝だったのです。
【プロ野球 森本稀哲選手】
森本選手は、東京都・帝京高校のキャプテンとして甲子園にも出場。1998年のドラフトで、当時は東京が本拠地だった日本ハムファイターズから4位指名を受け入団しました。森本選手が注目を浴びるようになったきっかけは、2004年9月20日、本拠地・札幌ドームで行われた福岡ダイエーホークス戦です。プロ野球再編問題に伴うストライキ明けのこの試合、ファンに喜んでもらおうという新庄剛志選手の発案で、5人の日本ハム選手がヒーロー戦隊ゴレンジャーのマスクをかぶって登場。森本選手は、アカレンジャーのマスクを被り、大歓声を浴びました。しかも試合は、新庄選手のサヨナラヒットで北海道日本ハムが勝利し、パフォーマンスと合わせて大きく報じられたのです。その後、レギュラーの座をつかみ、新庄選手と並んで外野を守るようになった森本選手。以後も様々なパフォーマンスを披露して一躍人気者となりました。
パフォーマンスだけでなくプレーでも魅了した森本選手は、俊足強肩を生かした華麗な外野守備はもちろん、06年は初の規定打席に到達。足を生かしたバッティングでもレギュラーシーズン1位通過に貢献しました。リーグ優勝に王手を掛けた福岡ソフトバンクホークスとのプレーオフでは、森本選手の好走塁が日本ハムを北海道移転後初のリーグ制覇に導いたのです。森本選手は日本シリーズでも活躍し、チーム44年ぶりの日本一にも貢献。07年には、前年限りで引退した新庄選手の背番号1を継承して、パフォーマンスとプレーでファンを魅了しました。今シーズンからコーチとして、古巣・日本ハムに復帰。新庄監督と久々にタッグを組み、ペナント奪回を目指します。
【プロ野球 栗山英樹監督】
2012年から10年間、北海道日本ハムファイターズの指揮をとった栗山監督。ヤクルトスワローズで現役を引退したのが1990年。その後、スポーツキャスターや大学教授を経験し、22年のブランクを経ての現場復帰でした。コーチ経験がない点を懸念する声も多い中、栗山監督にはグラウンド外でつちかった「選手の心をつかみ、やる気にさせる」という武器がありました。監督1年目の12年、才能を持ちながら伸び悩んでいた、6年目の左腕・吉川光夫投手に「今シーズンダメなら、俺が引退させる」とハッパをかけ、吉川投手は14勝を挙げるピッチャーに成長します。また5年目の中田翔選手を4番に抜擢し、6月末まで打率が2割に満たなくても全試合4番で使い続けました。その結果、ホームラン24本、77打点の成績で主砲として覚醒します。選手を信頼し育てた栗山監督は、就任1年目で日本ハムをリーグ優勝へと導きました。
栗山監督が評価された最大の出来事と言えば、大谷翔平選手の投打二刀流での起用です。1年目の13年は、投手として3勝、打者ではホームラン3本。プロで二刀流は無理という声が多く挙がりましたが、栗山監督は16年から、大谷選手が登板する試合で打席に立たせるリアル二刀流を実行。大谷選手の投打にわたる活躍で、この年日本ハムは最大11.5ゲームも離された福岡ソフトバンクを逆転してリーグ優勝。日本シリーズも制して10年ぶりの日本一に輝きました。
来週のスポーツ伝説は……
5/1(月) 侍ジャパン 大谷翔平選手
5/2(火) 侍ジャパン 吉田正尚選手
5/3(水) 侍ジャパン 村上宗隆選手
5/4(木) 侍ジャパン ラーズ・ヌートバー選手
5/5(金) 侍ジャパン 佐々木朗希投手
お楽しみに!!
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2025年2月24日~28日の放送内容
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