【プロ野球 柳田悠岐選手】
長打力のある大型外野手として期待され、2010年のドラフト2位で福岡ソフトバンクホークスに入団した柳田選手。豪快なフルスイングに加えて俊足も魅力で、プロ3年目の2013年に外野のレギュラーの座をつかみましたが、惜しくも規定打席には届きませんでした。スラッガーとしての才能が花開いたのは、プロ4年目です。この年の1月に“球界の超人”こと、並外れたパワーで知られたオリックスの糸井嘉男選手と自主トレを一緒に行った際、柳田選手は打撃練習でサク越えを連発。糸井選手から”日本一の飛ばし屋”のお墨付きを得ると、5月には打率3割9分5厘、月間34安打と打ちまくり、初の月間MVPに輝きました。
柳田選手を一躍有名にしたのは、初めて出場した14年のオールスターゲームです。甲子園球場で行われた第2戦、打ってはセンターバックスクリーンに飛び込む特大アーチを含む4安打2打点。盗塁も決め、守ってはホームへ矢のような返球も披露するなど走攻守で躍動し、第2戦のMVPに輝きました。14年のレギュラーシーズン、柳田選手は144試合すべてに出場し、リーグ3位の打率3割1分7厘をマーク。ホームラン15本・70打点・33盗塁はいずれも自己最高の成績で、チームを3年ぶりのリーグ優勝に導きます。さらに阪神との日本シリーズでは、5試合すべてヒットを放ち日本一にも大きく貢献しました。この年のオフに、入団以来つけていた背番号44から、尊敬する先輩・小久保裕紀選手が引退して欠番となっていた9番を継承。翌15年、打率3割6分3厘・ホームラン34本・32盗塁をマークし、柳田選手はトリプルスリーの偉業を達成したのです。
【プロ野球 柳裕也投手】
即戦力右腕として、2016年のドラフト1位で中日ドラゴンズに入団した柳投手。しかし1年目は1勝、2年目も2勝しか挙げられず、首脳陣やファンの期待を大きく裏切る形になりました。背水の陣を敷いたプロ3年目の19年、チームのベテラン・吉見一起投手の自主トレに同行して体幹を鍛える重要さを学びます。新たにシュートなどをマスターして球種を増やし、阿波野秀幸投手コーチから提案された二段モーションを採り入れるなど、変化を求めてあらゆることを行いました。その効果はてきめんに表れ、19年の柳投手はいきなり2連勝。ところが5月最初の登板、東京ヤクルト戦で6回8失点と打ち込まれ、初黒星を喫します。その数日後、中日のエース・大野雄大投手が完封勝ちしたピッチングを見て、柳投手は自分との差を痛感。投球に対する意識を変え、5月後半から破竹の6連勝を飾るのです。
19年は前半戦だけで9勝を挙げ、一時は最多勝争いのトップに立った柳投手。しかし10勝目の白星がなかなか挙げられず、後半戦は7試合連続で勝利投手から遠ざかってしまいます。思いつめた柳投手を援護しようと、中日打線が奮起。9月7日の横浜DeNA戦で実に2ヵ月ぶりの勝利を挙げ、ついに2ケタの壁を越えました。結局、柳投手はこの年チームトップの11勝。2年後の21年には最優秀防御率と最多奪三振のタイトルを獲得し、名実ともにドラゴンズの右のエースへと成長したのです。
【プロ野球 山川穂高選手】
昨シーズン、ホームラン41本・90打点でパ・リーグ二冠王に輝いた埼玉西武ライオンズの山川選手。ホームラン王はこれで3度目と、球史に名を残すホームラン・アーティストです。山川選手は、2013年のドラフト2位で西武に入団。チームの先輩で、当時すでにホームラン王4度の“おかわり君”こと中村剛也選手と体型が似ていることから、”おかわり二世”として注目を集めました。レギュラー獲得までは時間がかかりましたが、プロ5年目の18年、開幕から4番で全試合に出場し、ホームラン47本で初のホームラン王に輝きます。パ・リーグで40本以上を放ったのは、中村選手以来7年ぶり。全試合4番で出場したのは、球団では22年ぶりのことでした。
山川選手が大きく飛躍したのはこの18年ですが、覚醒のきっかけを掴んだのは、その前年のこと。「ランナーを進めるバッティングは俺たちがやる。お前はホームランを打てばいい」先輩の渡辺直人選手のこの言葉で目が覚め、全打席でホームラン狙いに切り替えた山川選手は、翌日の試合で3打席連続ホームランを放ったのです。その後もホームランを量産。8月はホームラン9本、さらに打点・出塁率でもリーグトップの成績をマークし、自身初の月間MVPを受賞しました。その後も好調は止まらず、9月・10月度の月間MVPも連続受賞。翌18年から、2年連続ホームラン王に輝くことになるのです。
【プロ野球 丸佳浩選手】
2007年の高校生ドラフト3位で広島カープに入団した丸選手。1年目から2軍の月間MVPを獲得するなど才能を見せ、4年目の11年には規定打席に到達。ホームランを9本放ちます。しかし翌12年は前半の不調もあり、ホームランは4本と半分以下に減り、規定打席にも届きませんでした。そこで丸選手は、イチロー選手を育てた名指導者・新井宏昌コーチと打撃フォームの改造に取り組み、こんなアドバイスをもらいます。「パワーとはチカラ+スピード。ここには前田智徳というお手本がいるじゃないか」。前田選手は通算2000安打を達成し、孤高の天才バッターと呼ばれた選手です。丸選手にとっても憧れの先輩であり、一緒に自主トレに励んだこともありました。その前田選手のバッティングを参考に練習を重ねていくと、打撃が開眼。13年、巨人との開幕カードで2試合連続の2安打。その後の6試合中3試合で猛打賞を記録する好スタートを切ったのです。
13年の開幕からヒットを量産したことで、首脳陣からも、右投手でも左投手でも苦にせず広角に打てると評価を高め、2番の打順を任された丸選手。丸選手は長打も打てる得点力も備えた2番として、チームに貢献します。菊池涼介選手と丸選手の1・2番はキクマルコンビと呼ばれ、カープ躍進の原動力になっていきます。また、出塁すれば積極的に盗塁にもチャレンジ。この年29盗塁を決めて盗塁王に輝き、守りでも瞬足を生かした外野守備で、ゴールデングラブ賞を初受賞しました。そんな丸選手の活躍もあって、この年カープは16年ぶりのAクラス、3位となり、初めてクライマックスシリーズに進出。3年後の16年からリーグ3連覇を果たす下地は、このときに作られたのです。
【プロ野球 田口麗斗投手】
東京ヤクルトスワローズの左腕・田口投手を語る上で外せない長所は、高校時代に見せた驚異的なスタミナです。夏の甲子園出場をかけた2013年、広島大会の決勝戦。広島新庄高校のエースだった田口投手と、現在オリックスで活躍する瀬戸内高校のエース・山岡泰輔投手は息詰まる投手戦を演じ、延長15回、0対0の引き分けで再試合となります。2日後に行われた再試合、田口投手は力尽き0対1で敗れましたが、この大熱投で評価を高め、この年のドラフト3位で読売ジャイアンツに入団しました。ところが高校時代に見せたタフネスぶりを、プロの世界ではすぐには発揮できませんでした。プロ2年目の15年は、12試合に先発しものの、先発投手の責任である5回まで持たずにマウンドを降りる場面が何度もありました。そこで田口投手は、秋のキャンプで体力強化に努めます。
迎えたプロ3年目の16年は、早速その成果が表れました。4月27日、甲子園球場で行われた阪神戦で、7安打を浴びながら打たせて取るピッチングで球数を減らし、わずか99球で9回まで投げきって勝利。高校時代に踏めなかった甲子園のマウンドでプロ初完投勝利を挙げました。厳しいトレーニングに加え、食事面も見直すなど高い意識で臨んだこの年、7月には月間3勝、防御率1.14の好成績で月間MVPを初受賞。8月3日の中日戦では2安打無四球のピッチングで、プロ初完封勝利を飾りました。この年、田口投手はチーム唯一の2ケタ勝利となる10勝をマーク。ジャイアンツで高卒3年目以内のサウスポーが2ケタ勝利を挙げたのは、実に65年ぶりの快挙でした。
来週のスポーツ伝説もお楽しみに!!
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