【プロ野球 岡田彰布新監督】
「2005年に優勝して、まさかそれから優勝できないとは思っていなかった。勝てるチームなのに、勝てないという歯がゆさはあった」と、就任会見で語った、阪神タイガース・岡田新監督。18年ぶりのペナント奪回を目指し、15年ぶりに指揮を執ることになりました。岡田監督の理想とする野球は、ピッチャーを中心とした「守り勝つ野球」です。前回監督を務めた05年は、ジェフ・ウィリアムス投手、藤川球児投手、久保田智之投手の3人をリリーフで7・8・9回に起用。この必勝リレーは、3人の名前の頭文字を取って「JFK」と呼ばれました。
優勝した05年、岡田監督の勝利への執念を窺わせる出来事がありました。シーズン終盤の9月7日、首位を走っていた阪神は、2ゲーム差で追う2位・中日と敵地・ナゴヤドームで直接対決。3対1と2点リードして迎えた9回に抑えの久保田投手が、ノーアウト二・三塁のピンチを迎えた場面で事件が起こります。内野ゴロで三塁ランナーがホームに突っ込み、微妙なタイミングで判定はセーフ。これに岡田監督は激昂。猛抗議に出て18分の中断の末ようやく試合は再開。久保田投手は犠牲フライを打たれて同点に追いつかれ、さらに味方のエラーもあってワンナウト満塁と、サヨナラのピンチを迎えます。ここで岡田監督はマウンドへ。試合中、ピッチャーのもとへ足を運んだのは、就任以来初めてでした。「打たれろ! メチャクチャやったれ! 俺が責任を取るから!」岡田監督の前代未聞のゲキに開き直った久保田投手は、後続のバッターを2者連続三振に仕留め、延長10回、中村豊選手の決勝ホームランで阪神が勝利。優勝へ大きく前進する1勝となりました。そんな熱さを秘めた名将が帰って来た阪神。今年のセ・リーグはますます白熱した戦いが期待できそうです。
【プロ野球 新井貴浩新監督】
「私は1回、カープを出ていますので。それでもまた『戻って来い』と言って頂き、3連覇もさせて頂いて、球団には恩がある。私には断る選択肢はなかった」と就任会見で語った、広島カープ・新井新監督。広島市に生まれ、駒澤大学から1998年のドラフト6位で広島に入団。猛練習を積み、下位指名から叩き上げでカープの主砲に成長します。2007年オフ、阪神へFA移籍し7年間プレーしましたが、出番が減少した14年のオフに退団。そこへ手を差し伸べてくれたのが、古巣・カープでした。復帰2年目の16年、新井選手は主砲としてチームを牽引。広島を25年ぶりのリーグ優勝に導き、セ・リーグMVPに輝きます。それから広島はリーグ3連覇を達成し、新井選手はこれを花道に18年限りで現役を引退しました。しかしカープはその翌年から4年連続でBクラスに。新井監督は恩に報いようと、指揮官として再びチームに戻って来たのです。
昨年11月、宮崎県日南市で行われた秋季キャンプに合流した新井監督は、練習前、参加選手全員に「2つの思い」を伝えました。まずは、選手全員に可能な限りチャンスを与えるということ。もう一つは、決して好き嫌いで起用はしないということ。カープという家の中にみんなで一緒に住み、同じ「優勝」という目標に向かってみんなでシノギを削ることがチームを強くする、というのが新井監督の考えです。「楽しいこと、おもしろいこと、苦しいことをみんなで共有して、みんなで優勝する。みんなで日本一になりたい」この言葉で、選手たちの心をグッとつかんだ新井監督。ファンの心をつかむ、ワクワクするチームをどう作っていくのか、その手腕に注目です。
【プロ野球 松井稼頭央新監督】
埼玉西武ライオンズの新しい指揮官・松井監督は1993年のドラフト3位で西武に入団。高校時代はピッチャーとして活躍しましたが、西武は松井選手を野手として育てました。元々は右打者でしたが、当時打撃コーチだった谷沢健一さんのアドバイスで左打ちの練習も始め、スイッチヒッターに転向します。3年目の96年からショートのレギュラーに定着し、2002年には、スイッチヒッターでは史上初の「3割、30盗塁、ホームラン30本」の「トリプルスリー」を達成し、リーグ優勝に貢献しました。この活躍で“ミスターレオ”と呼ばれた松井選手。04年からメジャーリーグに移籍し、11年からは東北楽天でプレー。しばらく西武を離れますが、17年のオフにコーチ兼任で久しぶりに古巣へ戻ってきました。
18年、西武復帰1年目に10年ぶりのリーグ制覇を経験し、これを花道に現役生活に別れを告げた松井選手。日米通算2705安打はまさに努力の結晶です。引退後は2軍監督を3年間務め、昨年はヘッドコーチを担当し、辻発彦監督の退任を受け、満を持しての新監督就任となりました。現役時代、投手からショートへの転向、スイッチヒッターへの挑戦と、課題ばかり抱えていた松井選手に厳しい態度で接しつつ、我慢して使い続け、球界を代表するショートへと導いてくれた東尾修監督から、選手を育てるという信念が大切と学んだ松井新監督。「伝統のライオンズを継承しつつ、もう一度、常勝、育成を目指す」と宣言しました。“常勝ライオンズ”をどのように作り上げていくのか、その手腕に注目です。
【プロ野球 吉井理人新監督】
千葉ロッテマリーンズの吉井新監督は、現役時代は日米7球団でプレーし、近鉄時代の1988年には抑えで10勝24セーブを挙げ、最優秀救援投手のタイトルを獲得。翌年も5勝20セーブで、近鉄のリーグ制覇に貢献します。その後は先発でも活躍し、95年にヤクルトへ移籍すると、名将、野村克也監督のもと、95年・97年の日本一に貢献するなど、3年連続2ケタ勝利を挙げます。また、メジャーリーグでも通算32勝をマーク。日米の野球も熟知する百戦錬磨の人物です。さまざまな指導者のもとでのプレーをしましたが、中でも影響を受けたのは、近鉄時代の権藤博投手コーチと、ヤクルト時代の野村監督だと言います。野村監督からは投手の起用法や交代時期について。権藤コーチからは、選手の自主性に任せること。中継ぎにもローテーションを採用して、ピッチャーを酷使から守ることを学んだといいます。
引退後、北海道日本ハム・福岡ソフトバンク・千葉ロッテの3球団で投手コーチを歴任した吉井監督。数多くの実績を残してきたことでも知られています。そのモットーは「教えすぎず、気づかせる」。もちろん何もしないのではなく、選手が自ら考え、気づくためのヒントを提供できるようなコミュニケーションも欠かしません。そしてコーチ業のかたわら、野球を科学的・理論的に知るため筑波大学の大学院で学び、16年には修士課程を修了。経験論を押し付けるのではなく自ら学びを深める理論派の指導者なのです。「まずは選手の個性、スタイルをしっかり見ていきたい」と語る吉井監督。パ・リーグをますます面白くしてくれそうです。
【プロ野球 新庄剛志監督】
監督1年目の昨年は、9年ぶりの最下位に沈んだ北海道日本ハムファイターズの新庄監督。試合で敗れた悔しさのあまり歯が折れたこともあったと言います。それでも「変えていく」の言葉通り、いくつも新しいチャレンジを試みました。その代表例が、若手選手の積極起用です。球団66年ぶりの開幕新人投手に、ドラフト8位の北山亘基投手を大抜擢。その後は中継ぎ・抑えで、3勝9セーブ16ホールドの活躍を見せます。打撃でもドラフト9位の上川畑大悟選手が、球団では張本勲選手以来、63年ぶりに新人で4番を経験。上川畑選手は80試合に出場し、打率2割9分1厘の成績を残しました。新庄監督のスタイルを言葉にすれば、「鉄は熱いうちに打て」。昨年の日本ハムは、支配下の日本人選手全員を一度は1軍で起用し、およそ7割の選手を1軍登録したその日にデビューさせるなど、とことんチャレンジさせた1年でした。
新庄監督にもらったチャンスを活かし、飛躍につなげた選手もいます。松本剛選手は、プロ11年目で初めて首位打者のタイトルを獲得。これまで伸び悩んでいた清宮幸太郎選手は、5年目で初めて規定打席に到達し、チーム最多のホームラン18本を記録しました。また万波中正選手・今川優馬選手も2ケタホームランを記録。チーム総数として4年ぶりの大台100本に到達しました。日本ハムは今シーズンから、ホームランが出にくかった札幌ドームから、新球場「エスコンフィールド北海道」に移転。1年目の我慢が実を結び、さらなるホームラン数アップも期待できます。「優勝は目指さない」と語った1年前とは違い、「日本一だけを目指してブレずにやっていきます」と宣言して挑む、新庄監督勝負の2年目が始まります。
来週のスポーツ伝説は……
1/13(月) サッカー 浅野拓磨選手
1/14(火) サッカー 三笘薫選手
1/15(水) サッカー 田中碧選手
1/16(木) サッカー 堂安律選手
1/17(金) サッカー 吉田麻也選手
お楽しみに!!
2025.03.27
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2025年3月17日~21日の放送内容
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2025年3月3日~7日の放送内容
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2025年2月24日~28日の放送内容
【プロ野球 遠井吾郎選手】 今年で球団創立90周年を迎えた阪神タイガース。遠井選手は1950年代~70年代にかけて、阪神ひと筋で20年間プレーした名物選手です。ぽっち...