スポーツ伝説

2023.01.07

2023年1月2日~6日の放送内容

【箱根駅伝2022 青山学院大学】

 ここ10年間、大学駅伝界を牽引する青山学院大学。その名物指導者・原晋監督が、過去最高ではないかと自負するほどの逸材が揃ったのが昨年、2022年度のメンバーでした。トップレベルの目安となる1万m28分台の選手がズラリ。それでも駅伝シーズン序盤戦の出雲駅伝、そして全日本大学駅伝は共に2位と、惜しくも頂点に届きません。そこで原監督は箱根駅伝を前に、“パワフル大作戦”というスローガンで選手たちを鼓舞します。迎えた箱根駅伝本番、選手たちは監督の期待に応えるようにパワフルな走りを見せます。中でも注目を浴びたのが、原監督が秘密兵器と期待を寄せ、3区に抜擢した1年生・太田蒼生選手です。期待のルーキーが区間2位の走りを見せ、青学は3区でトップに。そのまま4区・5区もリードを守り、原監督の宣言通りに往路を1位でフィニッシュしたのです。
 2位に2分37秒差をつけ、復路のスタート地点、・芦ノ湖を出発した青山学院大学。復路を引っ張ったのは3年生トリオでした。まずは、7区で襷を受け取った岸本大紀選手。実はレース1か月前に仙骨を疲労骨折して心配されていましたが、いざ走り始めれば区間賞の走りで更にリードを広げます。その岸本選手以上のパフォーマンスを見せたのが、9区を走った3年生の中村唯翔選手です。前年は花の2区を任されながら、悔しい区間14位。1年ぶりの箱根駅伝では快走を見せ、9区で初となる1時間7分台。14年ぶりの区間新記録をマークして、大会MVPに輝く走りで10区につなげました。さらにアンカーの3年生、中倉啓敦選手も区間新記録の走りで締めくくり、復路も1位で駆け抜けた青学。2位に10分以上の差をつけ、2年ぶり6度目の総合優勝を果たしパワフル大作戦を見事成功させたのです。

  
【野球日本代表 栗山英樹監督】

 栗山監督はヤクルトスワローズでの現役生活を7年で終えた後、解説業をおよそ20年。コーチ経験もなく、古巣でもない北海道日本ハムファイターズの監督に就任しました。異色の経歴の持ち主らしく、モットーとしているのは「常識に縛られないこと」。日本ハムでは、先発投手に短いイニングを託すショートスターターを導入したり、大胆な守備シフトを採用したりと、次々に周囲を驚かす采配や指導方法を打ち出していきました。その常識破りの最たる例といえば、大谷翔平選手の二刀流挑戦を後押ししたこと。球界OBのほとんどが反対する中、栗山監督は大谷選手の才能を信じ続けました。2016年にはその大谷選手が投打でフル回転し、日本一を達成しています。
 栗山監督は21年限りで日本ハムの監督を退任した後、野球日本代表・侍ジャパンの監督に就任。目標は09年の第2回大会以来となるWBC優勝です。昨年秋には強化試合として日本ハムと巨人、オーストラリア代表と2試合行い、しっかり4連勝を飾りました。栗山監督は令和の三冠王、東京ヤクルト・村上宗隆選手を4試合のうち3試合で4番に起用。盗塁王の経験があるヤクルトの山田哲人選手や、阪神の近本光司選手に加え、同じく盗塁王経験者の福岡ソフトバンク・周東右京選手を代走に起用。さらには日本ハム時代に栗山監督のもとでプレーした大谷選手に加え、パドレスのダルビッシュ有投手、カブス・鈴木誠也選手も参加を表明。豪華なスター軍団をまとめ、ワクワクさせる野球を見せてくれそうな栗山監督の手腕に世界が注目しています。

  
       
【ゴルフ 山下美夢有選手】

 2022年の女子ゴルフ年間女王に輝いた、山下選手。19年度のプロテストで規約が改定され、当時高校生ながら合格。同じくこの年にプロになった同学年の笹生優花選手・西郷真央選手ともに高校生プロとして話題になり、新世紀世代と呼ばれています。昨年は5月に国内メジャー初制覇を果たすと、その後も安定したゴルフを続け、11月中旬にはあと2戦を残して4勝目を挙げ、初の年間女王が確定。21歳103日での年間女王は、上田桃子選手の記録を53日塗り替える史上最年少記録でした。また1年間での賞金2億円突破は、日本人選手では初の快挙です。その2週後、ツアー最終戦となった国内メジャー・リコーカップでも、通算15アンダーで並んだ勝みなみ選手とのプレーオフを制し、年間5勝目。最高の形でシーズンを終えました。
 山下選手はゴルフを始めた5歳の時から、父親と二人三脚で腕を磨いてきました。プロになってからも“専属コーチ”の父に絶大な信頼を寄せてきた山下選手ですが、昨年の快進撃にはもうひとりの“恩師”の存在もありました。通算48勝のレジェンド・中嶋常幸プロです。ドライバーで飛距離が出せない弱点を抱えていた山下選手は、シーズンオフになると、弱点を克服しようとアイアンショットの練習に集中していました。そんなとき中嶋プロから「アプローチを練習した方がいい」とアドバイス。その結果、昨年の山下選手の平均飛距離は全体の47位でありながら、パーオン率とパーセーブ率、平均ストロークは堂々の1位。さらに、日本人選手初となる年間平均ストローク60台を達成する快挙を成し遂げたのです。

 

【大相撲 阿炎政虎関】

 照ノ富士関の休場で、横綱不在のまま幕を開けた昨年11月の大相撲九州場所。14日目を終えて、元大関の髙安関が12勝2敗で単独トップ。これを星1つ差で大関・貴景勝関と一緒に追っていたのが、平幕の阿炎関でした。阿炎関は、21年11月の九州場所・昨年1月の初場所と、2場所連続で12勝を挙げ、3月の春場所で関脇に復帰。三役の地位を3場所連続で維持しました。しかし9月の秋場所は、右ヒジと左足首の手術に踏み切り全休。休場明けの九州場所は、西前頭9枚目まで番付を下げて迎えます。そんな阿炎関を支えてくれたのが、師匠である元関脇・寺尾の錣山親方の言葉でした。入院中の師匠の言葉を胸に刻み、一番一番集中して相撲を取っていった阿炎関。白星を積み重ね、気づけば千秋楽まで優勝戦線に残っていました。
 注目の千秋楽。阿炎関はトップの髙安関と直接対決。髙安関は勝てば優勝決定でしたが、阿炎関は必死の粘りを見せて勝ち、トップに並びました。さらに貴景勝関も勝ったため、3人が12勝3敗で並び、28年ぶりの巴戦による優勝決定戦となったのです。まずは阿炎関と髙安関が再び対決。阿炎関は立ち合いで勝負を仕掛け、はたきこみで髙安関はバッタリ土俵に落ちました。次に阿炎関は、大関・貴景勝関と対戦。大関を気迫で前へ前へと攻め立て、気付けば貴景勝関は土俵を割っていました。阿炎関は1日3勝、元大関と現大関を撃破し、大逆転で悲願の初優勝を飾ったのです。

  
【大相撲 豊昇龍智勝関】

 昨年11月の大相撲九州場所で11勝を挙げ、大関獲りへの足掛かりをつかんだモンゴル出身の関脇・豊昇龍関。実は、元横綱・朝青龍関の甥にあたります。もともとレスリングでオリンピックを目指し、日本の高校に留学しましたが、課外授業で大相撲を観に行き、相撲のとりこになりました。高校卒業後、立浪部屋に入門。入門にあたって叔父から贈られた言葉が、「山の上じゃなくて、足の下の石を見ろ」でした。豊昇龍関は2018年初場所で初土俵を踏むと、叔父の言葉を胸に順調に出世を果たします。
 豊昇龍関は、昨年3月の春場所から小結で3場所連続で勝ち越し、昨年9月の秋場所で新関脇に昇進。秋場所は8勝7敗でしたが、11月の九州場所は11日目を終えて10勝1敗。優勝争いに名乗りを上げました。しかしそこから3連敗で脱落。14日目に阿炎関に敗れ、その阿炎関が初優勝を飾ったことは大きな発奮材料になりました。豊昇龍関は千秋楽に勝って11勝4敗、技能賞を獲得しました。

 

来週のスポーツ伝説は……

1/9(月) プロ野球 岡田彰布新監督
1/10(火) プロ野球 新井貴浩新監督
1/11(水) プロ野球 松井稼頭央新監督
1/12(木) プロ野球 吉井理人新監督
1/13(金) プロ野球 新庄剛志監督

お楽しみに!!

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    パーソナリティ
    • 滝本沙奈
      滝本沙奈
      滝本沙奈

      滝本沙奈

      生年月日:1984年6月6日
      出身地:東京
      学歴:青山学院大学文学部英米文学科卒
      趣味:マリンスポーツ(ダイビング、サーフィン、釣り)
      資格:PADIオープンウォーターダイバー、おさかなマイスターアドバイザー

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