第1回ミュージックソンの涙

ミュージックソンは、1975年(昭和50年)より始まりました。第1回の思い出を、当時の番組スタッフ(制作部中西等)の2006年の手記にてご紹介します。


あれは第1回ラジオ・チャリティ・ミュージックソンの時だったと思います。

LF正面玄関の奥に設けられた「愛の泉」(募金箱を置いた募金スペースの名称)の側に立って、次から次へと訪れる多数のお客様をお迎えしていた時の事です。入口付近に、盲目のお母さんの手を引いた小さな女の子の姿が目に入りました。

入口には階段があったので、あわてて入口まで飛んで行き、その母娘を迎えながら話しかけました。
「この募金活動は、目のご不自由な皆さんの為に、少しでもお役に立とうと始めたものなんです」
などと、一回目だったのでイベントの趣旨を説明しようとしたのです。

すると、その盲目のお母さんが大変しっかりした口調で、こうおっしゃいました。
「それは、わかっています。でも、私たち盲人もひと様のお世話になるばかりでなく、自分達でも出来る事はやりたいのです」
と云いながら、小銭が一杯につまった透明のビンを重そうに差し出したのです。

当時は、このチャリティに目のご不自由な方が自ら募金に来てくれるとは思ってもいませんでしたので、私は強く胸を打たれ、もう言葉が出なくなりました。そして、夕闇の中を駅の方向に消えていくその母娘の後ろ姿を、いつまでも見送りながら涙が止まりませんでした。

あれから三十年、あの時の可愛い女の子も立派に成長され、やさしいお母さんになられたと思いますが、今でもあの時の事を思い出すと、何故か涙が溢れてきます。


ラジオ・チャリティ・ミュージックソンは、毎年いろいろな方に支えられながら募金活動を行っています。みなさまの暖かい気持ちをお待ちしております。

「ラジオ・チャリティ・ミュージックソンとは」

「募金方法」

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