12月2日のゲストは、HATARAKU認知症ネットワーク町田 松本礼子(あやこ)代表

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【スタッフMの番組報告】

2024年も早いもので、あと1か月を切ってしまいましたね…。
この番組も10月で15年目に突入し、今年も様々なジャンルのゲストの方をお迎えしましたが、やはり、子どもの貧困と、高齢化の波を痛感することが、多かった1年のような気がいたします…。
オープニングの阿部さんの語りで、明るいことをテーマにお伝えしたいのですが、現実はそう甘くはないことばかりです。

今回は、その超現実問題高齢化の中でも、特に身近に起こっている「認知症」について、認知症になっても社会に貢献していきいきと暮らせる環境作りに取り組む団体をご紹介しました。
それが、HATARAKU認知症ネットワーク町田です。代表の松本礼子(あやこ)さんのお話、いやー、あたたかかったです…。

右:HATARAKU認知症ネットワーク町田 代表 松本礼子(あやこ)さん

HATARAKU認知症ネットワーク町田は、東京都町田市を拠点に、認知症の方が暮らしやすい環境作りに取り組んでいるんです。松本さんご自身が過去にお姑さんの認知症に直面し、そのときは、認知症というものをよく理解していないことから、たくさんの衝突があったとおっしゃっていました。ただただ叱ってばかりの日々を後悔した松本さんは、お姑さんが亡くなったあと、大学で福祉を学び直し、認知症への理解を深めていき、今の活動につなげていったそうです。こう書いてしまうと、簡単ですが、自分の後悔から学び直しをして、きちんと認知症と向き合う、その姿勢が本当に素晴らしいです。松本さんの優しさと意思の強さを感じました。

最初は、まちの保健室というところを開いて、認知症の当事者や家族が、互いの悩みや困りごとを話し合う場を設けていて、口コミでその輪が広がっていったそうです。お話を聞いていて、思いました。
高齢者の数が急増する日本にこうした、高齢者向けのサロンや居場所はたくさんできていても、認知症の当事者が集まって、愚痴をこぼしたり、切実な願いを共有したりする場ってなかなかないので、こうした場はとっても貴重なんだな…と。

松本さんのお話で、クスッとしてしまったのが、認知症の方が息子さんに、スリッパの左右を逆にはいていると
「認知症だから、間違えてる!!!」とすぐ指摘されることが承服できないという声。「別に認知症だから間違えてるんではなくて、左右逆でも俺にとってはどっちでもいいからそうしてるだけなのに!」という当事者の嘆きは、
我々からしたら、ほんの些細なことかもしれませんが、認知症と向き合いながら家族や世間と付き合っていく当事者の方の心の声として、私にはすごく深く刺さりました。周囲の理解、大切です…。

松本さんもおっしゃっていましたが、「今日何日?」と何回も聞くとか、そういうイメージの認知症だけではなくて
最近では若年性の認知症もあることから、一見してはまったくわからないたくさんの認知症がこの世には存在し、
でも周囲の理解が進まない中で、当事者は困惑と絶望と相当つらい状況にいるんです。誰にも理解されない苦しみ
を分かち合える仲間との出会いが、当事者の方々を「自分はやれる!」という自信に変えてくれるんだなと、この活動から、私も学ばせていただきました。

松本さんが、「友達っていいですよね…」とつぶやいたあの笑顔が、私は忘れられません。
医療が進み、認知症の新薬もいろいろ開発されてきているようですが、当事者の方にとって、一番大切なことは
同じ悩みを持つ「仲間」と、竹林作業や街の清掃をやって汗を流し、社会で自分はまだ頑張れるぞ、と感じること
なのかもしれません。

こうした優しい取り組みが、一番の「薬」であることを感じた収録でした。
松本さん、ありがとうございました。

HATARAKU認知症ネットワーク町田の取り組みについては公式FBをご覧ください。

来週はスペシャル番組でお休みです。次回の放送は、12月16日になります。
お楽しみにー!!!