東京では、寒い日が増えてきましたね。
私は、今日、息子に言われて手袋を出しました。
最近は寒くなってきましたが、今年の夏の暑さ、短すぎる秋など、
気候が変わってしまっていることを感じていらっしゃるかと思います。
日本では、気候変動と異常気象が結びついていない方が多いと言われていますが、
気候変動・地球温暖化が暑すぎる夏など異常気象に繋がっていて、
さらに、自然災害の激甚化や農作物への影響といった形で、
私たちの命と生活を脅かしてしまっています。
気候変動に、今対処できるかは、人類の未来がかかった喫緊の課題です。
そんな危機感を持つ中で、先日行われた、
「脱炭素社会」への移行をビジネス視点でとらえる日本独自の企業グループ、
日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)の記者会見を取材してきました。
会見では、建設業、農業、漁業、ウインタースポーツや観光、
子どもたちの健康やスポーツなど、
様々なジャンルの方が登壇される、パネルディスカッションが行われ、
登壇者それぞれの立場から、気候変動で起こっている大変な現状をお話ししてくださいました。
まず、空調服とヘルメット姿で登場した戸田建設の今井会長は、
真夏の暑い中、作業している建設業の皆さんの間で、熱中症が増えていて、
さらに今年は、空調服を着ていても熱中症で死亡者が出ていると仰っていました。
外気温が高すぎると外気を取り入れる仕組みの空調服では効果が出ないんだそうです。
影響として、命を守るのはもちろんのことながら、
夏に作業ができないと経済が止まる上、
豪雨災害の復興復旧にも対応できないと訴えていらっしゃいました。
次に、葉山の漁師、長久保晶さんからは、
気候変動で、日本周辺の海水温が上昇し、
海藻がなくなっているというお話がありました。
水温が高いと、ムラサキウニの活動が一年を通して活発になり、
ワカメの新芽も食べてしまうんだそうです。
こちらは、長久保晶さんが撮影した、海の様子。
10年ほど前のワカメの様子と、今の食べつくされたワカメの写真です。
特に、水温は温まりやすく冷めにくい性質があるため、他の魚も収穫量が減っていて、
ワカメやひじきは、5年後には相模湾からなくなるのでは、と衝撃的な発言もありました。
2000年から農業をしている山梨の農家、井上能孝さんは、
高温による白菜の軟腐病が、初めて、今年確認されるなど、
野菜に20年前にはなかった症状があらわれていると仰います。
大根が空洞化してしまい、そうした大根が2割出てしまうと、
その畑は出荷停止になり、収入を諦めなければいけないとのお話も。
さらに、公益社団日本サッカーリーグ(Jリーグ)サステナビリティ部部長
入江知子さんからは、2人のお子さんを持つ保護者としてのお話がありました。
暑いので9月まで室内遊びが続いている保育園、
スポーツをする中で、暑さで嘔吐したり、足の裏がやけどしたりしてしまう小学生。
足の裏のやけどは、スパイク・靴下を履いていても
人工芝が熱くて起きてしまったんだそうです。
気候変動の影響は、子どもたちのスポーツにも大きな影を落としています。
東京科学大学公衆衛生学分野の教授、藤原武男先生からは、
気候変動は子どもの健康に危険を及ぼすものとのお話がありました。
気温の上昇は日本でも、子どもの喘息入院のリスクとなるそうで、
推定すると喘息が4倍になってしまうそう。
そうすると、コロナ禍に危惧されたような、医療崩壊が迫ってきます。
次世代の子どもたちが親になったときのリスクも、
今の大人がキャスティングボードを握っていると警鐘を鳴らします。
最後にお話をされたのは、プロスキーヤーの河野健児さん。
長野・野沢温泉スキー場のご出身で、観光協会の会長も務めていらっしゃいました。
ここ10年、顕著に雪が減っているそうで、1月のハイシーズンに雨が降ることもあるのだとか。
スキーだけでなく観光も雪に依っているので、
雪がなくなると生活に多大な影響が出てしまうそうで、
”地域の食い扶持への影響”と仰っていました。
地球温暖化は、夏ではなく、冬にも深刻な影響を及ぼしています。
地球温暖化・気候変動に対処するためには、
個人でできることには限りがあり、仕組みを変えることが大切です。
パネルディスカッションの最後に、今井会長から改めてお話があり、
温暖化は人間の活動によるもので、気温、海水温が上昇していますが、
日本は、海水温上昇の影響を受けやすく、豪雨災害も、海水温上昇によるもの。
実際に甚大な被害が出ているのに、このままで良いのでしょうか、との問題提起がありました。
再生エネルギーへの転換で脱炭素を進めることが、未来への義務だとし、
私たちは、将来世代に美しい日本を残すために、
みんなが責任を持ち、みんなが成し遂げないといけない、
今、動かないとだめだ、と語気を強めていらっしゃいました。
対策を打たない場合のコストは、イコール被害である、とのお話もあり、
政府への働きかけを続けていくとのお話でした。
緊急会見でお話があった、私たちにできることは、
気候変動への対策を考えて投票すること、そして、身近な人と話題にしていくことです。
夏の暑さで命の危険を感じないで済むように、
ぜひ関心を持って、周りの人と話し合ってみてください。
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