古美術永澤 presents ミッツ・ザ・コレクション

2025.06.29

2025年6月29日放送『BLUESじゃないブルース』

音楽への造詣が深いミッツ・マングローブが、

毎週様々なテーマと共に70年代・80年代・90年代の音楽を

ミッツ・マングローブ自身の解釈でお届けしていく番組『ミッツ・ザ・コレクション』。

第164回目のテーマは『BLUESじゃないブルース』。

「ブルース」、辞書によると「4分の4拍子の、哀愁を帯びた歌曲」。

独特の節回しとブルーノートと呼ばれる音階を使うのも特徴で、

黒人音楽の代表的なジャンルでもあります。

ところが、日本の流行歌における「ブルース」といいますと、

単に「哀愁を帯びた曲=ブルース」という括りで作られた曲も多く、

本来の「BLUES」とはまた別モノになっています。

そこで今回は、「タイトルに『ブルース』とついているけれど、

本来のBLUESとはちょっと違う、日本独自のブルース曲」をご紹介していきました。

 

まず1曲目は、近藤真彦さんで「スニーカーぶる〜す」。

今年でデビュー45周年、マッチこと近藤真彦さんのデビュー曲です。

1980年12月に発売されたこの曲。

ひと足さきにデビューした、同じたのきんトリオの、

トシちゃんこと田原俊彦さんに負けるなということで、

スタッフは作詞を松本隆さん、作曲を筒美京平さんというゴールデンコンビに依頼。

詞も曲もインパクト抜群で、「デビュー曲が初登場でオリコン1位」という

史上初の快挙を達成しました。

 

2曲目は、東京JAPで「摩天楼ブルース」。

小泉今日子さんの初めての主演ドラマ『少女に何が起こったのか』の主題歌として、

1984年10月にリリースされ、ヒットしました。

作詞は売野雅勇さん、作曲はこちらも筒美京平さんです。

今聴くと、ブルースというよりシティポップに聴こえます。

東京JAPは、ロックミュージカル劇団「ミスタースリムカンパニー」の

メンバーたちで結成されたロックバンドで、1982年にレコードデビュー。

1983年には、ユーミンがプロデュースした『東京JAP大作戦』

というアルバムを出したこともあります。

この「摩天楼ブルース」はヒットしましたが、2年後の1986年に活動を休止しました。

なお、このバンドでドラムスとパーカッションを担当していた「ヤス赤坂」さんは、

現在、DJとして活躍している赤坂泰彦さんです。

 

3曲目は、扇ひろ子さんで「新宿ブルース」。

扇ひろ子さんは1964年にレコードデビュー。

1967年にこの「新宿ブルース」が大ヒットしました。

発売前に、レコード会社(コロムビア)の会議で、

「曲調が暗いし、新宿が舞台じゃ、地方の人は買わないんじゃないか?」と

反対する声もあったそうですが、扇さんの哀愁こもった歌が結果的にヒットに結びつきました。

なお扇さんはその後、任侠映画にも出演。

「東映の藤純子、大映の江波杏子、日活の扇ひろ子」と並び称されました。

今年で80歳になられましたが、現在も現役で歌手活動を続けています。

 

4曲目は、井上陽水さんで「君と僕のブルース」。

この曲は、1974年にリリースされた陽水さんのアルバム

『二色の独楽』に収録されている曲で、ブルースというよりロック、

サビの叫ぶようなボーカルは、まさに「陽水節」です。

陽水ファンの間でも人気が高い曲で、

なんと五木ひろしさんもアルバムでこの曲をカバーしています。

 

お別れの曲は、CHAGE&ASKAで「MOON LIGHT BLUES」でした。

こちらは、1984年にリリースされたシングルで、作詞・作曲はともにASKAさん。

ASKAさんによると「初めてピアノで作曲した曲」だそうです。

意外なことに、発売当時はセールスは振るわず、

オリコンでは最高52位までしか上昇しませんでした。

レコード会社は、1980年にヒットした「万里の河」のような曲を望みましたが、

ASKAさんはそのイメージを払拭したかったので、この曲で行きたいと主張。

意見が食い違ったためか、あまり積極的にプロモーションをしてもらえなかったそうですが、

今ではチャゲアスの名曲の一つに数えられている美しいバラードです。

番組に関する感想・ご意見・ご要望などありましたら、

mco@1242.com までお寄せください。

お葉書は、

〒100ー8439 ニッポン放送「ミッツ・ザ ・コレクション」まで。

次回の放送は、2025年7月6日(日)17:30〜です。

どんなテーマでどんなセレクト楽曲が繰り出されるのか、お楽しみに!

最新番組ブログ
パーソナリティ
  • ミッツ・マングローブ
    ミッツ・マングローブ
    ミッツ・マングローブ

    ミッツ・マングローブ

    ドラァグ・クィーン・歌手・タレント。総じて「女装家」。
    1975年 4月10日 神奈川県横浜市生まれ
    10代中盤ををロンドンで過ごす。 慶應義塾大学法学部を卒業後、 英国ウエス卜ミンスター大学に入学。商業音楽全般を学ぶ。帰国後2000年ドラァグ・クイーンとして東京でデビュー。以降、各地のクラブを中心に様々な活動やイベントの主催をする傍ら、05年に星屑スキャットを結成。07年スナック「来夢来人」にて丸の内初の女装ママに。
    09年頃からテレビでも活躍。
    2011年「若いってすばらしい」で歌手デビュー。2012年3人組コーラスグループ“星屑スキャット”のメンバーとして「マグネット・ジョーに気をつけろ」で日本コロムビアよりメジャーデビュー。2018年星屑スキャット1stアルバム「化粧室」をリリース。野外フェスティバルへの出演含め精力的に活動中。
    2019年星屑スキャット初の全国ツアー「あ々喉仏」開催。
    2021年4月中野サンプラザを含む星屑スキャット全国ツアー「色、色々」開催。