古美術永澤 presents ミッツ・ザ・コレクション

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2024.09.22

2024年9月22日放送『邦楽ヒット曲の英語バージョン』

音楽への造詣が深いミッツ・マングローブが、

毎週様々なテーマと共に70年代・80年代・90年代の音楽を

ミッツ・マングローブ自身の解釈でお届けしていく番組『ミッツ・ザ・コレクション』。

第131回目のテーマは邦楽ヒット曲の英語バージョン』。

 

まず1曲目は、小林明子さんで「恋におちて(英語バージョン)」。

ご存知の方も多いと思いますが、この曲は、もともと2番の歌詞が英語です。

「もしも願いが叶うなら♪」から始まる1番の歌詞を、英訳したものが2番で歌われています。

この「曲の半分が英語」というのは、例えば松田聖子さんの

「SWEET MEMORIES」なんかも同じ構成ですが、

実は、この「恋に落ちて」のフル英語バージョンというのが存在します。

当時ドラマの劇中で使用されてはいましたが、正式に音源化されたのは、

オリジナル版のヒットから1年後のことでした。

 もともと1番の日本語詞を英訳したものが2番の歌詞だったところを、

この英語バージョンにおいては、あらたに「2番の英語詞」というものが作られています。

ちなみにオリジナル版の作詞は湯川れい子ですが、

英語詞を書かれたのは、あの山口美江さんだったとのこと。

 

続いては、新旧J-POPの「英語バージョン」をメドレーでお送りしました。

まずは、1996年のヒット、PUFFYのデビュー曲「アジアの純真」。

PUFFYはアメリカでアニメ化され、向こうでの知名度も高いふたりですが、

この英語バージョンは2002年にリリースされた全米2枚目のアルバム

「An Illustrated History」に収録されています。

井上陽水さんによるオリジナル歌詞の「北京ベルリン~」や「アジア」の部分は、

日本語的ニュアンスのまま歌われているのが、外来語の逆輸入といった趣で面白い作品です。

 

そして、オフコースの「君が、嘘を、ついた」。

1984年のヒット曲ですが、翌85年に英語詞を付け、

「EYES IN THE BACK OF MY HEART」というタイトルで、

アルバム「Back Street of Tokyo」という全曲英語詞のアルバムに収録され、

さらにはシングルカットもされています。

この頃は、日本のバンドやアーティストが世界進出を視野に入れ、

このような「オリジナル曲の英訳版を作る」という事例がしばし見られた、そんな時代でもありました。

 

さらに、メドレー3曲目は、槇原敬之さんの1999年のシングル

Hungry Spider」の英語詞バージョンです。

槇原さんは、比較的初期の段階から、英語詞のオリジナル曲をリリースしており、

90年代J-POPのメインストリームの中では、後に全米デビューをしたドリカムと並んで、

とても洋楽要素の強いアーティストだった印象があります。

英語の発音も極めて自然で、「無理くり英語にしました感」も少ない、とは言え、

そこにはやはり「言語の壁」を感じざるを得ない、そんな時代です。

そう考えると、今のK-POPをはじめとしたアジアアーティストの全米での成功は、

非常に感慨深いものがあります。

 

続いては、かなりレアな「英語バージョン」です。

1972年(昭和47年)レコード大賞受賞曲。昭和歌謡の金字塔のひとつでもあります、

ちあきなおみ喝采」。

なんとこの英語バージョンというのが存在するのです。

長らく日の目を見ることはありませんでしたが、2000年にリリースされたBOX

「ねえ、あんた」に初めて収録されました。

どのような目的・用途で、この英語バージョンが作られたのかは、謎が多いのですが、

この時代において、すでに欧米市場を意識していたという説もあります。

オリジナルのテーマがテーマだけに、どのように「英語化」したのか非常に興味深いところです。

当のちあきさんは、英語がなかなか口になじんでいない印象を受けますが、

お馴染みの「喝采」と同じ抑揚と発声で歌い上げているのはさすがです。

 

お別れの曲は、工藤静香さんで「抱いてくれたらいいのに」でした。

今や日本を代表するインターナショナル・ファミリーのビッグ・マザーである静香さん。

特にふたりの娘さんを出産して以降、英語との親和性が高まっていったと記憶しています。

 1998年リリースのアルバム「Best of Ballde カレント」より、

名曲「抱いてくれたいいのに」の英語バージョン「Let Me Sleep In Your Arms」。

静香さんならではの気合でエモーショナルに歌いきっています。

番組に関する感想・ご意見・ご要望などありましたら、

mco@1242.com までお寄せください。

お葉書は、

〒100ー8439 ニッポン放送「ミッツ・ザ ・コレクション」まで。

次回の放送は、2024年9月29日(日)17:30〜です。

どんなテーマでどんなセレクト楽曲が繰り出されるのか、お楽しみに!

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パーソナリティ
  • ミッツ・マングローブ
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    ミッツ・マングローブ

    ドラァグ・クィーン・歌手・タレント。総じて「女装家」。
    1975年 4月10日 神奈川県横浜市生まれ
    10代中盤ををロンドンで過ごす。 慶應義塾大学法学部を卒業後、 英国ウエス卜ミンスター大学に入学。商業音楽全般を学ぶ。帰国後2000年ドラァグ・クイーンとして東京でデビュー。以降、各地のクラブを中心に様々な活動やイベントの主催をする傍ら、05年に星屑スキャットを結成。07年スナック「来夢来人」にて丸の内初の女装ママに。
    09年頃からテレビでも活躍。
    2011年「若いってすばらしい」で歌手デビュー。2012年3人組コーラスグループ“星屑スキャット”のメンバーとして「マグネット・ジョーに気をつけろ」で日本コロムビアよりメジャーデビュー。2018年星屑スキャット1stアルバム「化粧室」をリリース。野外フェスティバルへの出演含め精力的に活動中。
    2019年星屑スキャット初の全国ツアー「あ々喉仏」開催。
    2021年4月中野サンプラザを含む星屑スキャット全国ツアー「色、色々」開催。