人を称える言葉の1つに『名人』があります。
よく目や耳にする言葉ですが、『名人』についてです。
■今週(5/6~5/10)のテーマ:『名人』
5/6(月) 『名人とは』
『名人』を辞書で調べますと、『技術や芸術にすぐれている人。また、その分野で評判の高い人』とあります。
この言葉の由来ですが、一説には囲碁といわれているそうです。
安土桃山時代、日海(にっかい)という“囲碁の名手”として知られたお坊さまがいました。
その噂を聞きつけた織田信長は、囲碁が好きだったこともあり、日海と会い、
囲碁を打つところを見せてもらったところ、とても感心したそうです。
そして“そちは真の名人なり”と褒め称えたといわれています。
これが『名人』の言葉の由来となった・・・と伝えられていますが、
その一方で、“織田信長が由来とする説”は、“のちに創られた話”ともいわれているそうです。
またそれ以前、鎌倉時代に既に『名人』という言葉が存在していたという説もあるそうです。
それでも囲碁の世界では、タイトル戦の名前に『名人戦』があり、勝つと『名人』の称号が与えられています。
その後、江戸時代になると、将棋の世界でも『名人』の称号が使われるようになりました。
ちなみに将棋の世界では、去年6月、藤井聡太さんが『名人』になりました。
藤井さんはこの時、“20歳10ヶ月”で、谷川浩司さんの記録、“21歳2ヶ月”を更新し、“史上最年少名人”となりました。
【感想】
“名人芸”とよく聞きますよネ。
ベテランだから、誰もが名人になるわけではなく、“顕著にすぐれた方”を指す言葉なんですネ。
藤井聡太さん、20歳で『名人』とは本当にすごいことですが、
彼はホントに子どもの頃から、名人のような将棋をしていましたよネ。
『名人』は囲碁将棋の世界の称号ですが、私もいつかは“名人芸”といわれるくらい、精進したいなと思います。
5/7(火) 『名人芸』
囲碁や将棋の他に、落語や講談、浪曲、漫才といった“伝統ある演芸・話芸の世界”にも
『名人』と呼ばれる方が数多くいらっしゃいます。
そういった方々を始め、他の人にはマネできないような素晴らしい技術や芸術のことは、『名人芸』と呼ばれています。
俳優の世界では“素晴らしい演技”のことを『名演技』と呼んだりしていますが、
その中には『名人芸』ともいえるような演技をされる方が何人もいらっしゃいます。
実は今月から放送が始まったんですが、『老害の人』というドラマに、私も出演させていただいてます。
主演が伊東四朗さんなんですネ。
他にも前田吟さんや日色ともゑサン、白川和子さん、小倉一郎さん改め小倉蒼蛙(そうあ)さん、高橋惠子さん、
三田佳子さんといった、大先輩の方々が出演されています。
そういった方々の演技はまさに名人芸で、実際、撮影現場にいると、とっても勉強になるんですネ。
【感想】
その中でも伊東四朗さんの演技は、『おかしな刑事』シリーズで20年にわたって、
目の前で見させていただいたんですが、86歳になった今も本当に素晴らしくて、その存在感が圧倒的なんです。
昔、後ろ姿で“バイバイ”って手を振る、その後ろ姿で号泣してしまったことがあって、
“背中で泣かせる、笑わせる”・・・。そこまでいくともう、名人芸だなぁと思います。
他にもそうそうたる大ベテランの先輩方に囲まれて、
本当に名人芸の中にいる、ありがたい時間を過ごさせていただいています。
何て言うんでしょうネ。
積み重ねた年月もそこにあると思いますし、そこの中で努力をされてきた、何か目に見えないものが、
そこに宿るのかな・・・っていう感じがします。
5/8(水) 『名人と達人の違い』
『名人』と似た言葉に、『達人』があります。
どちらも“すぐれた腕前を持つ人”という意味ですが、微妙に違いがあるそうなんですネ。
実は『達人』という言葉は、日本の文化や武道に深く関連しているそうなんです。
というのも、もともとは“武術の修行で、高い位を得た人”のことを指す言葉として使われていたそうです。
例えば『剣の達人』がそうです。
実際、戦国時代以降、日本各地で様々な武術が発展していくと同時に、たくさんの『達人』と呼ばれる人がいたそうです。
その後、武術以外のジャンル、例えば学問や伝統文化、職人さんの世界でも、
その技術や知識を極めた人のことを『達人』と呼ぶようになったそうです。
『達人』の『達』という言葉の意味には、“行き着く”とか“至る”といった他に、
“ある境地を極める”というのもあるそうなんですネ。
このように名人も達人も、“技術に秀でた人”ではありますがその“違い”とは何でしょうか?
諸説ある中、『名人』とは『名人戦』という言葉があるように、“その分野で特に優れた人・高い評価を得た人”。
『達人』とは“評価に関係なく、その道の極意を得た人”という見方もあるそうです。
【感想】
なるほど、『名人』と『達人』。
名人にはなれなくても、その道の達人は目指したいところですネ。
この人にこのお仕事をお願いしたら、きっと思ったように・・・、
イヤ、それ以上に期待できる人を『達人』と呼ぶのかなぁ・・・って、思ったりします。
お医者様でも運転手さんでもドアマンでも、その道のプロ、本当に素敵なことですよネ。
5/9(木) 『高橋名人』
1980年代、ファミリー・コンピュータ『ファミコン』が、一大ブームになった時、
“ファミコン名人”として一世を風靡された方に、『高橋名人』さんがいらっしゃいます。
本名は“高橋利幸”さん。
ゲームソフトの開発や販売を手掛ける『ハドソン』さんの社員で、宣伝を担当されていました。
1985年、100万本を超える大ヒットとなったファミコンソフト『ロードランナー』の続編、
『チャンピオンシップ・ロードランナー』が発売されました。
その際、お子さんたちの反応を見るために、イベントで実演したところその腕前は大変な話題となりました。
それを受けて、『ハドソン全国キャラバン』というPRイベントが、お子さんの夏休みの時期に開催されることになりました。
そのプレイベントが5月に行われ、このタイミングで名前が『高橋名人』になったそうです。
この『ハドソン全国キャラバン』ですが、夏休みに全国を回るため、『高橋名人』1人では不可能で、
そのためもう1人、“名人”が必要となりました。
そこで『高橋名人』がスカウトしたのが、当時、大学生でよくイベントに来ていた『毛利名人』でした。
『毛利名人』も『高橋名人』と同じように、“ゲーム界のレジェンド”として、今も幅広く活動されています。
【感想】
高橋名人さん、ファミコンの名人を見たら、子ども達は大喜びですよネ。
でもこう考えますと、何でもその道の達人、名人はいらっしゃるもんですよネ。
自分の得意分野を極める・・・。これが本当に大切なんだなぁ~と思います。
これからの時代、お子さんには本当に好きなことをして、好きなことで名人になってもらいたいなと思います。
5/10(金) 『名人に関連することわざ』
ことわざの中には、『名人』に関連したものがいくつもあります。
例えば、『名人は人を謗(そし)らず』。
“謗る”とは、“人のことを悪く言う”、“非難すること”ですが、
このことわざの意味は、“名人といわれるほどの人は、他人の短所や欠点を非難するようなことはしない”です。
続いて、『名人は人に問う』。
これは“真の名人はうぬぼれることなく、人の教えや意見を謙虚に聞く“という意味です。
このことわざを象徴する逸話として、
戦国時代、織田信長や羽柴秀吉に仕え、とても信頼が厚かった武将・堀秀政のエピソードがあります。
秀政がある地方を治めていたある日、そのやり方に対しての批判が書かれた立て札が、町に登場しました。
それを見た秀政の家臣たちは、“批判を書いた者を探し出し、処分すべきです!“と、秀政に訴えました。
それに対して秀政は、“これは天が自分に与えてくれたもので、この立て札は家宝である“と、大切に保管しました。
そして家臣を集め、批判された内容をすべて受け入れて、改善していったそうです。
このことを知った人々は、秀政のことを“国を治める名人”と呼ぶようになったそうです。
【感想】
素晴らしいエピソードですネ。
人を罰するよりも、謙虚に聞き入れ改善する・・・。見習いたいものです。
人の上に立つ人物が立派なら、下の者もどんどん立派になるし、私もそれは信じます。
人間として名人であることは、やっぱり大事なんだな・・・と思う1週間でした。
【今週の感想】
7(火)にもお話しましたが、私は今回、大ベテランの方々と一緒にドラマのお仕事をさせていただいて、
その時、先輩方の演技を見て“まさに名人芸だなぁ”って思ったんです。
そこで、ふと“名人”って何だろう?って思ったんですネ。
よく目や耳にする言葉ですが、分かっているようで分かっていないので、
今回『名人』をテーマにさせていただきました。
名人でも達人でも、その道を極めた方って、本当にすごいですよネ。
そういった方々の技術を受け継ぐことは、かなり難しいことですが、
それでも精神だけは少しでも学べたら・・・と思います。
【お知らせ① 次週(5/13~)からのテーマ】
朝食を始め、食事の時、ヨーグルトを食べられる方、いらっしゃるかと思います。
そこで『ヨーグルト』についてです。
【お知らせ② 番組で使用しているBGM】
◆オープニング
♪ALL OF YOU / コルビー・キャレイ
◆エンディング
♪To Be / モントルー
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