スズキ・ハッピーモーニング 羽田美智子のいってらっしゃい

2024.03.16

2024年3月11日週 テーマ「門前菓子」

神社やお寺の門前町には“名物”と呼ばれ、長い間、親しまれている美味しい和菓子があります。

『門前菓子』とも呼ばれていますが、そんな『門前菓子』についてです。

 

■今週(3/11~3/15)のテーマ:『門前菓子』

 

3/11(月) 『八ツ橋』

『門前菓子』の中で、全国的にも有名なお菓子に京都の『八ツ橋』があります。 

米粉やお砂糖、香辛料のニッキなどを混ぜた生地を堅焼きしたものです。

この生地を焼かずに、二つ折りにしたものが『生八ツ橋』です。

 

さらに生八ツ橋に、“小豆のあんをはさんだもの”もあります。

こちらは作られている会社によって、それぞれ呼び名が違います。

例えば、『美十(びじゅう)』さんで作られている銘柄は、『おたべ』。

『本家 西尾八ツ橋』さんの銘柄は、『あんなま』。

『聖護院(しょうごいん)八ッ橋総本店』さんの銘柄は、『聖(ひじり)』。

『井筒八ッ橋本舗』さんの銘柄は、『夕子』です。

 

この八ツ橋という名前の由来ですが、諸説あります。

例えば、平安時代の歌物語『伊勢物語』にも登場する三河国(みかわのくに)、現在の愛知県で、

“川に8つの橋をかけた言い伝え”を知ってもらうために、橋の形に似せたお菓子を作った・・・とする説。

 

そして、江戸時代の琴の名人、八橋検校(やつはし・けんぎょう)に由来する説です。

検校が亡くなった後、お墓があるお寺、金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)、通称“くろ谷(だに)さん”の参道で、

検校を偲んで、琴の形に似せた焼き菓子を、八ツ橋という名前で販売した・・・とする説です。

【感想】

私、昔、取材で聖護院八ツ橋さんに伺ったことがあるんですけど、

生の八ツ橋を炭火で焼いて食べた味が本当に美味しくて、忘れられないんですネ。

『おたべ』、『あんなま』、『聖』、『夕子』・・・。

どれを買うか迷ってしまいますけど、中身の餡で決める方が多いでしょうネ。

全国的に有名な門前菓子です。

 

3/12(火)   『梅ヶ枝餅』

『梅ヶ枝餅』は、福岡県の太宰府天満宮の門前菓子です。

もち米とうるち米をブレンドした生地の中に、小豆のあんを入れて焼き上げたものです。

外はパリパリ、中はモチモチしています。

 

名前に“梅”が付くことから、“梅の味や香りがするの?”と思われることがあるそうなんですが、

梅を使ったお菓子ではないんですネ。

その代わりに、表面には“梅の花の刻印”が入っています。

 

太宰府天満宮には“学問の神様”と呼ばれる菅原道真公が祀られています。

道真公は策略によって太宰府に左遷され、罪人同然の扱いを受け、不自由な暮らしを強いられていました。

時には命を狙われたこともありましたが、

そんな道真公をかくまったり、お世話をしたりしてくれたおばあさんがいました。

その時、お餅を梅の枝に刺して、差し入れたものが、今に伝わる梅ヶ枝餅の始まりとされています。

 

太宰府天満宮の参道周辺には、梅ヶ枝餅を販売するお店が約50軒あるといわれています。

同じ梅ヶ枝餅でも、それぞれお店によって味も焼き加減も違うそうなので、食べ比べるのがオススメだそうです。

 

【感想】

私の梅が枝餅の思い出は、実は福岡ではなく長崎なんですネ。

天神様の参道にある小さなお茶屋さんで、

おばあちゃんが焼いてくれる梅が枝餅の何とも何とも、何とも美味しかったことよ。

あまりにも美味しかったので、家族旅行で長崎に行った時も寄りましたが、

家族みんな“梅が枝餅ってこんなに美味しいの!”って、喜んで食べましたネ。

菅原道真公の気持ちがなんとなく分かる、あったかく心にしみるお菓子ですネ。

 

3/13(水)  『あぶり餅』

『あぶり餅』は、京都の今宮神社の門前菓子として知られています。

きな粉をまぶした、ひとくちサイズのお餅を竹串に刺し、炭火で丁寧にあぶって、白みそのタレをかけたものです。

 

今宮神社は平安時代の994年、京都で流行した伝染病を鎮めるため、建てられました。

その際、人々は様々なものを御供えとして献上しましたが、

中でも神社に祀られる神鏡(しんきょう)を形取った白い丸餅は、“神聖な霊を宿す”と考えられていたそうです。

 

その神聖なお餅をあぶり、無病息災や子孫繁栄・長寿などを願って食べていたそうです。

その後、今宮神社への参詣の帰りにあぶり餅をいただくと、無病息災や厄除けのご利益があるとされ、

今に伝わっているそうです。

そして、あぶり餅で使われる竹串は、今宮神社に奉納されたものを使っているそうです。

 

そんな今宮神社の参道には、あぶり餅を作っているお店が2件あります。 

1件は『一文字屋和輔(いちもんじやわすけ)』、通称“一和”さん。

創業は今宮神社が建てられた6年後、西暦1000年です。

もう1件は、『かざりや』さんです。

こちらの創業は、江戸時代初期の1637年です。

 

【感想】

私、“門前菓子”と聞いて、一番最初に思い出したのが、この『あぶり餅』です。

甘じょっぱい白みそのタレが香ばしくて美味しくて、ひとクチサイズの柔らかいお餅との相性が抜群!

お腹いっぱいの状態で行っても、ペロッと食べられちゃうんですよネ。

今宮神社も大好きな神社で、お参りに行ったら必ずあぶり餅を食べるのが大好きな構図です。

 

3/14(木)  『久寿餅(くずもち)』

『くず餅(葛餅)』は本来、“葛の根”から作られる“葛粉”でできた餅菓子のことで、透明で軟らかな食感が特長です。

 

ここでご紹介する『久寿餅』は、それとは別のものです。

こちらは小麦粉のデンプンを、長い期間かけて発酵させて作るもので、は透明ではなく、乳白色。

やや弾力がありつつ、歯切れの良い食感が特長で、黒蜜ときな粉をかけていただきます。

神奈川県川崎市の『川崎大師』や、東京・大田区の『池上本門寺』などの門前菓子として、特に関東ではよく知られています。

 

名前の由来ですが、江戸時代の終わり頃、麦の産地だった川崎周辺で

久兵衛(きゅうべえ)さんという方が保存していた小麦粉が、雨で濡れてしまったんですネ。

久兵衛さんはとりあえず、その小麦粉をこねてから樽に移し、水に溶いて放っておいたそうです。

 

その翌年、飢饉で食糧不足になった時、この樽のことを思い出し開けたところ、

小麦粉が発酵しデンプンになっていて、これを加工して蒸したところ、お餅のようなものができたそうなんです。

 

それを川崎大師のご住職に試食していただくと、絶賛され、

久兵衛さんの『久』の字と、“無病長寿”の『寿』のひと文字を取って、『久寿餅』と名付けたといわれています。

 

【感想】

私の両親はお正月、必ず川崎大師に行って、帰りにこの『九寿餅』をお土産に買ってきてくれたんですネ。

今では知人が毎年買ってきてくれるので、私にとっては“お正月のお菓子”というイメージがあるんですけども、

私自身も今度一度、川崎大師に久寿餅を買いに行きたいなぁと思っています・・・

というか、お参りに行きたいと思います。

 

3/15(金)  『草だんご』

『草だんご』はヨモギを使って作られる、緑色のおだんごです。

そんな草だんごですが、東京・葛飾区柴又にあります、経栄山題経寺(きょうえいざん・だいきょうじ)、

通称“柴又帝釈天”の門前菓子として知られています。

 

柴又はその昔、米作りが盛んだったそうで、お米をつぶしておだんごを作り、

江戸川沿いの土手で摘んだヨモギで香りづけしたのが、草だんごの始まりだそうです。

その後、庶民の間で、帝釈天への参拝が盛んになると、“柴又の名物”として親しまれるようになったそうです。

 

そんな柴又の草だんごですが、その名が全国的に知られるようになったキッカケが、

渥美清さんの“寅さん”でおなじみの映画『男はつらいよ』です。

 

参道にある『門前 とらや』さんは、シリーズ1作目の撮影に使用され、

4作目まで“寅さんの実家”として撮影が行われたそうです。

その後、同じく参道にある『高木屋老舗(たかぎやろうほ)』さんは“寅さんの実家のモデル”になったそうです。

その他、『吉野家』さんなど、帝釈天の参道には草だんごが楽しめる名店がいくつもあります。

 

【感想】

寅さんで、実際に帝釈天に行ったことがなくても、皆さんにとってなじみ深い草だんごだと思います。

あんこと草だんごが別々に入っていて、自分で調整してあんこの割合を決めて食べるんですよネ。

私も一度、撮影で行ったことがあります。

お参りの帰りにちょっとひとクチ甘いものをいただいて、風情もあるし、お参りの余韻にもなるし、

何とも素敵な門前菓子文化。いつまでも継承されるとイイですネ。

 

【今週の感想】

番組スタッフの皆さんとテーマを決める際、

私が“春のお彼岸も近いし、神社やお寺の参道でよく売っている名物の食べものってどうですか?

京都の今宮神社には、『あぶり餅』っていうのがあって、お参りに行くたびに必ず食べているんですよ。”と言ったんですネ。

するとスタッフの方が、“調べたら、そういった食べもののことを『門前菓子』とも呼ぶそうですよ。

他にもいろいろありそうですネ。”と、そこから今回のテーマに決まりました。

今回ご紹介させていただいたものだけでなく、日本全国には本当にたくさんの門前菓子があります。

また改めてご紹介させていただきたいと思います。

 

【追伸】

能登半島地震発生から2ヶ月以上が過ぎました被害に遭われた皆さまには、引き続きお見舞い申し上げます。

まだ避難生活を強いられている方がいらっしゃったり、断水が続いているところがあったりと、

まだまだ不安な気持ちが大きいかと思いますが、どうかどうか、皆さまの苦しみや恐怖が去り、

笑顔になれる日が早く来ますように・・・。

そして1日も早く、平穏な日常に戻られることを心よりお祈り申し上げます。

 

【お知らせ① 次週(3/18~)からのテーマ】

モノにはそれぞれ名前がありますが、実はその中には正式名称ではない・・というものも多いそうです。

そこで『意外と知らない正式名称』についてです。

【お知らせ② 番組で使用しているBGM】

◆オープニング 

♪ALL OF YOU / コルビー・キャレイ

◆エンディング

♪To Be  /  モントルー

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パーソナリティ
  • 羽田美智子
    羽田美智子
    羽田美智子

    羽田美智子

    茨城県出身。1988年デビュー。女優として映画、ドラマ、CMなどで活躍中。94年、映画『RAMPO』でエランドール賞新人賞などを受賞。95年、映画『人でなしの恋』で日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。『花嫁のれん』(東海テレビ系列)シリーズ、『特捜9』(テレビ朝日)シリーズ、『おかしな刑事』(テレビ朝日)シリーズ、『ひよっこ』(NHK)など、数々の人気ドラマに出演している。2019年、実家の屋号である”羽田甚”を引き継ぎ、ネットショップ『羽田甚商店』をオープン。自身の五感を通して「本当にイイ!」と思ったものだけを紹介・販売している。
    羽田甚商店:https://hadajinshop.co.jp/