以前、ラジカセのお話をした時、たくさんの反響を頂きましたが、
その中には『今度、カセットテープについてもお願いします』という
リクエストも頂きました。そこで『カセットテープ』についてです。
■今週(6/14~6/18)のテーマ:『カセットテープ』
6/14(月) 『カセットテープの誕生』
カセットテープが登場するまで、録音する際、
『オープンリール』というテープが使われていました。
オープンリールとは、磁石の性質を持つテープ『磁気テープ』を
リールに巻いただけテープです。
オープンリールの場合、リールの直径が小さいものでも
約13cmあって、お値段が高く、録音や再生の時、
手間がかかって、取り扱いもデリケートというのが欠点でした。
またレコーダーも大きくて、重たかったそうなんです。
そこで1960年、オランダの大手電機メーカー『フィリップス』の
製品開発の責任者、ルー・オッテンスさんは、
オープンリールよりもお手頃な値段で、
コンパクトなテープの開発に取り組みました。
そして、1963年に発表したのが『コンパクトカセット』です。
その名のとおり、手のひらサイズのテープですが、
このコンパクトカセットが私たちが呼んでいる
カセットテープのことなんですネ。
その後、様々な経緯がありましたが、最終的にフィリップスは
“テープの幅”や“テープの走行速度”といった規格を守ることを条件に、
1965年に基本部分の特許を無償で公開しました。
これによって日本を始め、世界の国々でカセットテープの開発が
進められていきます。
私が子供の頃はカセットテープが主流でした。
つい最近まで使っていました。
カセットテープのルーツはマクセルとかTDKとか、
そういう会社のものだと思っていましたが、
オランダのフィリップスだったんですネ。
カセットテープ、懐かしいなぁ~。
そう思われる同世代の方達も多いのではないでしょうか。
6/15(火) 『日本のカセットテープの歴史』
日本で初めてカセットテープを商品化したのは、
当時の日立マクセル、現在のマクセルです。
1966年(昭和41年)7月、『C-60』を発売しました。
アルファベットの『C』は『コンパクトカセット』の略で、
数字の『60』は“片面30分、両面60分録音できます”という意味です。
マクセルに続いて同じくこの年にはTDKが『シンクロカセット』、
ソニーが『マガジンテープ』を発売しています。
マクセル、TDK、ソニー。
この3つのメーカーを中心に、
日本のカセットテープの歴史が作られていきます。
そして録音時間も60分だけでなく、30分、46分、90分、
さらには120分と幅がどんどん広がっていきました。
元々、カセットテープは人が話すことを記録するために
開発されたものでしたが、音質が向上するにつれて
音楽用として使われるようになっていきます。
1968年、TDKは世界で初めての音楽用カセットテープ『SD』を
アメリカで先行発売し、翌1969年には日本でも発売されました。
それに対して1970年、マクセルも音楽用カセットテープ『UD』シリーズを
さらにソニーも『HF』を発売しています。
うわ~懐かしい!
そうですそうです!60分テープにするか120分テープにするか
悩みましたよネ。
レコードを録音する時、終わりの時間を計算して、
無駄のないテープにしようとしていました。
好きな曲だけを録音したテープ、
すりきれるまで聴いたことがあります。
本当に懐かしい。
6/16(水) 『日本のカセットテープのその後』
1979年(昭和54年)、ソニーがポータブルオーディオプレーヤー
『ウォークマン』を発売しましたが、これによってカセットテープの人気も
高まっていきます。
さらに1985年には、富士フィルムが若い世代や女性をターゲットにした
新しいカセットテープのブランド『AXIA(アクシア)』を発売したことで、
さらに人気が高まっていきます。
斉藤由貴さんのCMも話題でしたよネ。
そして1989年(平成元年)の頃には、カセットテープの国内の
年間の売り上げが約5億本とピークを迎えました。
しかし、その後はMDやデジタルオーディオプレーヤーの
登場によって、販売数は減少していきます。
それでも2016年には日本で最初にカセットテープを商品化した
日立マクセル、現在のマクセルが発売50周年を記念して、
70年代に人気だった『UD』シリーズのデザインの復刻版を発売しました。
ちなみにマクセルは、現在も年間約800万本の
カセットテープの製造を続けています。
10分・20分・60分・90分の4つのタイプがあって、
その中でも10分テープがカラオケ用として
シニア層の間で人気なんだそうです。
他にも2019年にはレコード針で有名なナガオカが
カセットテープを発売し、話題となりました。
うわ~、懐かしいお話ですよネ。
斉藤由貴さんのCM、今でも映像が出て来ますよネ。
今でもカセットテープって人気なんですネ。
巻戻したり早送りしたり・・・
ちょっとアナログ的で使いやすいですもんネ。
ラジカセ同様、また時代が来ているのかもしれませんネ。
6/17(木) 『カセットテープの種類』
カセットテープは『ノーマルポジション』、『ハイポジション』
『フェリクローム』、『メタル』の4つの種類に分けられます。
それぞれ『TYPE1』、『TYPE2』、『TYPE3』、『TYPE4』とも呼ばれています。
それぞれ使われている磁気テープの特性が異なっていて、
数字が大きくなるほど音の品質が優れているとされています。
ノーマルポジションは『ノーマルテープ』や『ノーマル』とも
呼ばれていて、カセットテープの中で最も基本となる種類です。
同じノーマルポジションでも『音楽用』と『それ以外』に分けられ、
例えばTDKの場合、音楽用が『AD』、それ以外が『D』です。
ハイポジションは『ハイポジ』、または二酸化クロムという物質が
使われているため、『クロム』、『クローム』とも呼ばれています。
フェリクロームは簡単に言いますと、『ノーマル』と『ハイポジ』の
優れたところを取り入れたテープで、代表的なのが
SONYの『DUAD(デュアド)』です。
そして、4つの種類の中で“最上級のグレード”とされているのが
メタルテープです。
音質が優れている分、お値段も高く、ノーマルポジションの
カセットテープの約4倍の値段でした。
ノーマルポジション以外のカセットテープを使う時は、
それに対応するレコーダーが基本的に必要です。
そういうことだったんですネ。
お値段はメタルが一番高いから、きっと音がイイのだろうなぁ~ぐらいにしか
思っていませんでした。
でもそれに対応するレコーダーがないといけないのか。
男性はこういう音にこだわる方が多かったなぁ~。
私はノーマルタイプのTDKの『AD』をよく使っていました。
とても一般的女子だと思います。
6/18(金) 『カセットテープの雑学』
カセットテープの先頭の部分には『リーダーテープ』と呼ばれる、
透明または白い色のテープが付いています。
これはカセットテープを保護するためのテープで、
時間にして5秒程度ありますが、録音はできません。
そのためこのリーダーテープの部分を飛ばしておかないと、
曲のイントロですとか頭の部分が欠けてしまいます。
そのためにリールの穴のところに鉛筆などを差し込んで
クルクル回します。
これって手でテープを巻き戻したりする時にもやりますよネ。
そんなカセットテープの頭の部分にはツメが付いています。
このツメをドライバーなどで折っておくと、
録音ボタンが押せないようになっています。
それによって、大切に保存しておきたい録音を
誤って消してしまうのを防いでくれます。
そのカセットテープを保存する必要がなくなった時は、
折ってしまったツメの部分にテープを貼ると、
また録音することができます。
自分のお気に入りの曲を録音した時、
『インデックスカード』と呼ばれる紙に曲名を書き込みます。
そしてカセットテープのタイトルのところに、
アーティストやアルバムの名前を書き込みますが、
それをレタリングシールでアルファベット1文字ずつ
書いていた方も多かったそうですネ。
インデックスカード1枚にしても、こだわりがあったんですネ。
なんだか懐かしい話ばかりですネ。
そうそう、頭の数秒間、録音できないんですよネ。
あまり巻いちゃうとイントロまで間延びしちゃったり、
ベストタイミングを見つけるのもコツがありましたネ。
爪を折ったりテープを貼ったり、みんなやってました。
ホント懐かしい話です。
■今週の感想
今回、カセットテープをテーマにしたところ、
リスナーの皆さまも私と同じようにいろいろ思い出があるみたいで、
番組スタッフから“あちこちでこの話題でプチ盛り上がりしていますよ”と
聞きました。とても嬉しいです。
今は好きな音楽を聴くのも保存するのも、
昔に比べると手軽になりましたよネ。
昭和の時代はレコードとカセットテープを買ってきて、
それを録音して聴くといったように、お金と手間がかかりました。
ラジオから流れる音楽を録音するにしても、カセットテープが必要でしたし。
でも、そういった手間もお金もかかった分、
カセットテープに録音した音楽はずっと心に残っていて、
令和になった今でも覚えているのかな・・・と思いました。
今週は特にリスナーの皆さまと思い出を共有できたみたいで
とても嬉しかったです。
【お知らせ② 次週(6/21~)からのテーマ】
お魚を始め、水の中で生活する生き物たちを
間近で見ることができる場所、『水族館』についてです。
【お知らせ③ 番組で使用しているBGM】
◆オープニング
♪ALL OF YOU / コルビー・キャレイ
◆エンディング
♪To Be / モントルー
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